嘘をつく人: 8


「もう関わることはしません。いま電話に出たこともはっきりとそれをお伝えするためです」
「……」

「あなたは知人に法律の専門家が自分にはいると言っていますが、どうしてもわたしをやりこめたいのなら呼んでください」

「…後悔するよ? 損害賠償請求できるんだ、僕は」
「そうですか。でもなぜ損害賠償なのですか?」
「キミたちのせいで、失業したからだ」

 知人か。。。

と思いました。

 その人には女優志望の知人、作家志望の知人、たくさんいました。
 みんな夢を追いかけているからと、彼らを集まりに呼んで飲食代を自分自身の分も含め、同席した人たちに支払わせたこと。

 その代金は決して融資などではなくあくまで立て替えだったのですが、返金を要求すると。

「法律の専門家の知人の言わせると、その要求は恐喝で横領になるって。だからそれ以上言うとキミたちは刑務所送りだよ」

 そう言ったことがありました。

 女優や作家になりたい、と言う人たちは彼が仲間内の集まりに無断で呼んだ人たちで、「向上心のある人たちを助けるべき」という彼の考えで、飲食代の
支払いを免除すべきだ、とした人たちでした。



 

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