私と音楽 たま『カニバル』
最近、たまに絶賛ハマっています。たまはメンバー皆が曲を作り、自分が作った曲については自らがボーカルをつとめるという、もう何と言うか……才能の塊みたいな集団です。流れてくる音を聞いていても、足りない物はないし、無駄な音はひとつもない。あまりに完成されすぎていて、これが同じ人間の作ったものか?と疑いたくなる程です。
話は戻りまして、この『カニバル』は、太鼓の親分こと石川浩司さんが作った曲。7分もある超大作で、後半はほぼ楽器や不規則なコーラスだけで出来ているという……これを名曲と言わずして何というか。どうでもいいけど、こういうのを「プログレ」というらしいと最近知りました。
たまのメンバーの歌声は、当たり前ながらそれぞれ毛色が違います。というか四人とも個性が突出しすぎて「ほんとに同じバンドのメンバーか?」と疑いたくなるほど……。
というわけで、この『カニバル』という曲は、石川さんにしか歌えない、石川さんの歌うスタイルでしか、表現しきれない作品でしょう。『学校にまにあわない』『あつまれ』などもそうですが、石川さんの歌い方からはいつも、心地よい薄寒さを感じさせられます。心霊動画(番組)を見ている時の、ワクワク感と恐怖心がないまぜになった、みたいな感覚に似ているかな。「ここから何が始まるの?何が起こるの?(脂汗)」という独特の恐怖がお好きな方は、きっとこの曲も好き。笑
また歌詞も、非常にイメージがしやすい、簡単な語彙で構成されているように思います。
「まぐろを引きずる農夫の目が変だよ」
「赤いべべ着た娘さんは 背中にセミおんぶしている」
とかですね。まったく現実的な世界観ではないんだけれど、なんとなく、しかし否が応でも鮮明にイメージ出来てしまう。何度も何度も聞いていると、この意味のわからなさを、スッと気持ちよく受け入れられる様になるんだから、不思議です……。
後半3分ほどは、まるで悪夢を見ているような感覚に陥ります(※褒め言葉です)。なので、眠る前などに聞くのはあまりお勧めしません(笑)。とにかくこれはもう聴いてみないと伝わらない……。
というか、ここの音の連なり!!!アドリブでやっていたとしても息の合い方が尋常ではないし、逆に計算してやっているなら、このへんきちりんな旋律を、正確に四人が奏でているということになる…………どっちにしろ神業すぎるので、もうなんというかタダごとではないな……(汗)という感じです。
ぜひ一度聞いていただきたい。ここだけの話(?)YouTubeでも聞けます(『そのろく』というアルバムに収録されています)。
※ここからは、曲を聴いた私の思考が、あちこち飛躍したものになりますので、読み飛ばしてくださっても構いません(^ν^)↓↓↓↓↓↓
私たちは、誰もが「普通」なようでいて、実は誰も「普通」じゃない。かの有名なアインシュタインは、こんな言葉を残しました。とても印象的な言葉です。
「常識とは、十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことを言う」
この世には、「絶対の常識」は存在しない。誰もが、他から見れば、多かれ少なかれ「へんてこ」な存在なんだと私は思います。そんな世界で、「奇形」「異形」と忌み嫌われ、排除されてきた彼らのその本質は、「普通」である私達と何も変わらない……。どこまでを正常とし、どこからを異常と括るのか……。うんん…………思わず考え込んでしまいます。
「異質なもの」を排除するのは、どうしようもない人間の性(さが)です。だからこそ、私達は常日頃から「普通」や「常識」を、少しでも疑ってみる必要性があるんですね。
この曲を聴いて、そんなふうに強く思ったのでした。