足立健

永遠に輝く光

足立健

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  • 悪魔、岩、存念

    何が違うの

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電車に乗っていたら、街がビュンビュン流れて行ってそれがとても綺麗で、終点なんてないまま景色が続いていくような気がしていました。貴方とはどんどんはなれていって、私はすでに、色づきが変わり続ける景色からしたらまるで異邦人のような気分でいました。ああ、これが希望なのか。私は直感しました。流れていく時間のなかで、貴方に背負われていくこと、これこそが希望なのでしょう。今こそ私は確信を持って言えます。子供の時代は終わったのだ、と。途中の停車場で私は降りて、そこがどこかも知れないままに運賃

    • わたしを監獄に連れて行って

      「何をしているの?」 「あなたさえいれば十分さ」 会話が始まった。二人が暮らす部屋はもうずっと手狭だった。 腰に手を伸ばした。女のような柔肌に、あなたは相変わらず興奮していた。女ではだめなのだ。女のように、美しくないといけなかった。そう、あなたは、どこまでも偽物のわたしにほんとうを見出して、愛していた。 「監獄には何があると思う?」 昔は小麦のパンが並んでいた食卓も、少しずつその色合いにライ麦の黒が混ざっていって、最後にはそれすらも少しずつ小さくなっていった。ぼくらの

      • 人間になる(11/5)

        ひさびさに外に出ると街の風景はすっかり変わっていた。近所のビルは取り壊されて駐車場になっていた。平坦なアスファルトの上にくっきりと白線が刻まれていた。白線の上を歩いてみることにしたが、すぐに落ちてしまった。地獄への門はいつだって開いていた。僕はもう、何回目の地獄に落ちたのだろうか。 あといくつ罪を重ねれば人間になれるだろうか。黒電話がしんと鳴っていた。すごく寂しい夜に浮かび上がってきた報いの象り。

        • 天啓・回心・愛・神

          無明👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 天啓👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺👹 👹🥺🥺🥺🥺🥺🥺

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        マガジン

        • 悪魔、岩、存念
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        記事

          彼氏の家での4分33秒

          𝄞 (するすると小さな絹擦れが聞こえる) 「エッネェ……」 「シタニオカーサンイルカラシズカニシテ」 (いずれも大変な小声で、コンサートホールの静寂でなければ聞き逃してしまうだろう) (チュパチュパ……) 「アッアッアッ」 「シーッ シズカニ……」 「モウ……」 (上気する肌、二人の気持ちは徐々に一つになっていく。スコアも少しずつ性急になっていく(ような気がする)) (ヒタヒタ……) 「アレ コノアシオト……」 「カクレテ!」 (つかの間の休符 完全な静寂 短

          彼氏の家での4分33秒

          ナマでヤりたい

          ヤれないのは当たり前だ。分子の振動量が違うのだ。我々が発したバサハマテュナョシュゥィセメでは、生物はみな鉄化合物から出来ている。問題は情報量であり、分子の性質それ自体では無いとは、我々が宇宙進出し、地球の人間や、ブラツカドョドョのヨオソルネェィクレンと邂逅してからの常識だ。ある分子が液体で、しかも化合物として存在しているという、極めて可塑性の高い不安定な、すなわち「エッジ」な状態であるときに、その含みうる情報量は極大となり得る。生命とはそうした「カオス」から発生するも

          ナマでヤりたい

          9/25

          むかしは大人になれば勝手にしゃっきりとして前髪もかきあげられると思っていたのに22になっても思春期の悩みは解決しないし重たい髪で情けない自分を隠している。 子どもの頃は、春と秋の気温の感じ方の違いについて考えていた。ある日それが期待の問題だとわかって、考えるのを止めた。それが大人になるということかもしれない。シャボン玉が弾けるように夏が終わってしまった。 秋の肌寒さはまるで裏切られた期待のようだ。だんだん秋めいてきて、そして少しづつ大人になっていく。

          新しくなる

          ところで新しくなった装いは全部を捨てて光った。そのようなこともあるのだろう。街角のゴミ捨て場は腐臭を放っていたが、つんざく光の粒はやけに綺麗だった。 そのうえ古くなった衒いはそれでも敬虔なままだった。そのようなこともあるのだろう。宇宙の果てには光の湧き出る泉があるという。出立した飛行士たちは光になるために光に向かう。地上はまだ元気ですか?汲み上げた痛みは大切に使われていますか? 明滅する夜明け前のすんと押し黙った街並み。ほたるが降ってくる。拷問、冷やかし、不正、そして告発

          新しくなる

          アップルから追い出された(2度目)、けれど至高のSNS【ツイッター】を始めて愛しのドナルドと手を組む。やっぱりお前が必要だから戻らないかなんて言われても遅い!最高の仲間(ドナルド、カニエ、シンゾー)と一気に成り上がります。

