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2.孫の世代の教科書に載るであろうお話

私がなぜ、
おにぎり屋さんになりたいと
思ったのか、、

その前に2つおにぎりにまつわる
お話をしたいと思います。


1,母のおにぎり


私は子供の頃に何を食べていたのか、
正直あまり記憶がありません。

思い出すのは出前とか外食ばかり。

ただ1つ記憶に残っているのは、
母が時々作ってくれた塩むすび。

梅干し入りの海苔を巻いたおにぎりです。

私が小学校低学年の頃の母は、
とても忙しそうでした。

自営業の仕事に加えて、
病気で入退院を繰り返していた
兄のお世話。

病院に泊まる事も何度も
あったと記憶しています。

家事もあるし、
私もまだ小さかったし
きっと母は猫の手を借りても
足りないくらい忙しかったと思います。

父も仕事、母は不在。
そんな日が続く事は
多かったですが、

いつもテーブルには
おにぎりが、、

私は家のリビングで1人、
母が作ってくれたおにぎりを
頬張っていました。


母のおにぎりはホワホワのご飯に
ちょうどよい塩加減、

少し甘めで
ほんのり酸っぱい梅干し。

海苔の香りに包まれて
ひと口食べたら
気持ちがほっこりしたのを
覚えています。


そして冷めているのに
本当に美味しかった。

父の会社が倒産して、
生活が苦しかった時も
よく食べた。

そして私が結婚して
子どもができてから

可愛い孫の為に
握ってくれたおにぎりも、、

「何もないけど食べな。」と言って
母が作ってくれたおにぎりは
本当に絶品でした。

昔は「肉じゃがはお袋の味」なんて
聞いた事がありますが、

私にとってお母さんの味は
間違いなく「おにぎり」です。


自分が母親になって
子供達が小さかった頃、
母に聞いたことがあります。
 
私 「どうやって作ればお母さんみたいに
おいしいおにぎりが作れるの?塩はどのくらい?」
 
母 「えぇ~、わかんないよ。
そんなの、テキトーだよ。
だいたいでいいのよ。
やってればそのうち美味しくなるよ。」
 
私 「え~~・・・
全然わかんなーーい。
塩はどれくらいよ〜?
教えてよ。」

母「えー、わかんないよ。
どれくらいなんて、、
だいたいの感覚だよ。」

と、、
まったくヒントもない。


自分で作るおにぎりは
母のおにぎりよりも
全然ふわふわしていない、、
むしろ固くない??

「どーやってんの??
ちゃんと教えてよ、お母さん。」

しかし、そんな母は
2014年8月に
ガンでこの世を去りました。

結局コツも何もわからぬまま、
母は私の握ったおにぎりを
一度も食べる事なく
天国へ逝ってしまいました。。


だから
いつか、母の眠る九州に
おにぎりを持って行きたい、、、

絶対に叶えたい
夢ができた。


2,いらないの?おにぎり。

それから
バタバタと忙しい日々、、、

そうこうしているうちに
子供達にお弁当や
おにぎりを作る機会が増えました。

特に下の子(息子)は好き嫌いが多く、
体も細め。そして少食。

細い体ではケガもする、、、
心配だ、、、
体も大きくなってほしい、、、
そんな想いで作るおにぎりは

でかい!!

でも、残そうものなら
親の目が光っていますから、

時に息子は
嗚咽しながら
無理矢理頬ばって
たべる事もありました。

そして
小学校高学年になると
変化がありました。

ミニバスの試合に持っていく
おにぎりを平気で残して
帰ってくるようになったのです。


1日中スポーツをしていて
たった3つのおにぎりも
完食せずに残して帰ってくるなんて、、、

「それじゃ〜、細いままだよ!」
「なんで残すの?」

そして、
おにぎりを作った朝は毎回
「今日は残さず全部食べなきゃダメだからね!!」

心配と怒りでつい毎回、
色々言ってしまいます。


残して返ってくるたびに
親に色々言われる息子。。

そしてある時、
とうとう息子が
「もう、コンビニのおにぎりがいい!」
と言ってきたのです。

私は怒りとショックで
「あ〜そう、
もぉー、いいよ!

じゃ〜、コンビニで
おにぎりでも何でも
買って勝手に食べなっ!」

それから私は
息子におにぎりを作ることを
やめました。

親の気も知らないで、、、
全く!!


そしてここからしばらく
息子と私の
無言の戦いが続いたのですが、

その間、
実は私は少し反省していました。

バスケを頑張っている息子が、
お昼におにぎりを出したら

朝、親にうるさく言われたことを
思い出す。。

そんなおにぎりじゃ〜
美味しいわけがないよね、、、

バスケを頑張っている息子を
応援して作っているおにぎりのはずが、、

息子を嫌な気持ちにさせて
邪魔しているのかも、、、

わぁ〜、全部私のせいだ、、

息子を応援するどころか、
追い詰めていただけだったのかも、、、

息子に謝りたい!!!
本当はお昼のおにぎりは
パワーの源でなければいけないのに、、、

「今まで本当にごめん。」
心から謝りました。

そしたら
息子「本当はお母さんのおにぎりがいい!」
と言いました。

私は嬉しくなって、
「でしょ〜。だよね〜。」


ひと悶着あったけど、
今まで
握ってきたおにぎりの中には

ちゃんと「最高のスパイス」が
入っているのだから、、、

どんなものにも負けない。
消える事はない
心が温かくなるもの。。
それは息子にもちゃんと届いていたんだ。

あっ、、そうか、、、
私のお母が
私に作ってくれたおにぎりも
こんなおにぎりだったんだ。。。

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onigiri 研究室
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