-勝手にサラメシ#2- 花を咲かせる仕事
今回の『勝手にサラメシ』はここからスタートです。
青梅慶友病院には「遊歩道」や「遊歩公園」があります。
患者様に季節の変化を存分に楽しんでいただきたい、という思いが込められた慶友病院癒しスポットの一つであります。
さて、そんな遊歩道を歩いていると
「こんにちは」と、
にこやかにほほ笑むスタッフとお会いしました。
庭園管理の仕事をしているNさんです。
いつも遊歩道や公園で草木の世話や、病院の建物周りをきれいにしてくれています。
松野:暑い日、寒い日、雨の日と常に外でのお仕事大変ですね。
Nさん:寒い日は意外と平気なんですけど、夏の暑さは・・・慣れるまでは大変でした。
松野:この仕事はもう長いのですか。
Nさん:いいえ、慶友病院に勤め始めてからなので、まだ1年くらいです。
その前まではずっと在宅勤務で、1日中自宅で仕事をするような生活でした。
松野:それは思い切った転職でしたね、なぜ青梅慶友病院で庭園管理の仕事を?
Nさん:在宅ワークが長かったので、その反動があったのかもしれません。
ある日、窓の外を眺めていたら「外で働きたい」と思い立って。
元々植物のお世話が好きだったこともありますが「こんな仕事があるよ」と紹介してもらったのが青梅慶友病院の庭園管理の仕事でした。
でも、その「慶友病院」がどんなところなのかは働くまでは全く知らなかったんですが。
松野:慶友病院はどんなところでしたか?
Nさん:こんなにも優しい人だらけの職場ってあるんだ、と驚きました。
スタッフのみなさん本当に人柄が穏やかで、業務ではあまり話す機会のない部署にも、いつも笑顔であいさつしてくれる方が大勢います。
良かった、みなさんに歓迎してもらえているんだ、と嬉しい気持ちになります。
松野:公園や遊歩道の手入れをするうえで、こだわっていることはありますか?
Nさん:私はまだまだ教わる立場ですけれど、庭園管理のチームとしてはあまり手を入れ過ぎないということを意識しています。
整然とお花が咲き並ぶというよりは、できるだけ自然な状態で季節を楽しんでいただく、ということに気をつけています。
そんなこだわりに気づいてくださるご家族様もいらっしゃって「自然な雰囲気がいいですね」って褒めていただけると、とても嬉しい気持ちになります。
松野:病院の中の公園、遊歩道にもそんなこだわりが隠されていたんですね。
夏の暑さには気をつけて、これからもよろしくお願いいたします。
お昼ごはんの話
さて、この『勝手にサラメシ』シリーズは、慶友病院職員のお昼ごはんについて話を聞かせてもらう企画です。
松野:いつも昼食はどうされていますか?
Nさん:毎日、職員食堂へ足を運んでいます。
松野:いかがですか?慶友病院の職員食堂は。
Nさん:お世辞抜きで「本当においしいです」。
これで350円というのが、ちょっと申し訳なくなるくらい・・・、デザートやドリンクもついて、本当にいいのでしょうか、という気持ちになります。
いいんです、いいんです。(私が言うのもおかしいですが)
美味しいものを食べて、幸せな気持ちで午後を迎えましょう。
松野:お気に入りのメニューを教えてください。
Nさん:好きなメニューがたくさんあるので、選ぶのは難しいですけど・・・
でも、あえてひとつを選ぶんですよね。
松野:はい、あえて選ぶとしたら。
Nさん:うーーーん、天丼です。
でました!天丼。
松野:おいしいですよね、職員食堂の天丼。
私も大好きです。
Nさん:揚げ物って家ではちょっと面倒ですし、なかなか上手に揚げられないんですよね。
プロが揚げると、本当に家庭料理とはぜんぜん違うなあと感心してしまいます。
特に天丼はびっくりするくらいおいしくて、毎回感動するレベルです。
松野:家庭料理にはもちろんその良さがありますけど、天ぷらに関しては家庭でお店のように揚げるのって難しいですよね。
Nさん:おいしい天丼の作り方、教えてもらえるものなら知りたいです。
松野:分かりました!それでは、厨房で教えてもらってきますね。
Nさん:ありがとうございます。楽しみにしています。
松野:こちらこそ、今日はありがとうございました。
慶友病院の揚げ物が美味しいわけ
さて、厨房を突撃取材。
話を聞かせてもらったのはこちら、青梅慶友病院のO料理長です。
松野:料理長!
今日は「どうして慶友病院の揚げ物(特に天丼)はおいしいのか」を教えてもらいにきました。
家庭であの天丼を再現するにはどうすれば良いですか?
