自己紹介と弁護士としてのストーリー② ~顧問弁護士としての5つの強み~
0 結論
前回の記事のとおり、私は中小企業顧問を中心業務の一つにしています。
中小企業顧問業務をやるにあたり、私は5つのことにとても気を遣っています。
その5つとは、
①「紛争になったらその分野を専門とする弁護士と一緒に処理できる」
②「顧問先企業同士のビジネスマッチングや、新規顧客の紹介で顧問先に儲けてもらう」
③「TTT(徹底的に尽くす)」
④「AIを駆使すること」
⑤「確実なレスポンスと軽いフットワーク」
です。
それらの強みを生かしてきた結果として、口コミや紹介で顧問の輪が広がってきました。
少し古いデータですが、日弁連の調査によれば新人弁護士から弁護士人生60年以上の超ベテランまで含めても3人に1人以上が顧問ゼロです。くわえて、顧問がいる弁護士だけにフォーカスしても、5社未満が約3分の1、15社未満が約7割を占めています。
これが“顧問弁護士”の実情です。
手前味噌になってしまい恐縮ですが、私は1年目で8社の顧問となり、3年間で約20社の顧問に就任しました。そのうちのいくつかは企業グループ全体との顧問契約であり、グループ内企業をそれぞれカウントすれば1年目で約20社、3年間で約40社になります。
若手ながらこれだけの数の企業から法務を任せていただけているのは、上記の強みを生かした結果であると自己分析しています。
結果を出せていないにもかかわらず強みを語っても虚しくなってしまうので、強みを語れるだけの結果はある程度出せていますという前置きでした。
それでは強みを解説していきます。
1 強み①「紛争になったらその分野を専門とする弁護士と一緒に処理できる」
あまり知られていませんが、実は弁護士によって得意分野、専門分野は異なります。
お医者さんの取扱い分野が外科、内科、美容外科などに区別されており、その中でもあの先生はこの病気の治療に強い、といった得意分野が分かれているのと同じイメージです。
例えば、私であれば中小企業顧問業務と不動産トラブルの解決業務が中心分野です。
前者の中小企業顧問業務について、私は「会社のかかりつけ医」を標榜しています。
「会社のかかりつけ医」とは、顧問先の会社で起こったトラブルであれば何でも気軽に相談でき、大抵のことであれば一人で解決できる、身近で頼りになる弁護士、という意味を込めています。
会社で起こったトラブルだけでなく社長や従業員の方のプライベートな相談ももちろんお受けしています。
もちろんトラブルが起こらないように予防しつつ起こってしまった場合に会社の有利になるよう備えておくこと(=予防法務)も得意です。
そのため、会社が抱えうる悩み事であれば大抵は私一人で予防・解決することができます。
もっとも、高度の専門性が求められる案件であればやはりそれを得意分野とする弁護士の力を借りるべきです。
例えば私は知的財産法分野には明るくないため、もし顧問先で知的財産法分野の紛争が生じた場合は私一人では対応せず、それを得意分野とする弁護士の力を借ります。
その方が良質なサービスを提供でき顧問先の利益になるためです。
しかし、一般の方が弁護士の得意分野を知ることは容易ではありません。
そこで出てくるのが私がパートナー(共同経営者)として所属する法律事務所アルシエンの強みです。
法律事務所アルシエンのコンセプトは所属する弁護士一人一人がそれぞれ得意分野を持ち、事務所全体として専門性を高めつつ受け皿を広くするというものです。
そのため、私一人では対応し難い分野の紛争が生じた場合でも、その分野に注力している所属弁護士と適宜タッグを組んで対応できます。
顧問先会社からすると、私を顧問弁護士にしておくことにより大抵のことは気楽に相談して予防・解決できるし、専門性の高い紛争が生じた場合でもその分野を得意分野としている弁護士の力を借りて解決できることになります。
しかも複数人の弁護士で担当しても弁護士報酬は原則として一人分です。
これが第1の強みです。
2 強み②「顧問先企業同士のビジネスマッチングや、新規顧客の紹介で顧問先に儲けてもらう」