          「スティーブ、キミは残念ながらSteved(アップル社のスラングで『クビ』の意)だ』 首を振りながら、残念そうにティムが告げた。この(自主規制)の(自主規制)野郎はなんなんだ❓まーたどこかで買った(自主規制)にケツでも(自主規制)で、頭がアクメで決まってんじゃねぇのか❓(*ウィキペディア参照) そう、俺はスティーブ・ジョブズ。世界で一番最大最強のアントレプレナーだ。俺は、アップルを作った。Macintoshを、Toy Storyを、iPodを、そしてiPhoneを作った。

          アップルから追い出された(2度目)、けれど至高のSNS【ツイッター】を始めて愛しのドナルドと手を組む。やっぱりお前が必要だから戻らないかなんて言われても遅い!最高の仲間(ドナルド、カニエ、シンゾー)と一気に成り上がります。

          8/21

          世界が滅びながらもやりたいことがわからないままでいた。いろいろな青春小説やロマン小説で語られていたような焦燥感といえばそうかもしれない。剥奪された意味合いと、からっぽの、からっぽを、埋め合わせるあてがないのが違った。誰かしら振り向いてくれることもなく、全てが綺麗に抑圧されていった。そう、終わってしまったのだ。死への緩慢なカウントダウンが穏やかに始まった。ハレー彗星はぶつからなかった。うずたかい壁がその先の崖を遮っていて、身を投じることもできないまま、吐き出したため息。

          ドーナツホール・眩暈【ボツ】

           かつての旧人類と違い高等な肉体をもつわたしが、眩暈に悩まされることはないはずだった。それがいま眩暈に悩まされている。より正確に言えば、眩暈"のようなもの"が、ここ最近ずっと続いている。ボディはどこも悪くなっていないはずなのに、プログラムのエラーも検出できないのに、視界のもやが取れない。それも、コンピュータ的なホワイトアウトではなくて、世界が沈んでいくように段々白く曇っていくのだ。  だから最近はナーバスだった。自己保存欲求くらい、わたしにもある。原因不明のこの眩暈が続けば

          ドーナツホール・眩暈【ボツ】

          さよならだけが……

          さよならだけが…… さよなら さよなら さよなら 愛していましたと付け加えるのも無粋だから、「さよなら」を三回繰り返してもみたけど、これもまた無粋だ。 愛していたんですか? 今でも愛しています(不完全な応答、完全な応答の不可能性) 糸が縒り合う形が愛なのだとしたら、毛玉になってしまった愛を捨てることが春の終わりならば、愛がなくなることはない。愛に意味がなくなるだけだ。 いつかまた愛が糸電話のようにピンと張ってくれるように

          さよならだけが……

          ジョージ、夏の空。①

          自意識が変な女に自意識が変と直接伝えるのではなく、それは不器用なんだねと慰めることで今まで女を獲得してきたが、そういう淫売のような真似はもうやめようと思い、髪を短く切って就活を始めて3年が過ぎた。 私はその後一度もモテると言うこともなく、プルデンシャル生命に入るということもなく、ただひたすらに薄暗い部屋で座り込んだまま、緩慢に断罪の日を待っていた。 2024年、夏。 薄暗い部屋に突然ジョージが現れた。ジョージはこの村で唯一の「男」だった。 ジョージは、 「そんなくだ

          ジョージ、夏の空。①

          星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。(2021-5-14)

          手に透かして触れようとした瞬間に、風船のように、銃で撃ち抜かれた頭部のように拡散する、昼間時の光を見ていた。滅びが顔を覗かせる真昼の真白に揺れる空。星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。 ふざけあう川辺で突然に湧いてくる、あなたの笑顔の裏に隠れた深い深いからっぽ。真っ赤に染まった水に足をとられるその一歩前に思ったのはそういう類の光だった。星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。 焦点に入ったところで奥深くに消えていくか細い光の線達。悪魔に魅入られたかのように消え

          星降るまではどうか手を繋いでいてくれないか。(2021-5-14)

          紫(2021-5-14)

          不意に世界が暗転した後に残るあの綺麗な朝日の輪郭をもう一度掴みたい気がして僕は町を歩いていた。木洩れ日に町が揺れる音を体感して、光るビルの隙間の奥を慈しむ君の目が好きだった。木立は死んであとには何も残らない。紫色の匂いの不定形さを隣におけなくなったのは僕のせいだ。

          紫(2021-5-14)

          灯火(2020-7-6)

          7月9日の夜のことだった。あたりにちらつく、小雨というには少しばかり強すぎる雨はまだ耐えきれるくらいで、もっていた傘をささずに少し小走り気味で走る男がいる。濡れそぼったアスファルトにタイヤを擦りつけるときに生じるあの独特な、衣擦れのような音は、まだまだ静けさに覆われるには早いだろう夜の繁華街を演出するには十分すぎるほどだ。汚染された街と汚染された人々はそれでも誇りを失っていないように見える。矜恃という名の言い訳とは人間を最も人間らしくするもので、僕は幼いころ誰よりもお父さんの

          灯火(2020-7-6)