料理長:家庭で再現する、ですか。
・・・難しいでしょうね。
かなり難しいと思います。
「再現は難しい」・・・
多少予想はしていましたが、はっきり言われてしまいました。
しかも笑顔で。
松野:私は揚げ物調理の経験がほとんどないのですが、そんなおじさんにもわかるように「どういうところが難しいのか」詳しく教えていただけますか。
料理長:そもそも揚げ物でもっとも重要なのは油の温度管理です。
それぞれの素材ごとに最適な温度と時間で火を通す。
この単純な調理が想像以上に難しいのです。
家庭では調理器具や油の量の問題もあって、揚げているときの温度変化が大きいです。
さらに天ぷらはその日の湿度や気温によって「どろ」の状態が変わるから、揚げ方も変わってきますし・・・
松野:すみません。「どろ」って何ですか?
料理長:「どろ」というのは、天ぷらの衣になる素です。
具材を絡ませる液状の。
松野:ああー、確かにどろっとしていますね。
料理長:この「どろ」がどんな状態かを見極めて、それに合わせて揚げ方を調整する必要があります。
調理師たちが経験に基づいて、その都度判断する領域になってきますね。
松野:「経験」ですか・・・、私にも真似できるような、ちょっとしたコツなんてあったら教えてもらえますでしょうか。
料理長:松野さん、天ぷら揚げることがあるんですか?
松野:いえ、ないです。これまで一度も揚げたことはありません。
でも、ちょっとチャレンジしてみようかな、という気持ちになっています。
料理長:そうですか、それではいくつか伝授しましょう。
まずその一、「どろ」にほんの少しだけ“お酢”を入れてみてください。
衣がカラっと揚がりますよ。
その二、天丼に乗せる天ぷらは「花を咲かせてみてください」
松野:「花を咲かせる」とは?
料理長:天ぷら鍋に具材を落としたら、その周りにパパっと衣を落として花が咲いたように、こまかい衣をまとわせる揚げ方です。
松野:はいはい、テレビなんかで観たことがあります。
「花を咲かせる」なんて、おもしろい表現ですね。
料理長:天丼の場合は花を咲かせた方が、たれとよく絡んでバランスが良くなります。
ただし、なんでもかんでも花揚げすれば良いというわけではなくて、天ぷらとして単品でお出しする場合は、うす衣にした方が、素材の味を際立たせることができます。
当然、それぞれの具材で揚げ方は違ってきますし、ひとくくりに揚げ物とはいってもメニューごとにポイントはそれぞれ違いますから、私たちも常に試行錯誤しながらベストを目指しています。
松野:なるほど、そこまで考えているのですね。
みなさんの天ぷらに対する姿勢がビシビシ伝わってきました。
これからも美味しい揚げ物を楽しみにしています。料理長ありがとうございました。
料理長:完全に再現するのは難しいと思いますが、ぜひ挑戦してみてくださいね。
天ぷら経験ゼロのおじさんが天丼に挑む
さてその週末。
私(40代半ばのおじさん)は家族へ宣言をしました。
「今日は天丼をつくるからよろしく」
ちなみに私はこれまでに一度も天ぷらを調理したことはありません。
急になぜ?と驚く妻と、不安そうな子供のことは見て見ぬふりをして、クックパッドでの予習と材料の買い出しを済ませます。
ここからは、人生で一度も天ぷらをつくったことのなかったおじさんが、初の天ぷら調理にチャレンジした様子を写真でお届けします。
【しこみ】
不安そうな顔でときどき家族が巡視にやってきますが、気にせずしこみを進めます。
ひととおり完了し、時計を確認すると45分が経過していました。
【揚げ】
揚げる温度とか、揚げていく具材の順番とか、そのあたりは料理長に聞き忘れたので、ここからは勘で進めます。
さて、人生初の天丼調理。
90分を費やして、なんとか完成です。
それでは完成品を紹介!
の前に、
お手本となる
慶友病院職員食の天丼を確認しておきましょう。
こちらが慶友病院の天丼。
そして、こちらが
人生初チャレンジの天丼
庭に花を咲かせる方々も、
天ぷらに花を咲かせる方々も、
当たり前ですが、知識を積んで技術を磨いたからプロの仕事ができるのですね。
庭園管理のみなさん、厨房のみなさんへ、改めてのリスペクトです。
ちなみに調理後、
「ここが最も調理師さんと違うところだと思いますよ」と妻から指摘された
のがこちらです。
本日もお相手は青梅慶友病院採用広報担当でした。