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240508【本編】ベートーヴェン【交響曲第3番『英雄』】など_FM八女

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オープニングトーク
ゴールデンウィーク終わり 多い人は10連休
ここから反動 魔の6月 次の祝日が 7月15日の海の日
今年は 3連休の当たり年とか言われてまして 今年は11回も3連休ある

先週 リクエスト ソウルっ子さん 海外から リクエスト
この番組 サイマル放送の規格上日本国外では聴けないはず たぶんソウルっ子さんも YouTubeのスタジオ内動画配信で音楽無しで楽しんでいただいてる たぶん 八女の皆さんに あの音楽を聴かせてやってほしい ということなんだと思いまして


L.V.ベートーヴェン 交響曲第3番 変ホ長調 作品55 『英雄』

放送の音源はこの演奏かどうかは確認していませんが 朝比奈隆指揮 大阪フィル の演奏でした。

第1楽章(冒頭抜粋) Allegro con brio

元気に速い速度で
ちょっとゆっくりめな演奏 朝比奈隆 あさひな たかし もう20年前に亡くなった 日本を代表する指揮者が 大阪フィルを振った演奏 朝比奈の遅さ として 定評のある方のベートーヴェン
交響曲第3番変ホ長調 『英雄』 もしくは 『エロイカ』と 呼ばれます
はじめて聴いた方がまず 長い 朝比奈さんなら全曲でだいたい50分 現代の演奏でもまぁ45分 繰り返しを省略しないと20分近く 第2楽章も15分以上 第3第4楽章は少しおとなしめな長さ 前半がすごく重たい アンバランスなほど
そこまでの時代の交響曲 ハイドンにモーツァルト 交響曲でも まず30分前後 そしてベートーヴェン本人の第1番第2番ともに約30分の曲だったことを考えると そこにもってきての この50分もある音楽は その時代にとって ありえないほど巨大な曲

第2楽章(冒頭抜粋) Marcia funebre: Adagio assai

表題にも書いてあるマルチャ フューネブレ 英語に直すと フューネラルマーチ 葬送行進曲 第1楽章元気よく始まった交響曲でしたが第2楽章の冒頭は悲しみに包まれる

この音楽 英雄というのが 誰を表しているのか 有名な話 元は ベートーヴェンとほぼ同世代のフランスの英雄 ナポレオン・ボナパルトに献呈しようと考えられていた
18世紀の終盤のフランス フランス革命 絶対王政 王様が偉い 古い体制 アンシャン・レジーム そのレジームを打ち破ったのがフランスの第3身分と呼ばれた 当時の一般の市民たち 共和制を打ち立てる 1792年に王政が停止 その翌年には当時の王様 ルイ16世が処刑
ベートーヴェンが暮らしているオーストリアにはまだ王様いて ウィーンはその後フランスに皇帝を立てて王政復古を目指そうとして失敗したりいろいろ関係する隣国というような関係性
ベートーヴェンは 基本的に貴族やら王様やらが大嫌いな人です そもそもベートーヴェン以前の音楽家は まず例外なく お城か教会の中で仕事をする人たちだった だから 王様に命令されて 音楽を作る とか そんな仕事が主流だった中 ベートーヴェンは 世の中のための音楽を作ることで生計を立てた ほとんどはじめての音楽家だった
だから 王様に媚びる必要がない フランスで革命が起きると 市民の味方をしちゃう人なわけです フランス革命が成功すると喜ぶ ウィーンの王様はフランスでもちゃんと王様が統治してほしい だから 革命が起きているフランスに派兵して革命を鎮圧しようとまでしている フランスの市民たちは義勇兵として よその国からの横槍をかわそうとする ベートーヴェンはそんな隣の国にいるのに革命後のフランスに注目して いったん立ち上がったジャコバン派の不安定な恐怖政権をクーデターで打ち破った英雄のナポレオン・ボナパルトに喝采を上げる これが1799年
よし この英雄に 音楽を捧げよう というのが 一般的に言われるこの『英雄』という副題の大元 その後 多くの農民やブルジョアの支持を集めたナポレオンはフランスの英雄というだけでなく 今度はフランスの皇帝に即位することになります ベートーヴェンが嫌っている 貴族 王様になってしまった
それで この英雄を 交響曲第3番ボナパルト という名前をつけて ナポレオンに献呈しようと考えていた楽譜の表紙を破り捨てて 「奴もまた俗物に過ぎなかったか」 と言って表紙を破り捨てた という話が一応有名
そうなってくると 民衆の蜂起からアンシャン・レジームからの脱却そして10年に渡るフランス革命という中で流れた血を想起すると 第2楽章の葬送行進が 英雄ナポレオンの背中に背負われるべきと考えたかもしれませんというわけで ちょっとしっくりいく感じもある このナポレオンの皇帝即位がお気に召さなかったので献呈をやめた というのには物語性もあってよく語られる
実際にこの曲の 浄書譜がウィーンの楽友協会に保存されている 表紙を破り取られた形跡はなくて ボナパルト って書いてあるのをグシャグシャ消してあるとか穴が開いてるとからしく なんかちょっと話が違ってたりして
ベートーヴェン その後もまたナポレオンに音楽を献呈しようと画策したりしているらしいとか 全体的にはちょっと眉唾な感じはある
ただベートーヴェンの中でも おそらくウィーン市民の話題の中でも 次第次第に共和制を打ち立てて市民のための政治をしようとした というナポレオンへの英雄視は無くなっていったと考えたほうがよさそう フランス市民に対して あなたたちがあっての私 皇帝ナポレオンですよと フランス国内には喧伝したうえで ガンガン外国には攻め込んでいく オーストリアに至っては 1805年と1809年にナポレオン軍から攻撃を受けてひどい損害を被っている ベートーヴェンも避難したほどらしくて
そんな中でウィーンの市民の中で そしてベートーヴェンからも ナポレオンは嫌われていったのかなぁ という話

