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老舗袋屋の「新米社長」奮闘記~想いを伝えるために始めた3つの取り組み~

「コロナで先行きわからないけど予定通り事業承継はするからな」。今振り返ると、父から言われたこの一言が、自分が本当に社長になるんやなと強く意識したタイミングだったようです。

はじめまして、袋屋の白石と申します。72年続く袋屋の社長を継いでから2年目に入りました。日々あれこれしていると、あっという間に時間が過ぎていき、このままだと何をしたか記憶に残らないという想いに駆られてnoteをはじめることにしました。
1年目にやったことの備忘録としつつ、弊社のこと、業界のことを少しでも知ってもらえたらと思っております。

袋屋ってなんぞ?

簡単に事業を説明させて頂くと「袋屋」です。主に紙袋の製造を生業としています。この袋屋というやつは「重包装(産業用途)」と「軽包装(消費者向け)」に大別されるのですが、私は前者を生業としております。簡単に言うと、工場から工場の輸送に使われる紙袋で、その中身はセメント、小麦粉、化学薬品、お米などです。重いものを包んでナンボの世界なので破れない、漏れない、崩れない、などの質実剛健さが求められます。
※お米の袋も製造しているので1年目とかけて新米社長といっております。

そんな重包装袋の企業である大阪の袋屋、シコー株式会社(http://www.siko.co.jp/)の創業家3代目として新卒で2004年に入社をして、昨年2021年6月に私は39歳で社長に就任しました。

自社HPからそれらしき画像を抜粋

事業承継した背景

事業承継に関しては現相談役にあたる父が5年ほどかけて丁寧に段取りをしてから迎えたので、株式の関係はもちろん、社内外にも一切問題はなく新体制でのスタートをきることができました。このあたりはアトツギ界隈の友人の話を聞くと珍しいようなので、いつか記事にしたいと思います。

創業者である祖父が50代で亡くなり、30歳で事業承継をした父は相当な苦労を伴う事業承継だったようです。その分、息子には苦労をかけずにバトンを託してくれたので本当に感謝しかありません。

ただ、唯一の問題はコロナでした。弊社もコロナによる受注減はありましたが、事業承継については冒頭のセリフにあるように予定通り実施しました。私の経営者としての船出は食糧を潤沢に用意し、コンパスも地図もある、頼れるベテランクルーもいる。ただ、悲しいかな猛烈な嵐の中での出航。。。そんなスタートでした。

1年目にやったこと

コロナで当面出張などにしにくいことはわかっていたので、お客様はもちろん、就任後の挨拶を国内に8つある自社工場にもいけないことは目に見えていました。どうしようもないことを嘆くのは苦手なので、とにかく自分に何ができるか?を考えて、エネルギーを社内に向けて注ぐことにしました。その結果、「自分がどういう会社を目指すのか伝える努力をしよう」と決めて以下の具体的な策を実施しました。

  1. デジタル社内報を開始

  2. ビジョンの作成

  3. ゆるキャラの作成

なぜ、伝える努力を社内に向けてすると決めたのか?

決め手になったのはやはりコロナでした。ただ、その前から「自分の話って伝えたい半分も相手に伝わっていないよな」と強烈に感じていました。それは自分の話し方に起因する部分が大きいのですが、「良い会社にしたい」と思ってくれている社員さんにでさえ、自分の考えを正確に伝えられていないところに大きな違和感と危機感を覚えていました。

私の父は紳士で人望もあるのですが、そんな先代社長の「どういう会社にしたいか」という想いでさえも、私が期待するほどには周囲に伝わっていないようにも感じていました。
上記を踏まえて、「自分が父の伝え方を模倣しても劣化版にしかならないぞ」と考えて、誰にでも、どこにいても、同じように、しかも、同じ熱量で、明確に伝えられる方法はないかと模索するようになっていました。
事業承継の前からそんなことを考えて、社長就任と同時に自分の想いを伝えるために以下3点を具体的な取り組みとしました。

その1~デジタル社内報~

シコータイムズ抜粋:noteに似ていて書きやすく、読み手からのリアクションも可能

先代の頃にワードで作成した「社長通信」というものがあり、社内でそれなりに浸透していました。この数年は途絶えていたので、これを自分の代でデジタルにして復活させることにしました。

なぜ、デジタル社内報を立ち上げたのか?