弁護士業務をざっくばらんに言えば、マイナスが生じた場合にそれをゼロに近づけるか(=紛争解決法務)、マイナスが生じないよう予防する(=予防法務)というものが多いです。
しかし、私はこれに加えて、ゼロからプラス(金銭的利益)を作り出すお手伝いをしています。
具体的には顧問先企業同士のマッチングです。
例えば私の顧問先であるリフォーム会社の社長さんが雑談中にポロっと「人手不足なので優秀な下請さんが欲しいんですよね。」とこぼしたのを聞き逃さず、すぐに別の顧問先であるリフォーム会社を引き合わせ、両社は元請・下請の関係となりました。
また、SEO(検索サイトのランキング上位表示を行う広告)サービスを提供している顧問先に、SEOを検討している別の顧問先を紹介したこともありました。
紹介により両社とも相当の金銭的利益を得ていますし、これからも得ていくことでしょう。
もちろんこれに関し私はキックバック等の報酬は一切貰いません。
顧問先の利益となることをするのは顧問弁護士として当然だからです。
これは、私が無償で貴社の広告塔になる、ということも意味します。
ポイントは私の顧問先同士ということです。
顧問先会社からすれば、信頼している顧問弁護士が同じく顧問を務める会社を紹介してもらえるため、お互い安心してビジネスできます。
私をいわばハブ空港として利用していただき、多数の顧問先に儲けてもらっています。
私はこのようなマッチングを無償かつ積極的に行っている弁護士を私以外に知りません。
なお、顧問先同士で万一トラブルになってしまった場合に備えて、
⑴その場合私はどちらの味方もできないが、信頼できる弁護士を双方に紹介すること
⑵事業規模等に関係なく中立な契約書を使用して契約を締結してもらうこと
を、双方に事前に説明し、ご納得いただいたうえでご紹介しています。
また、BtoCビジネスをやっていらっしゃる顧問先には、新規顧客を紹介することもあります。
これが第2の強みです。
3 強み③「TTT(徹底的に尽くす)」
私は顧問先会社の利益のために徹底的に尽くすことを信条としています。
そのためには、従来顧問弁護士の業務とされてきた法律相談、契約書チェック、リサーチなどだけでは足りないと考えています。
⑴ 業界のことをよく勉強すること
私は顧問先の業務や業種について積極的に情報取得します。
その業界の専門雑誌があればそれを自費で購読します。例えば不動産に関連する顧問先が多いため不動産専門雑誌である「RETIO」を毎回購読して専門性を高めています。
それにより顧問業務のクオリティアップにも繋がることに加え、顧問先会社が私への相談時に専門用語をいちいち解説する手間が省略することができ、顧問先会社に楽をさせられるのです。
また、その業態のあるあるなトラブルを予め調査しておき、予防・解決をスムーズにできるようにしています。
⑵ 給付金・補助金の情報提供
私は給付金や補助金の情報に常にアンテナを張っており、顧問先がもらえそうな給付金・補助金の情報をキャッチ次第顧問先に送ります。
これは特にコロナ禍で喜ばれました。
これが第3の強みです。
4 強み④「AIを駆使すること」
⑴ AIを導入するメリット
私は契約書のチェックの補助のためにリーガルフォースという専用のAI契約書審査サービスを導入しています。
AI契約書審査サービスを導入している弁護士はまだまだ少数派です。
契約書のチェックや作成をする場合、まずAIに契約書審査をさせ、その後私自身が契約書の加筆修正を行います。
数千万、数億のお金の帰趨がたった一文で変わってくるのが契約書の凄みであり怖さです。
契約書チェックをするときはこちらに有利になるよう条項を修正したり、不足している条項を加筆したりします。
弁護士が行う契約書チェックでは、契約当事者の力関係や依頼者の希望といった個別具体的な事情にかなう形での、高度の専門知識に裏付けされた加筆修正を行える反面、人間である以上見落としなどのヒューマンエラーをゼロにすることは困難です。
