書店を訪れる愛すべき難客たち①
書店に勤めていると必ず訪れる愛すべき難客たち。
彼・彼女らは我々書店員を試そうとしているかの如く難題や暗号なみのキーワードを持ってやってくる。
しかし、それを名探偵のように解決することで我々もお客様も至上の喜びを感じるのである。特に書店員からしたらエクスタシーを覚えるレベルだと思う。
そんな愛すべき難客たちのエピソードを少しずつ紹介しよう。
ただ黙ってレジカウンター前に立っている
定期購読の常連さんにありがちなこのスタイル。
自分が来れば定期の本が出てくると思ってしまっている。
しかしスタッフ全員がそのお客さんを認識している訳ではない。曜日や時間でシフトも違えば全くそのお客さんを知らないスタッフもいるのである。
一応連絡事項で「こんなお客さんだよ」と全員に周知されているものの、初見のスタッフにしてみれば「なんなんだろう?」となるもの。まあなんとなく定期のお客さんかなと察するものの、その定期が何かはわからない。そんなときは「あれ?なんでしたっけ?エヘヘ」とど忘れ演技でごまかすのが最善策。こういうタイプのお客さんはガチで「なんでしょうか?」と聞くと機嫌が悪くなることが多いので、ここはアホなフリで通す。ぼそっと「〇〇だよ」と言ってきたらこっちのもの。大げさに「あああ~そうでした!失礼しました!」、「今回は〇号ですね!」とにこやかに接客することがポイント。
うたの本
これは私がもっとも手こずった事案。
お客:「病院の待合室で見たんだけど歌の本で4文字か5文字のタイトルなんだけど・・・」
私:「雑誌ですか?普通の本ですか?」
お客:「雑誌」
私:「歌の手帖?」
お客:「違うなあ・・」
私「カラオケファンですかね?」
お客:「違う。歌の本じゃないの」
私:「??????」
私:「何か表紙とか覚えてるものってあります?」
お客:「そうだ。JAで出してる本!」
私:「JA!?」
お客:「そうJAって書いてあった」
私:「今調べてみますね」
~~~~~~~~~
色々検索するもヒットせず。
私:「もしかしてJAで出している冊子みたいなものですかね?」
お客:「違うよ、ちゃんとした雑誌で、値段も忘れちゃったけどあった」
私:「うーーーーん」
お客:「ひらがなで『うた』って入ってて、なんか表紙の色がきれいだった」
ピコーン!!
売り場から1冊の雑誌を取り、「これですか?」と聞く。
お客:「そう、それ!」
しかも裏表紙の全面広告がJAだったという。
さすが農文協。
まだまだエピソードがありますがそれはまた次回。
ありがとうございました。
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