  • いつでも、どこでも読めるから(PC、スマホ対応)

  • 双方向のコミュニケーションが成立するから(読み手もコメントできる)

  • 「編集部」というチームが発信する場にできるから(社長以外も発信)

社長就任と同時に社内報で「どういう会社にしたいか?」を配信することで開始し、その後はシコータイムズ編集部より1週間に1本の記事を継続して配信することができています。

シコーのデジタル社内報はourly株式会社様(https://service.ourly.jp/)のサービスを利用しているのですが、チーム運営で1年以上継続して発信している点をご評価頂き、アンバサダー1号に就任することができたのは社内報メンバーにとって大きな自信となりました。(このあたりのこともいずれnoteに書きたいです)

その2~ビジョン~

社長就任後にデジタル社内報を開始し、それからビジョンメイキングというプロジェクトを立ち上げました。外部企業様にサポート頂き、「年齢・役職・所属先」の違う総勢15名からなるチームで3カ月半かけて作成をしました。プロジェクトメンバー以外にも所有感をもってもらうために、毎回打ち合わせのあとに参加メンバーがそれぞれの所属先でヒアリングを行ったり、シコータイムズを通じてビジョンメイキングのを進捗を配信しました。

どうしてビジョンを作成したのか?

  • 従来の経営理念をベースに、誰にでも明快なモノをつくりたかったから

  • 様々なメンバーを巻き込んで、様々なアイデアを取り入れたかったから

  • 経営において自分自身が一貫してブレない軸が欲しかったから

ここでいうビジョンの定義は「自社」と「お客様」と「社会」の3つが実現したら最高だと感じる長期的な目標としています。このプロジェクトでビジョンを含む5つの言葉をシコーなりに定義しました。

最終的にシコーのビジョンは「包装で創るストレスフリーな世界~つかいやすく、かたづけやすく、つくりやすい」というものになりました。
ちなみに副題の「つくりやすい」というものは工場のベテランオペレーターの方から出たアイデアです。「世の中やお客様のためにという気持ちは大切だけど、重いものを軽くするなど、これからのシコーの現場で働く人が製品を安定して、つくりやすい会社にして欲しいです」といわれたのは私にとってまさに目からウロコでした。

また、バリューとしてシコー6箇条なる「シコーが大切にすべき価値観」の作成もしたので、採用活動も従来より伝えやすくなったと感じています。

何よりも、ビジョン自分自身にとってお守りのような存在となり、経営判断で考えることはあれども、悩むことは減少したので、自分がビジョンの恩恵に一番浸っているようです。
作成したものの、社内浸透はまだまだなので、これをあらゆる会議や評価制度などに織り込んでいくのが今後の目標です。

ビジョンメイキングの完成イラスト
※諸般の事情でまだ自社HPに反映させておりません(2022年末の予定)
シコー6箇条:従来からあった言語を6つにカテゴライズしました。

その3~ゆるキャラ~

「シコーらしさ」という言葉からシコラと命名

最後の3つ目はこの記事の随所に盛り込んでいる、ゆるキャラ「シコラ」の作成です。学生時代の友人がデザイナーをしているご縁からお願いすることになりました。

どうしてゆるキャラを作成したのか?

  • 小難しい話を伝えるときに、興味をもってもらえる緩衝剤になるから

  • ゆるキャラ作成プロセスで多くの社員さんと一体感が醸造されるから

  • 同業他社ではあまり目にしないのでオモロイと感じたから

    社員の皆さんに所有感をもってもらために、上記シコータイムズを通じてデザインを全社員に募集をして、そこから出てきた4つのデッサンをデザイナーさんに、ゆるキャラデザインをおこしてもらいました。その4つを「シコーゆるキャラ選手権」の投票を経て誕生したのがシコラです。
    余談ですが、弊社営業マンの娘さんのアイデアが採用されたのは何だかシコーらしいなーと感じています。
    現在は自分の手の離れたところでシコラの背中にチャックがつけられたり、LINEスタンプ作成プロジェクトが進んでいたりと社内に定着しています。

振り返って感じること

あっという間に社長2年目に突入しましたが、1年目に取り組んだことを振り返ると以下が根底にあったなと感じています。そして、これらは恐らく今後も踏襲していくと思います。

  • みんなを巻き込む

  • デジタルを取り入れる

  • オモロイと感じるアソビ心を取り入れる

コロナ禍ということを除いた環境としては非常に恵まれた中での事業承継でした。新しいことへのトライも協力してくれるメンバーに恵まれているとも感じています。環境に恵まれている分、もし経営がうまくいかない場合は、誰のせいにもできないというプレッシャーも感じているのが本音です。
ただ、そんな中でも眉間にシワをよせず、少しばかりのアソビ心を忘れずにありたいものです。
営業、採用、広報など色々取り組んできたことがあるので、これから少しずつ記事にして発信していければと思います。
noteを書いて改めて感じたのですが、やはり自分の想いを相手に伝えることってすごく難しい!
でも諦めずに、試行錯誤を続けていきたいものです。

おあとがよろしいようで。

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