上脇教授「自民党の裏金は、派閥パーティー券だけでなく全国にまん延している!」
24/5/12に市民オンブズ尼崎は第27回総会で上脇博之・神戸学院大学教授(「政治資金オンブズマン」代表)を招いて記念講演「政治資金の闇を暴き日本の政治を創り直す」を行い、22名が参加しました。
上脇教授の許可を得て、講演資料と動画をアップしました。
・動画
https://youtu.be/tZ4yqDRgDh4
・講演資料
https://www.ombudsman.jp/data/240512kamiwaki.pdf
・全国市民オンブズマン連絡会議 事務局によるメモ
https://www.ombudsman.jp/data/240512-3.pdf
上脇教授は、100件を超える刑事告発を行っている「闘う憲法研究者」です。
しんぶん赤旗日曜版が2022年11月6日に、自民党派閥の政治資金収支報告書と、主要政治団体の政治資金収支報告書を照らし合わせ、「自民党の5派閥で政治資金パーティー券収入に不記載がある」とスクープしたことを受け、2022年11月以降上脇教授は刑事告発をしました。
ただ、刑事告発した当時は証拠がないため、「裏金となっている可能性が高い」としか書けなかったとのこと。
その後2023年12月1日の朝日新聞報道以降、「パーティーノルマ」「キックバック」「中抜き」の実態が明らかとなり、「裏金事件」となり、東京地検特捜部は裏金還流額が4000万円を超えた国会議員3名を立件しました。
清和政策研究会(旧安倍派)は、2020年の政治資金パーティー券収入を当初1億0262万円と記載していましたが、立件後に訂正した額は2億6383万円と、差額が1億6121万円にものぼり、キックバックのほうが当初記載より多いことが判明しました。
宏池政策研究会(岸田派)も訂正後、裏金プールが2501万円に上っていることが判明しています。
そもそも政治資金パーティーは簡単に裏金が作れると上脇教授は述べます。
派閥は2万円のパーティー券を約1万枚売り、約2億円収入がありますが、実際に会場に来るのは1000人ほど。経費は1割程度とのことで、1晩で約1億8000万円の利益が出る計算です。
地方の企業は50枚購入しても実際東京のパーティー会場に全員来ることはなく、事実上の企業献金であり、しかも企業は政治資金収支報告書を書く必要がありません。
ノルマを超えた分は売った地方議員に寄付=「キックバック」や、政治資金パーティーの売上を派閥に収めない手法=「中抜き」=「持ち逃げ」の実態は誰もチェック出来ません。
上脇教授は、「政治資金パーティー券以外で、桁が一桁違う『法律の不備による裏金』がある」と述べます。
政党(本部・支部)は公職の候補者個人に寄付をすること(政策活動費)は合法で、しかも収支報告義務がなく、使途不明金が簡単に作れます。
2012年の自民党本部の政策活動費支出は9億6510万円にのぼり、何に使われたか全く分かりません。
二階俊博議員には、2016年~2021年の幹事長時代に合計約47億7千万円の政策活動費が自民党本部から支払われていました。
自民党福島県支部連合会は、「組織活動費」名目で、2021年には3185万円が公職の候補者個人に支給されています。
同年、自民党本部からの交付金は約4711万1000円で、うち政党交付金は約2524万円です。
ほかにも、内閣官房報償費(機密費)は年間約12億あり、9億円は内閣官房長官が管理していますが、会計検査院すら領収書のチェックができません。
上脇教授は「消費税導入時、5億円が一部野党に流れた疑惑があった。
また、政治資金パーティー券を購入した、外遊時に金を使ったという噂もある。
上記政策活動費に安倍晋三氏の名前が出てこないのは、官房機密費を使っているからではないか。
現職・元職総理や、報道機関に流れているといううわさもある」と述べました。
また、調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)は月額100万円が議員個人に支給されていますが、使途報告制度がありません。
上脇教授は、自民党2派閥が認め、東京地検特捜部が認定したキックバック・中抜きについて、「議員個人への違法な寄附だったのではないか」と疑っています。
また、5年分のみ明らかになっており、それ以前の裏金についてはいまだに不明だとしています。
