紫キャベツさん

1990年代に米国で異文化コミュニケーションを学び、米国に本部を置くグローバル展開をするキリスト教団体の日本事務所代表として25年間働きました。世界で1千万人以上が利用しているデボーションガイドの日本語版の監訳者をしています。

紫キャベツさん

1990年代に米国で異文化コミュニケーションを学び、米国に本部を置くグローバル展開をするキリスト教団体の日本事務所代表として25年間働きました。世界で1千万人以上が利用しているデボーションガイドの日本語版の監訳者をしています。

最近の記事

ワーホリ・いまむかし

ワーキングホリデーで渡豪する人が増え、ビザの発給数は過去最大になっているそうです。先日の朝日新聞に1・2面で大きく取り上げられていました。しかし、多くの人が仕事探しの厳しさに直面しているとのこと。豪州はインフレが続いているので、職探しは、きっと大変ですよね。 実は、私が人と少し違った人生を歩み始めたきっかけはワーホリでした。 私は、1981年、大学の英米文学科を卒業した後、大阪市内の国際特許を扱う弁理士事務所で働き始めたのですが、その仕事(そして職場)が不向きなことは、入

    • 聖書に見るお墓の話

      お盆休みにお墓参りをした方も多いことでしょう。そこで今日は、聖書にあるお墓の話をしますね。聖書は日本人にとって身近な書物ではありませんが、グローバル化のただ中で働いておられる方の中には、聖書物語を教養として知っておきたいと思われる方もあるようです。少しでも、そういう方のお役に立てればよいなあと常々思っています。 さて、聖書に「墓」という言葉が最初に登場するのは、ユダヤ人の父祖アブラハムが妻のサラを亡くし、彼女を葬る墓地を買う場面です。アブラハムは多くの家畜と銀(当時の通貨)

      • ライオンのおやつ 

        小川糸さんの小説「ライオンのおやつ」を読みました。 主人公の雫さんは33歳で独身。こんな若さで余命を告げられ、残りの日々を穏やかに過ごしたいと瀬戸内の島のホスピスにやってきます。物語は、そこでの日常、新しい出会い、過去の人生、死にゆくということ、揺れ動く心、そして、毎週日曜日に入居者がリクエストできる「おやつの時間」が描かれています。穏やかな瀬戸内の風景、ゆっくりと流れる時間、おおらかで優しく清らかな施設の運営者。物語はゆったりと静かで暖かいのに、強烈なメッセージが込められ

        • 上司の判断ミスので大嵐に遭遇したら、どうしますか?

          今週の聖書勉強会の該当の聖書箇所は、使徒言行録27章でした。こんな物語です。(興味のある方は、無料の聖書アプリなどもありますので、ご自分でチェックしてみてください) 伝道者パウロは、騒乱罪の容疑で逮捕されましたが、えん罪でした。彼はユダヤ人でありながらローマ帝国の市民権を持っていたので、ローマ皇帝に上訴する権利があり、それを行使すべく、ローマ皇帝直属の百人隊に付き添われてローマに向かいます。ところが、風に恵まれず、「良い港」に着いた頃には、航海には危険な時期になっていました

          オリンピックと神さま

          連日のように「神さま」という言葉をテレビやラジオで聞きます。普段の生活でこんなことは稀です。オリンピックのせいですね。ワールドカップとかの大きな大会があるときも、メダルを手にした選手や惜しくも逃した選手、そして、その様子を解説する人たちが「〇〇の神様が△△した」と語るのをよく聞きます。その上、オリンピックの発祥は、神話の国ギリシャですから、神さま談義は相応しいのかもしれません。けれども私は、その言葉を少々複雑な気持ちで聞いています。その理由は次のようなことです。 私は日曜日

          オリンピックと神さま

          宗教のガチ組

          朝日新聞デジタル:Re Ron に掲載された社会学者の富永京子氏と民俗学者の門田岳久の対談を興味深く読みました。 門田氏の「巡礼ツーリズムの民族誌ー消費される宗教体験」という著書を読んだ社会運動を研究する富永氏は「そこそこ社会運動をしたい」という層の人たちの心模様を、ツーリズムの形で行われる巡礼に参加している人に重ねて、興味を持たれたようでした。 巡礼のような宗教活動は電車やバスを使うと邪道。「ガチ」でやっていないと本気じゃないと見られたりするそうです。でも実際は、そうと

          「月の立つ林で」

          小説が読みたい気分が続きました。ほんわりとしたゆるい話がよいと探したのが、青山美智子作「月の立つ林で」です。こんなお話でした。 長年勤めた病院を辞め転職活動をしている元看護師、宅配員をしながら夢を諦めきれない芸人、突然さずかり婚をした娘と心の距離が開いて悶々とする父親、シングルマザーの親から自立したいと願う女子高生、夫や義母にキャリアを認めてもらえない不満を募らすアクセサリー作家。この人たちが各章のメインキャラクターです。 この人たちは、皆、何かをこじらせています。そんな

          「月の立つ林で」

          「教会につまずく」ということ

          最近は少なくなったけれども、時々「教会につまずく」という言葉を耳にします。以前、「デイリーブレッド」というデボーションガイドを発行する事務所で働いていたとき、時々、そういう方から電話がありました。大概は「デイリーブレッド」の送付を止めてくださいというものです。当時はアプリやデジタルリソースはなくて、定期的に冊子を指定された住所に郵送していました。デボーションガイドは「デイリーブレッド」だけではなかったし、ガイドなしでデボーションしたい時もありますから、通常、キャンセルのお知ら

