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青と。海と。

高校生の頃から通っていた。
お弁当を持って借りた自転車に乗って。
ときには長い道のりを、
夏の匂いと共に歩いて。
帰りは疲れ果てて見知らぬトラックの
荷台に乗せてもらって。
手のかじかむ凍てつく寒さの日も
鼻を赤くしながら
朝マック片手に何時間も座って。
丸一日過ごした。
誕生日なら全ての音信を絶って1人で。
嫌なことがあれば寝転がって。
仕事が終わればおでん片手に星を眺めて。
朝を迎えるために待った日、
おはよう
おやすみ
嬉しい時も泣く時も
悔しくて叫んだ時も
いつもここ。
ずっと
原点はここ
穏やかに
包むように
そっと
いつもそこにあった。
ある日から私はあなたから
距離を置いた。
目を背け
どのくらい月日が経ったろう。
あなたは何も悪くない。
自分より目の前が真っ暗になった人はたくさん居た。
それなのに
傷ついたのは私ではないのに。
牙を向いたあなたに会うことが怖くなった。
いつもの青ではなく
漆黒と鉛色。
一瞬の時に
同じその時間に
どれだけのストーリーがあったのか。
計り知れない。
数日間、CMYK全て使った夜の黒に
見たこともない数の星が
白く、輝いた……
潮の匂いに敏感だ。
港の匂いとか、
浜の匂いとか。
疲れた時はたいてい会いにくる。
気持ちがいっぱいになった時
やっと休める時
1人で吐き出したい時
少し頭を冷やしたい時。
何かインスパイアされていた若い頃と違い
今はもっと左脳寄り
大人になってしまうことが
大人になっても怖い
だけど今日もここで
全ての青に溶け込みながら
心も命も洗濯をする。


結局、自分の行く場所ってここしかない。
なんの発想もなくて
なんてつまらない大人なんだろうと
思いながら
ここで過ごして充電する。
確かに足が遠のいた時期もあった。
それでもキラキラ光る青は
自分を魅了した。

何が楽しみだとかもないし
自由な時間も全くないけど、
昔々、海に行くことに夢中だった頃と
今海に行く自分は
さほど変わりはないように思う。

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