想い出の宅急便
今では珍しくなりましたが、かつて団体バスの最盛期、多くのツアーバスの撮影で忙しくしていました。私が長野県の景勝地にて仕事していたころのお話です。
その日は朝から大忙しで、次から次へとお越しになるツアーバスのお客様をひな壇に並んでいただき、団体集合写真を撮影していました。
午前中に撮影を終え、既にご出発された団体の添乗員さんから私に電話がありました。
「すみません、お客様に写真の購入場所を伝え忘れていましたので、まだ写真をご覧になっておられないお客様がたくさんいらっしゃいまして……。
この後、〇〇という場所で休憩予定なのですが、もう一度写真販売に来ていただく事はできませんでしょうか?」
その団体は、私が撮影して、ご見学を終えたお客様を販売場所で待っていたのですが、なぜか写真を見に来られる人が少なかったのでおかしいなと思っていました。
撮影時にも販売場所は、お伝えしているのですが、バス台数が多いと周知出来ないことがあり、添乗員さんからも再度ご案内していただくことになっていました。タイトなスケジュールで動く団体ではよくあることです。
良く撮れていたので是非お客様に見て欲しい!すぐにでも写真を見せに行きたい!と思い即答したいのですが、このあとも撮影の予定はぎっしり詰まっていて、一人抜けてしまうだけでも現場の皆に負担がかかります。
私は電話を保留にし、すぐチームメンバーに相談しました。
【NOと言わない】がポリシーの私は「絶対行くべきですよね。」と言うと「みんなで頑張れば何とかなるよ」と。
繁忙期の現場は、一人でも抜けたらかなり忙しくなることも分かっているが、想い出創造研究所という目指すべき道は「一人でも多くのお客様に想い出をお持ち帰りいただくこと」が私たちの使命です。
勿論、すぐさま車を走らせました。私が到着すると、既にバスは到着していて、待ってましたと言わんばかりの勢いで写真を見るお客様の列ができました。
「いい写真じゃないか。一枚もらえるかい?」
「おや、さっきのカメラマンさんじゃないか。こんな遠くまで届けにきてくれてありがとうね。私も一枚もらうよ」
結果、事前に予想してプリントしていた写真数をはるかに超える40枚以上の追加注文(後日郵送)が入りました。
たくさん売れたことも嬉しかったけれど、何より写真を喜ぶお客様の笑顔を見ていると、仕事の疲れも吹き飛んでいくようでした。
あの時、電話で写真の再販売を現場優先で考えていたら、このお客様たちの笑顔もなかったのだなと思うと、心から「来てよかった」と思いました。
やがて添乗員さんにも感謝されつつ、バスは笑顔のお客様を乗せて休憩地を後にします。
私はバスの隊列が見えなくなるまで手を振り続けていました。『一期一会の出会い』に感謝の気持ちを込めて。
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