日常#72
渋谷で試験を受けるバイトをするために電車に乗っている
対象は確か大学生だけであったから渋谷にいそうな大学生の格好をしている
要するに半袖のTシャツに長ズボン、スニーカーをはいてイヤホンをしてスカしながら歩くということである ヘッドホンをしていれば尚よしであるが、丸顔の自分がヘッドホンをするとシルエットがカレーパンマンのようになってしまうので、断念
世の中の大学生らしい大学生の格好をしている人は暑くないんだろうか、汗腺が死んでいるのだろうか
こんな気候で長ズボン、襟足の長い髪型、挙句の果てにタックインなどしたら自分は発火してしまう
渋谷大学生に扮するに大事なのは目にかかるくらいの長さの髪型をしていることなのだが、数日前に眉毛が見える程度の長さに切ってしまったためにどうしようもない
野暮ったさがのこってるくらいが親しみやすくていいじゃんねと言い聞かせているが、それは面倒くささゆえにセットをしない自分を肯定して覆い隠すためだ
けど、野暮ったさやあどけなさが感じられる人は親しみやすくてすきなのはほんとう
完璧な人と関わるのは少し痛い
会場について注意喚起としてテストの内容やテストを受けていることをSNSに書いたり、口外しないでくださいと言われ、まさかテストを実施している会社もnoteなんて陰気なSNSまではチェックしていないだろう
その注意がなされた後に既に一人SNSへの書き込みが発見され、その人の受験資格は剥奪されましたと言っていたが、どう考えてもブラフだろう
ノンケ社会で常に小さな嘘をつき続けるゲイの嘘発見器の精度は高い
会場に出向き、試験を受けるというのは久しぶりで、自分がよく身を置いていた環境でワクワクした
用意された試験時間のだいたい半分くらいで終わって、こうしてぼーっとしている時間にも賃金が発生していると思うととてもうれしい
けれどうれしいのもつかの間で、だんだん暇になってきて、ふと試験官をみると彼ら彼女らも暇そうでここにいる人間はみんなお金のためなんだろうなぁ、どうせSEXしてえなぁとか昼飯のあとで奥歯に挟まった胡麻のことなどを考えているのだろう
むかし、友人がSEX明けの朝、そのまま試験監督のバイトに行ったと話していたのを思い出して、それから試験監督の何食わぬすまし顔はどうにもSEXと結びついてしまう
何食わぬ顔で電車の割り込みをするひとを東京で生きていると二日に一匹ほど見かける
そういう人たちはだいたい目を合わせようとしないのだが、ガン見をするとバツが悪そうに歩みを止め、自分の後ろから乗り、自分の後ろの人たちの順番を抜かす
見られて罪悪感にかられてやめるくらい厚かましくなれない、ないのなら最初からやらなければいいのに
たまに合わせようとしない目を見続けてもそのまま行く厚顔無恥もいるが、マジでどんな生き方してきたのか心底不思議になって、苛立ちの2割くらいが不憫さに変わる
だいたいそういう人たちは高齢者なのだが、高齢者なのだから優先されて然るべきとでも思っているのだろうか
これに限った話ではなく、◯◯だから□□されて然るべきという考え方は暴力的であり、そんな理屈おめえしか知らねえよであり、軋轢の種になる
やめようやめようと思うのだけれど、どうしても自分のなかにもそういうえぐみがあって、自分では気がつけない
気がつけないから書けないのであって、けれど、確かにそういう傲慢さが自分の中にいることはわかっている
謙虚になりたい、もしくは傍若無人に振る舞っても痛まない心がほしい
また書きます
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?