東栄町住民訴訟学習会 新海聡弁護士「民主主義の神髄は選挙以外にある」
東栄町をよくする会は、23/7/9(日)13時半~ 東栄町グリーンハウスにて名古屋市民オンブズマン代表の新海聡弁護士を招いて講演会「東栄町の住民訴訟の真実」を行い、40名の参加がありました。
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愛知県東栄町の東栄医療センター新築工事で、当初申請予定の「国民健康保険調整交付金」1億4227万円の交付が受けられず、財源変更後の過疎対策事業債1億4200万円の3割に相当する4,260万円が東栄町の負担となったのは町長の落ち度による損害だとして、村上孝治町長個人に賠償を求める住民訴訟を「東栄町をよくする会」メンバーが提訴していた件は、国は愛知県経由で23/3/22に交付金1億8264万5000円の交付決定を出したため、23/4/26に開かれた弁論準備で原告は裁判を取下げて終了しました。
・東栄町の交付金申請断念にかかる損害賠償訴訟訴訟の取り下げについて 原告団声明
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230426.pdf
にもかかわらず、前議員や町長派は「名誉毀損の問題もある」「訴訟費用が無駄になった。原告に払わせろ」「もともと交付金はもらえたのに、一部の町民が、町長の嫌がらせのために訴訟した」などデマをまき散らしています。
原告の代理人弁護士の新海聡弁護士は以下述べました。
地方自治法には、『首長や議員を選挙で選ぶ』と書いてあるが、『首長や議員が間違った場合』や『少数派の意見を無視した場合』も想定して条文に書き込んである。
それが『条例の直接請求』や『首長・議員リコール』や『住民訴訟』である。
今回、東栄町では旧病院の入院病棟や人工透析施設を廃止するという暴挙に出たが、それに対して『病院廃止条例の撤回を求める直接請求』や『町長リコール』で町民が対抗した。
東栄医療センター新築工事では、町は国からの補助金を当てにしていたが、町は愛知県や国と事前協議をしていなく、交付要件を満たさないことが判明したため、過疎債という借金を行った。それは自治体に損害を与えたとして町民は『住民訴訟』を起こした。
裁判所で東栄町が説明することになり、ようやく町と愛知県が国に働きかけたのか、設計が変わっていないのに国からの補助金が出た。
これらは、地方自治法が想定したとおりのことが行われたといえる。民主主義の教科書に記載してあるとおりのことを東栄町民が実践した。
民主主義は選挙だけでは無く、それ以外に神髄がある。
民主主義には当然コストがかかる。「選挙費用が無駄だから、投票をやめよう」にはならない。
裁判は勝ち負けでは無く、いかによい町を作るかの手段だ。
今回、裁判を取り下げるに当たって18項目の要望書を町にあてたが、町は一切応じなかった。
しかしながら、国からの補助金1億8264万5000円をどう使うか。いかに東栄医療センターをよりよくしていくか。
地方再生は、その地域の人がいかに地域に関心を持つかにかかっている。
直接請求署名を集めるのに、1人3時間も説明を行ったと伺った。
今回、原告団は準備書面の読み合わせ会を行い、様々な意見や指摘をもらった。
今後町の行く末をどうイメージするか、具体的になれば実現可能だ。
選挙で町長は変わらなかったかもしれないが、町議は大幅に変わった。
真の民主主義は選挙後も続く。「現職改造計画」が必要だ。
質疑は1時間半近くにわたって活発に行われました。
新海弁護士は「近年、政治家が気軽に『名誉毀損』と言うようになった。名誉毀損とは『社会的評価を低下させること』という明確な定義がある。
首長や議員の誤りを言論で指摘し、よりよい自治体を作るのが政治。誤りを指摘されるのがいやなら政治から退場願いたい。」と述べました。
また、新海弁護士は「『予算編成過程の情報公開』こそ真の情報公開だと、以前の鳥取県知事だった片山善博氏が述べていた。東栄町でも予算編成過程の情報を公開させてはどうか。
また、名古屋市民オンブズマンでは、議員の質問を評価したことがある。具体的な予算の提案があるか、他自治体と比較があるか。それらがある質問が良い質問。」と述べました。
名古屋市民オンブズマン事務局の内田隆は会場から「先進議会では、議会報告会を制度化しているところがある。議会でどんな問題が議論されたのか。なぜ各議案に賛成・反対の議決をしたのか。公職者である議員が自分の言葉で支持者以外にも語ることは重要だと思う。東栄町議会でもぜひ制度化してもらいたい」と述べました。
新海弁護士は「今の東栄町の雰囲気は、1993年、ゼネコン汚職で宮城県知事と仙台市長が逮捕された直後の仙台とよく似ていると思う。
みんな怒っていて、ものすごいエネルギーがあり、議論が具体的で活発だ。
私は仙台市民オンブズマンに呼ばれてあいさつをするなかで、『全国市民オンブズマン連絡会議』を呼びかけ、全国的な官官接待追及のきっかけとなり、議会任せでは無く、情報公開請求を元に市民が意見を言えばいいという流れになった。
変えたいというエネルギーがあれば、どう変えるか制度を学べば変わる。
役所の人間が提案を受け入れるにはどうすればよいか考える。そういうやり取りを学びつつある。
有権者は、変わると思えば変えようと思う。生きるというのは『周りを良くしたい』という希望だ。それに火を付けるのが本来は政治の役割だ。これが広がれば良い。」と述べました。
最後に、原告の1人が「これまで裁判とは無縁の人生を過ごしてきた。
東栄町に15-6年前に戻ってきて、その後病院の問題を知り、町が持っている様々な問題を知った。
行政側の計画通りになってしまったが、私たちのやってきたことが無駄だったかというとそうでは無いと断言できる。
おかしいことをおかしいと言える人が増えてきた。みんなで力を合わせれば大きなうねりを作り出せる経験もできた。
町を糾弾する裁判の原告になれた。裁判が起きれば町が動き出すだろうと想定していた。町は超法規的な動き方で押し通し、交付金を得た。条件とはなんだったのか。
今回、民主主義を考えるようになった。多数決で決まっちゃうような単純なものではない。
今年春、議員の新陳代謝が起きた。率直に町を良くしたいという人が出てきたことを歓迎したい。」と述べたのが印象的でした。
・東栄町をよくする会
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・名古屋市民オンブズマン 東栄町問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/touei/