写真
たった1枚だけ不思議な写真を持っている。
小学生の頃、春の遠足の集合写真だ。
地元の山奥の某湖の石碑前で
クラスメイトと担任教師が写っている。
正直な話、小、中学生時代の
集合写真は割と心霊写真が多い。
まあ、確かめた事は無いけれど
顔が写り込んでいるものは多数有る。
湖での写真にも、女の顔が幾つか写っている。
だから、別に其れは不思議では無い。
不思議な事は、集合写真に写る私だ。
虐められっ子。
写真嫌い。
集合写真なのに、1人離れて写る私。
クラスメイトや担任教師は
普通に笑い写っている。
クラスメイト、担任教師。
石碑。
湖の向こうのガードレール。
山の緑の木々。
合間に写る女の顔。
普通に、はっきりと、鮮明に。
なのに。
私だけ。
私だけが、薄くなっていく。
最初は気の所為かと思った。
けれど、だんだんと…
私の向こう側、
ガードレール迄見えそうな程
私だけ薄くなっている。
………最後に其の写真を見たのは
10年位前だろうか…
今更、もう一度見たいとは思えない。
はい。ホントの話。
小学六年生の春の遠足でした。
心霊写真、だけなら妹の中学生時代の写真が圧倒的に多いです。
ただ、ホント。真昼間の写真だから見間違えようもない透け方してるんですよ。
何年も見てないな、あの写真。