父の日に思う
明日は父の日ですね。「『お父さん、ありがとう!』の言葉で元気百倍!」という男性は、日々の生活も充実している幸せな方に違いありません。
私は父親を早く亡くしているので、もし今、父が生きていたら、どんなおじいさんだったかしらと考えることが時々あります。頑固で気難しい老人になったかしら、それとも、ゆるいつながりの友人を何人もつくり、「下手の横好き」と言われるような趣味を次から次へと作って楽しんでいたかしら。どちらもあり得るなあと思います。
「親子の関係は一筋縄ではいかないもの」に、ほとんどの人が同意するのではないでしょうか。
旧約聖書に「モーセの十戒」というものがあります。ユダヤ民族はエジプトの奴隷でしたが、紀元前1,450年ごろ、解放者モーセに率いられてエジプトを脱出し、約束の地(今のイスラエル)を目指しました。その途中、モーセに現れた祖先の神から、十の戒律を守るように言い渡されます。その戒律,
No.1からNo. 4までは神に関わるものです。例えば、「あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない」のように。そして、No.5からNo.10までは人間関係に関するものですが、その第一番目(戒律No. 5)は、「あなたの父と母を敬え」です。
もし、母の日や父の日に教会の礼拝に行くことがあったら、親を敬うことについて云々する礼拝説教を聞くかもしれません。そして、内心「牧師さん、あなたは色々難しいことをおっしゃいますが、結局は、儒教の『主君に対する忠と親に対する孝」が最たる美徳という話と同じですね」と思うかもしれません。実のところ、私は何度もそう思いました。
ところが最近、少し視座の違う話を聞きました。その牧師は、人間関係に関する戒律の一番目が、親に関するものである理由は、どんな人であっても、その人が生まれて最初に出会う他人が親だからではないか。そして、最初の人間関係に対する応答が、相手を敬うことであるならば、そういう姿勢が、他人と関係を築いていく上、その人の土台になるからではないだろうか。神は、あるべき人と人との関係を、そのようなものと考えておられるのではないか、というものでした。
どんな人にとっても、人間関係は多かれ少なかれ悩ましいものです。自分も相手も不完全な人です。だからこそ、互いを尊重し合うことができますように。
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