リーダーシップをどう考えるか?【解説】人的資本可視化指針(第33回:KPIシリーズ)
人的資本シリーズ、33回目になりました。KPI、今回は「リーダーシップ」について取り上げます。
リーダーシップは多元的です。一言で語る人がいますが、そんなに簡単ではありません。組織の形態、責任権限・指示命令系統、組織内関係、業務の場面・状況によって様々なリーダーシップがあります。定義するのが難しいのです。一般的な定義としては、組織やチームのリーダーが目的を遂行するためにメンバーに影響を与えることとされます。しかし、目的遂行のレベルが様々なので、なかなか難しいのです。そのため、全般的に評価されることが多く、ビジョン型とか、コーチ型とか、変革型、援助型、指示型、委任型とか様々に分類されてしまいます。
コンピテンシーとしても、統率力を分解し、洞察力が●●、観察力が●●、人財育成力が●●、コミュニケーション力が●●、決断力が●●、ビジョン作成能力が●●、人間力が●●とか様々に言われます。
また、対象がトップなのか(以下図はトップを示しています)、部長なのか、課長なのか、によっても違います。
・明確な経営方針を提示して、指示命令・号令をかける
・「ジャニーズ問題で広告をどうするか」で決断をする
・未来ビジョンを描き、説明し、納得させる
・予算削減計画の実行を迫る
・組織目標達成のために、皆の意見を聞きつつ働きかける
これらもリーダーシップ、なんとも奥深い世界です。
人的資本で可視化する「リーダーシップ」?
ISOではリーダーシップ関連の指標として以下の指標が提示されています。
これらの指標を解説していきましょう。
①リーダーシップに対する信頼度。これは従業員アンケートで測定します。公平性、誠実性、一貫性などからスコアを計上します。
②管理職1人当たりの部下数。これはすぐに算出できるでしょう。
③リーダーシップ開発。これは注意が必要です。一定期間にリーダーシップ開発プログラムに参加したリーダーの割合であったり、トレーニングに参加したことのあるリーダーの割合で測定されます。リーダーシップ開発プログラムをどう定義するのかが注意が必要でしょう。
評価は?
評価は△です。もちろんそうした指標が取れればいいですが、まだ多くの企業にとってはなじみがないでしょう。管理職の育成は大きな課題ではあるものの、管理職の信頼スコアは優先度が低いところも多いでしょう。そもそもほかの項目で精いっぱいでしょうから。リーダーシップに対する信頼度は人事評価の360度評価のスコアなどで見れます。
しかし、管理職の権威主義的な行動が目に余る、ハラスメントスコアが高い、などの課題がある場合は別です。外部からも「あそこは統制的なマネジメントをしている」「上意下達で軍隊みたい」などと噂が立っているのなら、しっかり説明するためにアンケート調査を実施したり、リーダーシップ開発を定義し、数値を測定、公開するべきでしょう。
PS
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