なにより ベートーヴェンの人生においては有名な話がもう一つ絡んでいて この曲の直前 1802年に ハイリゲンシュタットの遺書 というものを書く 弟二人への手紙として書かれている 遺書といいますから もう死んじゃおうと思ったくらいの話 そのときベートーヴェン死んでたら 交響曲は第2番までしかありませんし すごいしょぼいことになっちゃってた まだベートーヴェン30代の前半
ハイリゲンシュタットの遺書というのは 結局のところ自分の日ごとに悪化する難聴への絶望と、芸術家としての運命を全うするために肉体、および精神的な病気を克服したいという願望が綴られている 最終的には 「自分の生命を絶つまでほんの少しの所であった。- 私を引き留めたのはただ“芸術”だけであった。」
そうなってくると この第3番の葬送行進曲というのはベートーヴェン本人の葬送でもあったかもしれず とか ここから先 難聴に見舞われながらも あらゆる名作を作り上げていったベートーヴェンを見ると 生まれ変わったベートーヴェンを表してるような気する


第3楽章 Scherzo: Allegro vivace

舞曲楽章 主にメヌエット楽章が置かれていた位置に 置き変わる変化球楽章 スケルツォ ベートーヴェンがはじめて 交響曲の楽章にスケルツォを登場させたのはこの第3番ではなくて この前の 第2番 非常に小さい 4分ほどのかわいらしい音楽として登場させている 第3番が初ではないが これまでになかった流れを作ったスケルツォ楽章 この楽章一番短いんで 今日はこの楽章だけ全部聴いてフィナーレへの流れ


第4楽章(冒頭・後半抜粋) Finale: Allegro molto(2ファイル)

あんまりドカーンという感じではなく静かめに始まるフィナーレ 全体は変奏曲の形式で書かれていて テーマは自作のバレエ音楽『プロメテウスの創造物』の終曲の踊りから取られている
プロメテウス=ギリシャ神話の巨人族ティターンの神様 神の世界のものだった火を人間に渡して 暖をとったり料理が出来るようにしてくれた かわりに 神の怒りに触れて ひどい仕打ちに会うという悲しい存在の神様の名前
それがナポレオンが市民にもたらした平和に似合うかどうか というのもまた この音楽の裏話の面白いところかも
今日は 第4楽章もどうしてもどこか削らないとしょうがない 序盤を少し聴いて あとは 第4楽章終盤戦この曲全体を締めていく部分のみ


ディスカバー・ザ・クラシックス
【説明】ディスカバー・ザ・クラシックスというコーナーは元になった音楽とその音楽をカバーした他のジャンルの音楽などを並べて聴いて貰うコーナーです。

L.V.ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調 『悲愴』 第2楽章

ベートーヴェンの作品の中でも このコーナーでは一番よく取り上げられる音楽
有名なところで言えば ビリー・ジョエルのThis Night

 ボートレース競艇のCMのなーぜーにー♪ 

今日はこのコーナーでは比較的おなじみのシジマサウンズ たぶんはじめて持ってきた気がするこの曲

一番好きなあなたへ / シジマサウンズ


フリートーク
以降の音楽は おりなす八女 にて5月25日に行われる
FLAMENCO come across CLASSIC
にて取り上げられるショパンの有名曲をお楽しみいただきました

https://orinasuyame.jp/wp-content/uploads/20240525flamenco1.pdf

番組後半はたくさんのメッセージで盛り上げていただきました。ありがとうございました。BGMなどで使用した楽曲はこちらです。

幻想即興曲・仔犬のワルツについては フジ子・ヘミングさんの訃報のお伝えとともに彼女の演奏にて楽しんでいただきました。
演奏もよくこの番組で使用させていただいたフジ子・ヘミングさんのご遺徳を忍び謹んで哀悼の意を表します

スケルツォ第2番

幻想即興曲

子犬のワルツ


この日の番組アフタートークはこちらです


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