反対に、AIでは弁護士が行うような高度なチェックはできない反面、ヒューマンエラーをなくして穴をなくせるという長所があります。
だからこそ弁護士とAIのダブルチェックをすることが非常に重要なのです。
AIを導入していない弁護士は人間によるチェックのみですので、ヒューマンエラーが起こる可能性があります。
また、AIに契約書審査をさせることにより、契約書チェックの第1稿のレスポンスを早くできますし、チェック漏れの穴をなくせます。
「緊急で契約書を作ってほしい」という希望にも迅速に対応できます。
つまり、レスポンスのスピード向上と一定のクオリティの担保というのがAI導入のメリットです。
⑵ 月6万の顧問料だけでAI使い放題
リーガルフォースの料金体系は導入初期費用+月々のラインセンス費用+オプションサービスで、実際に企業が使用するとなると月に数十万円程度かかることが多いでしょう。
しかし、私を顧問にすることにより、月6万円の顧問料で、AIが使い放題になります。
しかも弁護士による専門性の高い二次チェックがついてきます。
もちろん契約書チェックだけでなく法律相談、法的な助言、交渉ごと、内容証明の送付といったその他の顧問業務も行います。
AIを駆使する弁護士を顧問にすべき理由はここにあります。
これが第4の強みです。
5 強み⑤「確実なレスポンスと軽いフットワーク」
⑴ 確実なレスポンス
弁護士業はサービス業・客商売という側面があり、顧問弁護士は会社のビジネスパートナーです。弁護士は当然ビジネスのスピードについていけなければなりません。
しかし、弁護士業を殿様商売と勘違いした弁護士もいるのが現実で、例えばメールが返ってくるまで何日もかかったり、仕事を放置されるという声を聞くことがあります。
弁護士からすれば複数いる顧問先の一社でもその会社からすれば唯一の顧問弁護士です。
確実にレスポンスがあることは非常に重要です。
そこで、私は確実なレスポンス、確実な仕事を心がけています。
例えば仕事の依頼メールを送ったにもかかわらず返信が無く不安になったことはないでしょうか。
私はどんなに忙しくても受諾メールを返信し、顧問先にその点の不安を生じさせないよう心掛けています。
もちろんスピードだけで中身が伴っていなければだめですので、業務のクオリティをあげられるよう日夜創意工夫をしています(④AIの導入もその一つです。)。
⑵ 軽いフットワーク
顧問弁護士は法律だけやっていけばいいということではないと考えています。
仕事の範疇を超え、顧問先の社長とは飲みにいったり遊びにいったりもします。
中小企業の社長にとって顧問弁護士を持つというのはステータスという側面もあります。
飲みの席で「これがうちの顧問弁護士だ」と自慢してもらうのも顧問弁護士の立派な仕事だと思うのです。
私と顧問先は金だけのつながりではありません。
人間同士の付き合いもするのです。
これが第5の強みです。
6 まとめ
以上が5つの強みです。
例えば⑤確実なレスポンスを心がけている弁護士も少なくないと思いますし、④AIを導入する弁護士も(まだまだ少数派とはいえ)じわじわ増えてきています。
しかし、強み①「紛争になったらその分野を専門とする弁護士と一緒に処理できる」、強み②「顧問先企業同士のビジネスマッチングで双方に儲けてもらう」、強み③「TTT(徹底的に尽くす)」というのをやっている弁護士はかなり限られてくるでしょう。
これらは私の独自色が強いものです。
私との顧問契約は理由なく解約ができるようになっていますが、私はこの記事の投稿日現在まで一度たりとも顧問契約を解消されたことがありません。その理由の大きな部分を占めるのが上記の5つの強みなのではないかと自己分析しています。顧問先にとって私との顧問契約を解消するということは他の弁護士を顧問にしてもなかなか得られない上記の旨味を捨てることだからです。
なぜ顧問先会社のためにここまでやるのか?は前回の記事をご覧ください。
私が弁護士になったきっかけと大きくリンクするものです。
それでは、次の記事「経営者の孤独を埋める弁護士」でお会いしましょう。