嘘をつく人:11

 場所は彼の指定したある洋食屋さん。彼は『法律の専門家たる』友人を同伴していました。

 わたしは彼も知っている男性の友人に立ち会いを頼みそのお店に来ました。男性を選んだのは、女性だけで会うと何かと不利になると考えたためです。

 一方で彼の連れて来た弁護士であるという男性はポロシャツにジーンズというカジュアルな出立ちで、年齢もまだ20代前半のようでした。

 彼はテーブルにつくとすぐにメニューをポロシャツの男性に渡しました。

「僕はハンバーグプレート、ライスは大盛り。昔から決まっているんだ。ここではね。好きなもの頼めよ」

「じゃあ、ナポリタンとコーラで」

 そんなやりとりがありました。彼は自信ありげに笑っていましたが、ポロシャツの男性はどこか困惑している感じでした。

 男友だちとわたしはアイスコーヒーだけを頼みました。

 食事や飲み物が運ばれてくると、彼は物凄い勢いでハンバーグを咀嚼し始めました。ポロシャツ男性には、

「デザートも頼めよ」
と言い、当人は食後にとアップルパイを頼みました。

 飲み物だけのわたしたちを見て、

「こんな状況じゃ、やっぱり食欲はわかないのかな? 」
 そしてクックッと笑いました。

「話しを進めませんか? あの、弁護士さんですよね?」
とわたしが促すと、ナポリタンを口に運んでいたポロシャツ男性が顔を上げました。

「はあ。。。はい」
と、どうにも抑揚のない返事です。

 見た感じにはまだ若いだけではなく随分と痩せていて覇気のない様子。
 
 男友だちが尋ねます。

「その若さで司法試験に合格したなんてすごいですね。どちらの法学部のご出身ですか?」

「え。。。僕、高卒ですけど。。。」



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