見出し画像

はじめて鹿を食べた日

穂村弘さんの「君がいない日夜のごはん」を読み終えた。

食べ物の話で思い出した出来事を書いてみる。

今こそジビエはいろんなとこで食べれるけど、大学の頃は街中ではそんなに食べれなかった。
大学に入ってから、大学近くの定食屋さんで友人とダチョウのカツを食べたとき、たいへんな冒険をした気になった。その店にはわにやカエルの肉のメニューもあったけど、挑戦する前になくなってしまった。

大学の美術部の合宿で、先輩がボタン鍋を食べられる宿を予約してくれた。
滋賀の山奥の、夫妻が経営している小さな民宿だった柴犬っぽいわんこもいるアットホームな宿だった。
夕食に予定通りボタン鍋をつついていたら、宿のおじさんが「近くで鹿がはねられたからそれを今から持ってきてくれる」と言い出した。
しばらくすると、庭にはねられたてホヤホヤの息絶えた鹿が運ばれてきた。
どうするのかな?と思っていたらおじさんが手早く捌き出した。
かわいいわんこは牙を剥き出しにして、剥いだ皮に食いついていた。肉からホヤホヤと湯気が出ていた。(11月頃だったので寒かった)

一通り捌き終えて食事の席にもどると、おじさんが生肉をのせた皿を差し出した。
鹿の生レバーだった。食ってみな、飛ぶぞ的な感じで回ってきた。

当時2回生だった私と友人2人は、言われるままに2.3切れ食べた。
「しゅぱっとしてこんなの食べたことない!」と友人が言い、キャッキャしていたが、先輩達の顔はひきつっていて、箸をつけてなかった。

あ、察し…

それ以上食べるのはやめた。 
ガラケー自体でその場で即座にググると言う文化はなかった。

微生物のテストが近かったので、帰ってから感染症の教科書を開いた。
パラパラとめくっていると、ウイルス性肝炎のページにE型肝炎は鹿の生肉が感染源と書かれているのを発見した。
友人にも即知らせた。
「顔が黄色くなってたりしたら教えてな…」
と、言いあった。

とんでもない鹿肉との出会いだった。
しかしなぜ先輩も食べるのを止めてくれなかったんやろう…

無事感染はしなかった。

鹿肉との出会いはとんでもなかった。

ただ嫌いになることはなく、むしろあれ以上危険な食べ物はないだろうと、あとゴールデンカムイの後押しもあり、その後もヤシガニとか、アナグマとか、クマとか機会があれば食べている。

またどこかの機会で。

※ジビエの生肉は原則ダメ!絶対です…肝炎ウイルスだけじゃく寄生虫とかももってることがありますので…

(写真は昨日食べた牛タンです。安全な肉🍖)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?