2000年にユニクロ入社して1年で逃げ出した男が元同僚を訪ね歩いてみた
ユニクロ町田店(154番店)で一緒に働いていた人たちを訪ね歩いてみたい、と思ったのは2012年のことだった。僕は2000年に新卒入社をしてこの店で働き、半年後には別の新店舗に異動になって翌年には逃げ出すように退職した。わずか1年間のユニクロ経験。はっきり言って苦い思い出であり、ファーストリテイリングというドライすぎる社風の企業は今でも好きになれない。
しかし、町田店を思い出すたびにほっこりした気持ちになる。みんな仕事には真剣だったけれど、仕事が遅い人(僕を含めて)を追い詰めたりしない雰囲気があった。ぬるいといえばぬるい。でも、人間が働く組織には信賞必罰の厳しさと正しさだけでなく、強者が弱者をフォローする温かさが必要なのだ。それを体験できたことが、ユニクロを挫折した僕にとっての唯一の救いだったのだと今では思う。
本書は、当時の店長から謎のアルバイト社員までと10年ぶりに再会し、ユニクロの業務や人間関係、そして現在の生活について語り合ったロードムービーのようなビジネス書である。2013年にぱる出版から単行本『私たち、「ユニクロ154番店」で働いていました。』として出版された。僕のユニクロ入社20年を記念(失敗の記念だが)して、出版社の許可を得たうえでnoteのマガジンで再販売する。※1~6章までは各200円で個別購入可能です。以下の目次のリンクをクリックしていただければ、冒頭の数十行を試し読みもできます。ご利用ください。
【プロローグ】
居心地の良かった「ユニクロ154番店」の跡地を訪ねて
退職しても遊びに行った小さいながらも楽しい「わが店」
ロードサイドにあったユニクロ旧型店舗。閉店10年後の姿
ユニクロ町田店は好きだった。でも会社には愛がない
【第1章】
裏店長と呼ばれたAランクパートとフリースブーム以前入社の古参準社員
ユニクロ黎明期を知る「裏店長」と呼ばれたAランクパート
すべての作業が「人時」で計画される店舗現場
僕が触れた柳井社長の極端すぎる人柄
脅迫に近い柳井メールとアメとムチを使い分ける幹部たち
アットホームな個性派ぞろいのユニクロ町田店
ユニクロ業務「商整」「レイアウト」「売変」とは何か
妄想系男子にユニクロ社員は務まらない
スクラップされた店舗のスタッフはどうなるのか
白々しいスタッフ募集のポスターを前にして
忘れ去られつつある「国内・郊外・小型」店舗
1日売上10万円未満。フリースブーム以前のユニクロにて
白のフリースだけ200枚余った。ブーム初年度の混乱
ユニクロ元スタッフを見分ける方法
まったく羨ましくない「7年間で14回の引越」
【第2章】
サッカー選手を目指すフリーターと元ギャル。アルバイトスタッフの意外な本音
社員の指示にも平気で反論する異能のアルバイト
フリーター遍歴は「ブックオフ→レンタルビデオ店→ユニクロ」
店内恋愛の切ない末路
ユニクロが「人材輩出企業」になれないたったひとつの理由
シフトも組めない店長をバックルームに呼び出した日
店長抜きでSVとアルバイトが話したこと
「今の仕事に比べたら、ユニクロの店長なんて楽ですよ」
金髪を黒く染めてユニクロに入った元ギャル
ユニクロで働くと小売業での再就職がしやすくなる
「急がば回れ」の意味を知らない僕とユニクロ
最終出勤日を終えたらそのままサヨウナラ
ユニクロよりやりがいのある仕事が見つかった
【第3章】
売れることだけがユニクロにおける唯一の正解
僕のユニクロ就職、そして退職ストーリー
短大卒「アソシエイト社員」の入社理由は初任給23万円
扱いづらい存在だったアソシエイト社員
1998年を境に「違う会社」になった
スタッフの退職理由が私だった
仕事は楽しかった。だから4年も続けられた
学生アルバイト→正社員→コンビニのスーパーバイザー
尊敬される社員、愛想笑いをされる元社員
学生アルバイトなのに2度も転勤した理由
体育館での絶叫研修。保健室送り6名
「時給半分でも文句言うな」。ユニクロ現役社員との対話
社員以外は全員クビ。「法的には問題ありません」
【第4章】
ユニクロ常連客の外資系金融マンとCSスタッフ賞受賞の美人現役スタッフ
暗かった高校生時代、ユニクロ町田店に通い詰めていました
ロックンロールTシャツとアディダス三本ラインジャージ
なぜ外資系金融マンはユニクロを評価するのか
公認会計士の卵が語るユニクロでのアルバイト体験
1日の売上30万円が翌月には1000万円に急増
のん気な男性スタッフ、しっかり者の女性スタッフ
「CSスタッフ賞」を受賞できた背景
「スターバックスとユニクロ」の接客の違い
【第5章】
元チーマーと元銀行員がなぜユニクロに? 謎だらけだった2人の過去
ユニクロ町田店内の大ゲンカ。10年目の真実
「不慮の事故までを踏まえて出勤すべき」と主張するSV
仕事ができない店長の一生懸命な姿が好きだった
御曹司→チーマー→演歌歌手付き人→ガテン系派遣社員
売る物が変わっても営業マンの仕事は同じ
社会復帰へのリハビリ機関としてのユニクロ
「夜の仕事」のためにスクーターでやってくる謎の美女
怒られるスタッフと怒られないスタッフの明確な違い
ユニクロの前は北海道拓殖銀行の経理係だった
「結婚は後にしたい」と言うなら別れてもいいよ
大人の服はユニクロで買うけれど子ども服は別の店で
【第6章】
勤続16年「ユニクロが青春だった」元スーパースター店長との邂逅
ユニクロで16年間も働いた叩き上げ店長は語る
「僕のようなバカにしかやれない仕事」
柳井社長による入社面接。「カオス理論って何?」
「店長の墓場」と言われた静岡の店舗へ
「店長、もうちょっと楽しんで仕事しましょうよ」
154番店がスクラップされた本当の理由
働き心地と成果追求のはざまで
仕事の成果だけで評価してほしい男たち
ユニクロのマークを見るだけで胃が痛む
人はどんな場所でも働けるわけではない
名ばかりSS店長の行く末
ユニクロ卒業生ふたり。13年目の握手
【エピローグ】
地域で愛されるユニクロに生まれ変われ
柳井社長、愛のない会社で満足ですか?
町田店のスクラップは「仕方なかった」のか
大手アパレル企業に勤める女性の言い分
「いいお店」「いい会社」とは何なのだろうか
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上記の第1~6章に加え、プロローグとエピローグを読むことができます。1000円です。
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