【人財育成論28回】若者が「ここじゃ成長できない」と感じたらリテンション(定着)は難しい
タイパを重視する若者たち。タイムパフォーマンス、時間を通してどれらだけ成長できるか、身に付けられるかという評価軸を持っている彼ら・彼女らの目はとても鋭いです。多量な情報からそれなりに自分の仮説を立て、それに対して多様な視点で企業を見ていく・・・・その目はとても厳しいと思います。
「3年で辞める」「そもそも入社してくれない」とぼやく人事担当。それも当たり前のことなのです。こうした中で、いろいろな要素の中で、企業はどう「成長してもらえるか」を考える必要があります。一部の人は勝手に育つものですが、多くの場合、人材育成の仕掛けが必要になってきます。成長できると思われないといけないわけなのです。
まっとうな「職場環境」は最低限
成長できる「職場環境」ということは、前提として、まっとうな職場環境lの条件を満たしている必要があります。
□休職者がいない
□社員が皆疲弊していない
□ストレスを感じないで仕事ができる
□コミュニケーションが取れている、対話ができる
□ハラスメントが起きていない
こうした職場環境でないというのなら、早急に対応する必要があります。少しでも「居心地が悪い」「やりにくい」「理解できない」と思ってしまったらすぐにやめます。いわゆるブルシット・ジョブをさせられたり、ITで住むような面白くもない単純作業を我慢させてやらせたり、旧態依然とした非合理的なルールを押し付けたり、したら、もうだめでしょう。
人不足の現代ですから、ちょっとでも「違う」と思ったら、他企業に気軽に移ってしまいます。
成長できる「職場環境」
成長曲線、成長のパターンはそれぞれでしょう。そもそも成長するってなんなのか?ビジネススキルやコンピテンシーが成長すると定義してみます。定量的には能力を数値化しその数値の上昇になりますが、定性的に考えたいと思います。ビジネスパーソンは「どのように」成長するのでしょう。
・やり方を教えてもらったり、経験を積んで、そこから学ぶ
・目標達成に向けて自分で思考し、行動する
・やることや目標を設定(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→反省(Action)ノサイクルとOODAループをできる限りスピィーディーに回す
・直面する課題に向き合い、徹底的に考え抜いて、手を尽くして、時には協力を求めつつ、課題をある程度克服できる
・自分の力を最大限に発揮できるようになる
簡単にいうとこういった行動でしょうか。特に、成長のパターンも成長曲線も人それぞれだと思います。こういった機会を社員に与えられないとそれは「やばい」と言ってもよいでしょう。
成長の罠?
学歴が高かったり、知的レベルが高い人であっても、自分は理解していると過信したり、わかった気になったりすると成長は見込めません。頭でっかちの知識ばかり持っていても、ビジネスシーンでは活躍が見込めません。実行することが大事で、ちょっとひよったり、相手の協力が得られなかったり、なかなか難しいものです。相手と相性が悪くて物事が進まない。相手にメリットを与えられず相互利益が偏っていて相手が納得しない、見極めがあまくてリスクが顕在化する、段取りがスムーズにいかなくて一部の人に迷惑がかかる、伝え方が悪くて相手が混乱する、交渉で相手に過剰配慮して利益がでない、相手に甘い言葉で期待させてしまい誤解を生んでしまう等々。
学び、経験を通して試し、反省して自分の中で出来事を理解して、行動を変容する。それが成長の基本的なモデルと言っても過言ではありません。
若者の「成長志向」「タイパ主義」を考えていきたいと思います。