
東京国立近代美術館 6室 記録
東京国立近代美術館が所蔵している戦争画の記録です。
所蔵作品展ごとに展示作品の入れ替えが行われますが、美術館が所蔵している戦争画を全て鑑賞するのにはかなりの年数がかかるので随時更新していきます。
所蔵作品展は全12室からなり、戦争画はその中の「6室」というところに展示されます(稀に変わる)。
その「6室」は全12室の中でも群を抜いて重すぎる空気が流れている異質の部屋だと思っています。なのに不思議な魅力があります。
ものすごく興味深そうに鑑賞している外国人をよく見かけたり、藤田嗣治の『血戦ガダルカナル』を椅子に座ってしばらく眺めているご夫婦がいたり。反対に「きもちわるい!」と言いながら6室をスタスタ通り抜けていく日本人がいたりします。
そして戦争画はとにかく大きいです。
描かれている人物も等身大に近いので、観ていると作品の場面に自分も居合わせているような感覚になります。
そのくらい没入感があるので、6室を出る頃にはアトラクションに乗ったあとくらい疲れています。これほど戦時や戦場を没入感をもって感じられることはないと思います。
そんな作品を今は亡き画家達が戦時中に何枚も何枚も描いて「後世に残る作品を」と大作を遺したことを思うと、日本人であるなら一度は戦争画を実際に鑑賞してほしいという気持ちになります。
それを受信できるアンテナを持っている人は作品を前に立ち尽くしてしまうほど、ここに載せている写真の比ではない強さが作品から放たれています。画家が作品を通して戦争をどう伝えたかったのか感じてほしいです。この記録で、観に行ってみようかなと少しでも思っていただけたら嬉しい限りです。
藤田嗣治『哈爾哈河畔之戦闘』1941年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2022.5.17–10.2)

140.0×448.0(㎝)



藤田嗣治『ソロモン海域に於ける米兵の末路』1943年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)







ドラクロワの《地獄のダンテとウェルギリウス》(1822年、同)
といった、フランスのロマン主義絵画との関連が
指摘されています。─ 解説より
藤田嗣治『血戦ガダルカナル』1944年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)





藤田が1943年に描いた《アッツ島玉砕》にも登場しています。
同じポーズはバチカンにあるラファエロの壁画
《ミルウィウス橋の戦い》(1520-24年)にも見え、
藤田が何らかの参考にした可能性もあります。─ 解説より





藤田嗣治『大柿部隊の奮戦』1944年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2022.5.17–10.2)

藤田嗣治『薫(かおる)空挺隊敵陣に強行着陸奮戦す』1945年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2022.5.17–10.2)




宮本三郎『山下、パーシバル両司令官会見図』1942年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)




左:宮本三郎『山下、パーシバル両司令官会見図』1942年
右:小磯良平『カリジャティ会見図』1942年



宮本三郎『シンガポール陥落』1944年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)



宮本三郎『本間、ウエンライト会見図』1944年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2022.5.17–10.2)


小磯良平『カリジャティ会見図』1942年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)



小磯良平『カンパル攻略(倉田中尉の奮戦)』1944年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2022.5.17–10.2)


向井潤吉『四月九日の記録(バタアン半島総攻撃)』1942年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)



向井潤吉『バリッドスロン殲滅戦』1944年
所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.9.3-12.22)



