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童貞シリーズ

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童貞くんはいつもカノジョがいません。 なので、たくさんの女の人を見てはドキドキしてしまいます。 「あれこの人、僕のこと好きなのでは?」 と勘違いします。妄想のしすぎです。 ショー…
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2021年11月の記事一覧

ファストフードの人

 映画の試写会に当たった。
 試写会は夜の7時前に上映する。
 その前に食事をとっておきたかった。

 映画館近くのマク●ナルドに入って、単品でハンバーガーを二つとジュースを頼んだ。
 するとカウンターのお姉さんが商品を持ってきて、こういった。
「あの、よかったらこれ食べてくれませんか?」
 トレーを見ると注文したものとは別にアップルパイがのっていた。

「え? 頼んでないですけど?」
「よかった

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おはようの子

 朝、学校にいこうといつもの道を歩く。
 すると背後から声をかけられた。
 
 振り返ると三つ編みのセーラー服の女子生徒。
 クラスメイトだ。

「童貞くん、おはよう」
 僕はビックリした。
 いつも話さない女の子だからだ。
「あ……お、おはよ」
 ニコニコ笑っていた彼女を見て思った。

 この子、僕に惚れているかもしれない!

見せてくる子

 学校で行事のため、机を全部教室の後ろに片づけていた。
 女子と男子は分かれて窓側と廊下側の壁に一列に並んで座る。

 司会役の委員長と副委員長が黒板にチョークで書いて役決めを考えている。

 それ以外の生徒たちはみんな役が決まるまで退屈そうに隣りの生徒と私語をしていた。
 担任の先生がいないからだ。

 僕は特に誰かと仲がいいわけではないので、ボーッとしていた。
 ふと反対側の女子の方を見ていた

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高熱の子

 学校で中間テストが行われていた。
 僕はテスト期間中が大好きだ。
 別に勉強が好きだとか、成績をあげたいわけじゃない。
 宿題もないし、授業がないからだ。
 おかげで毎回0点に近い。

 義務教育なんだからどうでもいいと思っていた。

 そんなテスト期間も最終日。
 帰りのホームルームで担任の先生が一人の女子を教壇に呼んだ。
 クラスでもかなり可愛いマリナちゃんだ。
 顔が火照っていて、足取りが

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傘の子

 その日は土曜日だった。
 朝テレビで午後から雨が降るかもしれないと言っていたので、傘を持参して登校した。

 だが予報は大いに裏切られ、雲一つない日本晴れだった。
 下校時間になっても天気が崩れることはない。

 僕は友達と「雨ふらなかったよね」と苦笑いして、下駄箱の傘を取って下校した。

 帰り道、友達が僕の持っている傘を見ていった。
「ねぇ童貞君、それ君の傘じゃないよ?」
「え?」
 彼に言

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エレベーターの子

 あれはいとこの結婚式の日だった。
 僕は二十歳になっても未だに彼女もなし、童貞をこじらせていた。
 そんな時に幸せいっぱいの結婚式を見てイライラしていた。
 飲みなれないビールをがぶ飲みして酔っ払いながら帰宅した。

 自宅のマンションはオートロックの自動ドアで一階で鍵を差し込まないと開かない。
 結婚式に参加したため、慣れないスーツを着ていて、どこに鍵をなおしたかわからなくなった。
 いとこと

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ギャップが激しい子

 夏に近づいて僕は少しメンタルが脆くなっていた。
 風邪をひいているわけではないが、1週間以上学校を休んでいた。
 というか、避けていたのかしれない。

 パジャマで毎日過ごしていた。
 勉強もろくにせずテレビやゲームばかりでごろごろしている。
 それでも学校に行かなきゃなあとはなんとなく感じていた。

 けど、だるいなぁていうのが本音。

 日曜日になって、家族はみんな外出しており、家には僕一人

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お菓しの子

 僕が高校生の時だった。
 女っ気のないオタ友二人と、教室でたわいのない話をしていた。

 そんな時だった……。
 後ろの方の席で固まっていた女子グループがにぎわっていた。
 女の子たちはいつも華があっていい。
 キャッキャッいって、見ているこちらもほほえましい。

 だが、僕が見ていたのはひとりだけ。
 クラスの中でも一番目が大きくて、可愛らしい女の子。桃山さん。
 僕は彼女をずっと可愛い子だな

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