その場から一歩も動かず何時間も黙って突っ立って、たまに救急箱を全力で取りに行っていた14歳のときの話
14歳の栞
とっても見たいです。見た過ぎて、ストーリーを勝手に妄想しています。
予告を見るだけで、14歳に戻れる。
一日中、心臓が早く動いていたあのときに戻れます。
私は、映画の予告を見るのが好きなのですが、映画の予告史上最も心がキューーーーーっとなった予告です。言葉にできないです。キューです。心臓のハートを握られているような感じです。
なんであのときはあんなに学校に行くのも、部活も、面倒くさい友達関係も、嫌で嫌でたまらなかったのに、誰しも14歳の、あの頃に思いを馳せてしまうのはなぜだろう。
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私も14歳、一生懸命していたとき、
私はバレーボール部でした。
私は誰よりも練習熱心で、自主練も誰よりもした自信があります。
自主練してるのを見られていつも馬鹿にされていました。
部活の顧問は、勉強ができて、挨拶ができるやつをレギュラーにすると言っていたのに、
テストで学年一位とっても、校内挨拶コンテストで優勝しても、私はレギュラーになれませんでした。
これは、強豪校の話ではなく、ド普通の学校の話です。
私には圧倒的にバレーボールの才能がありませんでした。
いくら練習してもボールを捉えられたことがありません。手に当ててボールを弾いたことしかありません。
いくら頑張っても、上手くなりませんでした。
部活の時間は、練習さえもさせてもらえず、隅っこで誰よりも声を出してがむしゃらに、ボールを拾っていました。
雑務です。雑務をひたすらこなしていました。
練習の時ですらこんなに肩身狭いので、試合や遠征となると、肩が腕の広さしかなくなるくらい居場所がぎゅーっと狭くなります。
できる限り縮こまって、少しでも自分がいる価値を見出すために、必死にやれることを探していました。
試合や遠征において、私がバレーボールを触ることは、片付けと球拾いのときしかありませんでした。
レシーブやサーブやアタックはこっそり、小さくばれないようにやっていました。
そして、誰かが、怪我をすると反射的に、動き出して、何十メートルも、何周も体育館をがむしゃらに、そこまで走らんででいいやろという勢いで駆け回って、
救急箱をとってきて、
(箱よりも救急「バック」のほうをよく取りに行っていました。)
手当をしようとしたら、誰かにそのポジションは取られて。
自分が取ってきた救急箱をじーっと見つめてときがすぎるのを待っていました。
誰かが怪我をすると、嬉しかった。
肩身狭く縮こまっている時間から開放された。私にも仕事が回ってくる唯一の時間だった。
部活のみんながバレーボールをしているとき、レギュラーでもなく、補欠ですらない私は頭の中でぐるぐるぐるぐるいろんなことをぼーっとただ突っ立ってひたすら考えていた。
14歳の、部活をやっていたあの頃、
理不尽なことばかりで、それを受け入れるしかなくて、これが世界の全てだと本気で思っていて、
そして何もできない私には時間がありあまりすぎていた。
バレーボール部なのに、バレーボールには触れず、救急箱に向かってがむしゃらに走った。
そして、忙しそうに動くみんなを、いろんなことを考えながらひたすら見ていた。
いろんなことはなんなのか。と言われれば、本当にいろんなこと。森羅万象いろんなこと。
自分がレギュラーで活躍していたらという楽しい妄想から、将来の計画や、SF系、勉強のこと、好きなアイドルのこと。
自由に動くこともできず、ただその場に小さく立ち続けて、考えることでしか時間を潰せなかった。
一分が一時間に感じたあの頃。本当に体育館の大きくてぶっとい時計の針は家の時計と進み方同じなのだろうかと思うくらいのろかった。
(体育館の時計。太い、デカイ、けど、見やすい。1秒単位で見やすすぎる。)
シュールで、虚しくて、必死に14歳をやっていたけど何故かいつもうまく行かなかったあの頃の話。
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