カラヴァッジョ≪ナルキッソス≫1599 国立古典絵画館 ----------------------------------------- 目を逸らすことのできない暗闇が好きだ。 誤魔化すことのできないシンプルさが好きだ。 ここにあるのは自己愛に溺れた青年と、 それを映し出す鏡のような水面だけ。 水仙も精霊のエコーもいない。 静かで美しく、哀れなこの絵が好きだ。 ------------------------------------------ これは、水面に映
「好きな画家は?」と聞かれれば食い気味に「カラヴァッジョ」だと答えることができる。ただ、「何の絵が好きなの?」と聞かれると困ってしまう。ただ一枚に絞ることができないし、その絵がどう好きなのか、語彙力のない私は表現することができない。 こうなることなら、大学時代、ゼミでの絵に関する討論などをもっと真面目に受けておくべきだったと少し後悔する。 カラヴァッジョ全体を見れば好きな部分は明確なのに。強烈な明暗表現と、臨場感。それらを殺さぬ静物における繊細さ。一般人かのように表現され
感情を大きく揺さぶられる作品が好きだ。本で言えばミステリーが好きだし、映画はLes Misérablesが好き。絵画においても迫力満点の歴史画や、寓意をふんだんに使った宗教画が大好物。カラヴァッジョ宗教画は、光と闇を巧みに使い、劇的なシーンを作り出す。光と闇の画家とはよく言ったものだ。光と闇は、彼の画風に限った話ではない。 Michelangelo merisi da Caravaggio(1571-1610) 光と影の画家と呼ばれ、そのコントラストは見事としか言えない。
私が絵画の世界に堕ちたのは、今から10年ほど前、高校一年生の時。世界史の授業がとても変わっていたのを覚えている。 その世界史の授業は、教科書なんてほぼ使わず、絵画や彫刻、レプリカの模型だったりの解釈に基づいて歴史を紐解いていく授業だった。受験で役に立つのかとか、もっと教科書にそわせてなど、多方面において物議を醸すような内容だったけれど、確実に一人の人間の未来を変えたのだから、それほどの力は持っていたんだと思う。 ちなみに当時大好きだった絵は、フェルディナン・ヴィクトール・