日向坂46ドキュメンタリー映画 希望と絶望 感想文
公開翌日の7/9に観に行って来ました。
それから1週間、いろいろと考えたりしたので感想を書いてみようと思います。
まず私が捉えたこの映画のテーマは、「仕事の幅が広がって量も増える中で、一つ一つの仕事のクオリティを保とうとする上での葛藤」でした。コロナ禍という大きな環境の変化もあってそれに対する言及も多くありますが、このテーマはおそらく、どんな状況だとしても、グループが大きくなろうとするときに必ず直面する課題だと思います。
そしてなぜ私にこれが響いたかというと、私自身の状況と重ねているからです。担当領域をしっかりやっていればよかったのが、全体を見るようなことも同時に任されて全然専門じゃ無いことも考えないといけなかったり、それに加えて複数の案件を同時進行で‥等々、「こんなことやったことないからわかんないし」とか「そんな時間ねえよ」とか思いながら、どうすることが正解なのかわからず悩んでいるこの1年くらいを過ごしている中で、映画を観た時に「これ俺と同じじゃん」と思いました。(本当は同じかどうかわかりませんがね。)
似たようなことはオードリーの若林さんも言っていたような気がします。(たしか星野源さんゲスト回のあちこちオードリーで?)M-1出場後にテレビ出演が増えて超多忙な時、充分な準備が出来ず自分が求めているクオリティーで一つ一つの仕事が出来ない。それでおかしくなって知らないうちにセブンティーンアイスの自販機で全種類を買ってた、みたいなお話。おそらく大なり小なり程度の差はあれ多くの人が似たようなことを経験してて、共感できることなんじゃないかなと思います。
結局映画を観たところで何か答えが出たり解決するわけではないですが、佐々木久美キャプテンが話していた「そこにある道ではなく、道を作りながら歩いている感じが凄くあって、それこそが日向坂だと思う。」というようなこと。ここで言う「日向坂」というのはメンバーだけでなく、運営もファンも含めての「日向坂」なんだろうなあと。
映画では、2021年のW-KEYAKIFESでのパフォーマンスに対しての運営側からの苦言、全国ツアーのセットリストに対するメンバーからの不満、等、運営とメンバーが衝突する様子が描かれていました。
ここに関しては様々な議論がある部分だと思いますが、メンバーが出来ると思う範囲内でやっていたらどうしても保守的になるし、感動を生まないパフォーマンスになるんじゃないかなと思います。人の心を動かすのは自分たちが思っている限界を超えた時。それはやはり周りが後押しやある程度のプレッシャーをかけなければ生み出せないものなのだと思います。その中で結果的にこの時期は運営側の期待がメンバーの限界を超えていたのかなと。
運営も完璧じゃないしメンバーも完璧じゃない。というかこれが正解だとか最適だとかいうものも存在しない。その中でメンバー同士も含めすれ違いや衝突したりもして行ったり来たりしながら最適と思われるものを探っていく。そんなところを切り取った映画だったと思います。
また一番心に刺さったのは、渡邉美穂さんが日向坂に対する想いを語る部分。どんなに忙しくても一つ一つの仕事に手を抜くことをしない彼女。ライブの準備中、「分からないことは全て確認する自分に対して、どこか他人事のような感じに見えるメンバーがいて、今一つじゃないなぁというのを肌で感じてしまった。」続けて「感情を抜きにして言ってしまえば、卒業した後の日向坂がどうなっても私の人生には関係ない。でも日向坂が好きだから、その好きな日向坂を悪い状態にしたまま去りたくない。」この言い回しも含めて、グループに対する想像以上の深く熱い想いに観ていて一番涙が溢れてしまった場面でした。
あとはこの映画の作り方として、Twitter等での皆さんの感想の中で「起承転結がない」「ストーリーになってない」というのを見かけましたが本当にその通りだと思いました。竹中監督がyoutubeの紹介番組で、「テロップで説明を入れてるから初めて日向坂を知る方でも楽しめる」というようなことを言っていましたが、とても無理だろうなあと。(もう初めて知る人にはなれないからわからないですが。)ただ私としては、この期間の表舞台の日向坂を知る人が、その裏舞台の一部を見て楽しむ映画として作られているのが良かったなと思いました。竹中監督のこの映画での最大の付加価値は、ドキュメンタリーとしてストーリーを作ることではなく、日向坂46に入り込んでこのような映像を撮ることができたこと。今後も半永久的に続けてほしいなあと思います。
ただ本当は全国ツアーの初めから終わりにかけて、日向坂46というチームがどのように改善されていったのかをもっと見たかった。たぶん地方に出ているから密着出来ていないというのと、仮にメンバー同士の衝突があったとしたらそれは公開出来なかったという事情もあるのかなとか想像しましたが、日向坂のチーム力や久美さんのリーダー力に興味がある私にとってはその過程の部分が一番見たかったところでした。
最後にこの映画を観て私の暮らしに与えた影響について。
一言で言うと「真剣に前向きに悩み続けてみよう」ということ。投げ出して悩みから解放されたいと思う時もあるし、また悩むことが嫌いなのか何事もスパンスパンと割り切って進んでいく人もいる中で、私はそうはなれないなあと。若林さんがあちこちオードリーでこのちゃんに送った、「悩んでる人って面白いから」という言葉。日向坂も、日向坂を好きなおひさまたちも、同じように思う人が多いんじゃないかなとなんとなく思っています。自分だけでなく、それぞれいろんなことに悩んでる人が他にもいると思うと、悩むことに心強くなれます。
また仕事をしている中で時々「やること多いからしょうがないか」とか「時間無いからしょうがないか」とか思ってしまう時には、みほちーの姿や言葉を思い出して、自分に甘くなる自分を引っ張りたいあげたいと思います。
映画全体の感想はここまでで、その他に映画の中のシーンで単発で思ったことを書きます。
・いくつかあったセンター発表のシーン。センター本人がプレッシャーで複雑な顔をしている中、周りのメンバーはあたたかな笑顔というのがほとんど。でもかとしだけは自分がセンター以外の時も神妙な顔つきでセンターを側で見つめているのが印象的でした。
・君しか勝たんのヒット祈願で、かとしがフラフラな状態になっている時、真っ先に心配して駆け寄っていたのがひよたん。2019年春のデビュー直後、ライブでの辛そうにしていたひよたんの心配をして曲中にも関わらず声を掛けていたかとし、の構図が逆になっていてとてもエモーショナルでした。