上脇教授は「1994年に『政治改革』が行われたが、『企業その他の団体の政治献金の廃止』は先送りされて実現されなかった。
しかも政党助成金は、当時から金丸信・元副総理が『泥棒に追い銭にならないとも限らない』と警告していたとおりになった。
自民党はバブル時の1989年より、2022年の方が党本部の収入が多く、2022年の収入248億6000万円のうち、政党助成金は約159億8000万円(約64.3%)を
占めるなど『事実上の国営政党』だ。
中国新聞は『選挙の時に安倍さんから金を受け取った』とスクープしたが、これは目的外で違法だ。
自民党は
・派閥で裏金を作る
・自民党本部・支部も『合法的』に裏金を作る
・内閣官房報償費を自民党のために使う
と、全国に裏金がまん延している」と述べました。
「国会議員3人だけ、二階氏秘書だけが立件されたが、逃がさない。これからも刑事告発を続ける」と上脇教授は締めました。
会場からの質疑は活発に行われました。
上脇教授は「政治資金収支報告書の訂正が真実だと信じていない。表に出せない使い方(買収、寄付、懐に入れる)があるのではないか。
自民党総裁選は公職選挙法の適用外で、買収罪にならない。
派閥は誰を総理に担ぐかをめぐり大臣ポスト、党役員ポストを獲得する。
各議員はパーティー券を売って、派閥に名前を売ってきた。派閥から推薦を受けたというだけで大臣になれるいい加減な人事がまかり通ってきた」と述べました。
また、上脇教授が兵庫県の斎藤元彦知事を買収で告発したことについて、「選挙運動をやった人に対しては原則報酬を払えない。
しかし斎藤知事は国会議員・県内政治家29人に20万4300円の『労務者報酬』を支払い、『買収罪』に該当すると思うが、神戸地検は不起訴とした。
検察の捜査は生ぬるい」と述べました。
会場から「『政治資金の闇』問題が起こるのは何が元凶か」という質問が出て、上脇教授は「国民の縮図を国会に作って初めて議会制民主主義になる。
しかし、小選挙区制の元では、自民党は4割得票で8割議席を獲得する。
また、企業献金や団体献金は何千万・何億円単位でなされており、一般国民より大企業中心政治となり、民意がゆがめられている。
自民党は国民から寄付もらわなくても政党交付金があり、国民主権は形骸化する。
これらをあらためないと政治は変わらないと思う」と述べました。
最後に上脇教授は「自民党は森喜朗氏に対するきちんとした調査は無理だろう。証人喚問で国会に引きずり出す必要がある。
パーティー券の公表金額案を公明党が5万円、自民党は10万円としているが、本質的な議論ではない。企業はいくらでも裏金を作れる」と述べました。
市民オンブズ尼崎は、どこからも企業献金・団体献金を受けていません。
ぜひ入会していただくよう呼びかけがありました。
https://twitter.com/annNFYyuJDnlstT
続いて、市民オンブズ尼崎は第27回総会を開催しました。
来賓として、全国市民オンブズマン連絡会議事務局の内田隆が紹介され、「24/8/31-9/1に大阪で第31回全国市民オンブズマン大阪大会を予定しており、テーマが『政治とカネ』と『大阪万博・IR』。ぜひ参加してほしい。
https://www.ombudsman.jp/taikai_category/no31
また、名古屋市民オンブズマンは24/5/2に『自民党愛知県連が、各県内支部との資金移動が5年間で約8900万円の食い違いがあった』と刑事告発を行った。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/seijishikin/index.htm#240502
市民オンブズマンわかやまも、自民党和歌山県連の食い違いを調査している。
http://www.naxnet.or.jp/~wa_obz/
各地で同様のことがある可能性があるので、各地に調査を呼びかけたい」としました。
市民オンブズ尼崎から、斎藤知事のパワハラ問題追及、兵庫県議会議員通信簿、選挙カー公費助成申請虚偽疑惑追及、光本圭佑尼崎市議政務活動費不正使用追及、障害福祉サービス不正請求疑惑調査等の活動報告がなされました。
全国市民オンブズマン連絡会議 政治資金問題まとめ
https://ombuds.exblog.jp/i105/