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日記 9.25.2023 祖父の死と屋形船

今日、祖父が亡くなった。

母からの電話で訃報を聞いた。
大往生の祖父。少し眠ると言って、そのまま起きてこなかったそうだ。

訃報を聞く少し前、私は夕方に散歩をしていた。
日没後の川沿いは人気が無く、横に立ち並ぶマンションの開いた部屋の窓からは、人々の声や、部屋や生活のにおいがしていた。
川は穏やかで耳をすませば水音が微かに聞こえた。

ふと振り向いて驚いた。
ぼんぼりが灯った屋形船がぬぅぅと気配なく水面を縫うようにして進んできたのだ。こんなに近づいていたのに全然気が付かなかった。
中は客がいなく無人だったが数人の従業員が気忙しく動いていたので、これから客をのせるのかもしれない。

人の乗っていない夜の屋形船は美しかった。
まるで優美に泳ぐアロワナのように鮮やかで
死人をむかえる船のように妖しげだった。

だからその後に祖父の報せを聞いたときは、あぁそうかと思った。

たまにあるのだ。この世でもあの世でもない、狭間にいるような瞬間が。

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