          「教会につまずく」ということ

          妥当な献金

          二年前の今日、安倍晋三元首相が、近鉄大和西大寺駅の前で銃撃され亡くなりました。私は奈良県民で、近鉄大和西大寺駅は、奈良の県に二つしかないターミナル駅のひとつなので、私も一年に何度も利用します。地方のターミナル駅周辺とは、東京郊外の私鉄の駅の周りぐらいの人どおりしかありません。あののんびりした場所で、あんな大事件が起こったことが、今でも信じられない気持ちです。狙撃犯の動機は旧統一教会に対する恨みとのこと。そのことから、メディアは宗教二世について取り上げるようになりました。 少

          ラーメン談義

          近所に民泊施設があるのですが、火曜日の午後、そこにキッチンカーがやって来ます。メニューは、アフタヌーンティーのセット、手作りスイーツ、ハーブティーなど。庭に面した大きなテーブルが解放されていて、ゆっくりした時間を楽しめます。一緒にボランティアをしている仲間たちもよく立ち寄る場所なので、私も時々顔を出し、とりとめのない話に加わります。 昨日は、ちょっと変なラーメン談義。何が変かというと、食べれなかったラーメンについての話だったからです。実は、私もラーメンはめったに食べません。

          真の素直さ

          ある神学者の講演をデジタルツールで聞きました。その中で「真理の所有者ではなく、真理を追求者になりなさい」という意味のことが語られていました。講演者は英語の訛りからヨーロッパの人だと思いました。元々はキリスト教の文化圏だった場所に多様な文化・宗教背景のある人が移り住んで、子供が大人になり、二世も生まれて、皆、国民となったわけで、キリスト教以外の宗教をきちんとリスペクトして共生していくことが、社会を分断させないために重要なことのはずです。そのような文脈の中で聖書的な思索を深めてい

          舟を編む

          半月ほど前、急に小説が読みたくなって、近所の図書館へ。ぶらぶら書棚を見て回り、三浦しをん著の「舟を編む」を借りてきました。ずいぶん前、出張途上の機内で同名の映画を見たことを思い出したのです。しっとりとした素敵な世界観がよかったし、板前姿の宮崎あおいさんも美しかった。 私、読みながら結構、笑いました。乾いたユーモアとまではいかないけれど、笑いを取るタイプではないユーモア。普通の人たちの人間臭さが、可愛くて、可笑しくて、この小説は、そういう世界観を持っているのだなあと思いました

          父の日に思う

          明日は父の日ですね。「『お父さん、ありがとう!』の言葉で元気百倍!」という男性は、日々の生活も充実している幸せな方に違いありません。 私は父親を早く亡くしているので、もし今、父が生きていたら、どんなおじいさんだったかしらと考えることが時々あります。頑固で気難しい老人になったかしら、それとも、ゆるいつながりの友人を何人もつくり、「下手の横好き」と言われるような趣味を次から次へと作って楽しんでいたかしら。どちらもあり得るなあと思います。 「親子の関係は一筋縄ではいかないもの」

          ルールは破ってもマナーは守る

          ある雑誌を読んでいたら、上記の言葉がありました。 ある専門学校の講師が、授業中は居眠りばかり、真面目とは程遠い髪型や服装の受け持ちの学生が、混雑したバスに乗ってきたお年寄りに親切な態度で席を譲る様子を見て声をかけ、褒めたところ、返ってきた言葉だそうです。実は、有名なパンクミュージシャンの名言だとか。私にも似たような経験があるので、興味を持ってググってみると、こんな感じの投稿がありました。 「歩行者が信号無視をしても、けがをするのは自分だから、それはどうでもいい。でも、子供

          ルールは破ってもマナーは守る

          「はて?」と「スンッ!」

          NHKの朝ドラ「虎に翼」は、時代が第二次世界大戦後になりましたね。主人公は、夫や兄を戦争で、父を戦後の食糧難の影響で亡くし、一家の大黒柱になるべく司法事務官として法曹界に復帰して、新民法の草案作りに参加します。 新憲法の理念に則り、民法でも100%の男女平等を要求するるGHQに対し、家制度を無くせば日本の心が失われる、と重鎮が抵抗します。(ほぼ80年後の選択的夫婦別姓の議論にも同じようなことがありましたね)主人公は「あなたはどう思う?」と尋ねられ戸惑います。独身の頃は、性別

          「はて?」と「スンッ!」

          特権、感謝、行動

          特権を辞書で引くと「特定の資格を有する人、または特定の身分や階級に属する人に限って与えられる権利」となっています。 私は豊かだったり、家柄がどうの、という家庭の出ではないので、「特権」は縁遠い話です。考えたこともありませんでした。ところが、「グローバル化」といわれるご時世の前に、海外出張が織り込まれた生活が始まり、私は日本国発行のパスポートを持っていることは「特権」なのだと思うようになりました。 このパスポートを持っている人は、北朝鮮以外、どこの国にも入れます。他国のパス

          特権、感謝、行動