【人財育成論第7回】人は自分できづくしか成長できない?
「ある人が成長するには、他人を見てその人自身が『こうしなきゃ』と気づかないと変わらない」。これは先日活動をともにしたある、尊敬する先輩の言葉だ。
厳しい環境下で人間の本性は出るもので、人の本質が見える。お世話になっている人に対しても、愚痴を言ってしまうもの。
ついつい自分の利害と他人の利害が対立すると不満も出てきてしまう。相互の期待が違うと愚痴が発生するという事だ。
ただ、相手へ不満を感じても、それはこちらの要求水準が高いだけであって、本人が不満をもたないレベルまで相手が向上するのは短期間では難しい。愚痴るのはいいが、批判にまでエスカレートさせるのは意味がないということだ。むなしさだけが残る。
そもそも、人には、視野の広さの差、行動力の差、思考力の差があるのだ。
◇相手を批判するが・・・
他人の行動をコントロールすることは無理である。
相手に行動変化や成長を期待しても、変わらないし、そもそも変われない。短期間では。
「あいつは〇が足りない」「なんで〇できないのだ!」と愚痴るが、それができないのは
その人の
・顕在能力(思考と行動)
・潜在能力の発揮可能性
・視野
・接遇
・指導を聞く耳
・おかれた環境
・負荷度合
・心理状況
もしくは
・こちらの指導:やり方をしっかり教えたか?
にどこかに問題があるからだろう。
で、先の先輩の話に戻るのだが、他人が「こうすべき」と言っても、なかなか短期間で改善するのは厳しい。
他人には他人の良さがあり、自分には自分の良さがある。特性は裏腹の関係になる。
□喋るのがうまい⇔■黙々と我慢して仕事をする
□先読みができる⇔■先は読まないがとにかく現状に一生懸命
□思考力が深い⇔■思考力が浅いがとにかく行動する
□素早い⇔■ミスが目立つ
□我慢できる⇔■軽口をたたく
人の優れている点、優れていない点。それぞれ場面場面によって違うように見える。場面によっては役に立つときもあるし、役に立たない時もある。」
つまり、相手の能力をしっかり分析し、そうしたものを受け止めて理解してあげて、生きていけば愚痴も出ないのではないかと思った。そういうことをわかって、相手に配慮し、采配する天才が二階さんである。
◇成長に向けて
上司などの他人から「〇が足りない」「〇が弱い」と言われても、本人は「そんなん知っている」「わかっている」ということもあるだろう。素直に受け入れられない自分がそこにはいる。さらに、改善に向けてのヒントをくれない場合は、余計にだ。
自分が変わるには自分を変えるしかない。そのためには、いろいろな基準や優れた人と近くにいて自己を成長させる謙虚な姿勢が必要だろう。能力が低い人の間でお山の大将をやっているうちは、成長ができないということか。
多くの経験をして、特に修羅場を経験することによって、自分が成長できるチャンスがあるのではないかと思う。