羅針盤を磨く
50歳を超えた今、自分軸で生きることが、人生の鍵であるように思う。
「周囲の期待に応えたい」
「もっと周囲に認められたい」
そういう動機は、社会的な常識を鍛えるためには大事なことだし、モチベーションも上がる。
しかし、それは成長していく時期にこそ力を持つものであり、働き盛りの時を過ぎると、苦しくなってくる。
今まで認められてきたことが時代遅れになり、通用しなくなっていく。
「この社会はどうなってしまうんだろう」
「自分はどうしたらいいんだろう」
そういう不安が増すばかりになる。
これからは、自分の声を聴いて、自分の世界を知ることが大事だと思う。
自分はどういうことが嬉しくて、どういうことが嫌なのか。
どういう環境だと居心地良くいられるのか。
生き生きと目が輝くのは、どういうときなのか。
正直言って、若いうちに「本当にやりたいこと」を見つけるのは、難しいと思う。苦労しろ、というのではなく、判断できるだけのデータが揃っていないことが多いのだ。でも私たちは50年頑張ってきた。たくさんの経験がヒントになる。探索すれば、きっと見えてくる。
自分の声を聴くのは、埃だらけの羅針盤を磨くようなものだ。埃をはらって磨いていくと、方角の表示が見えてくる。針がどこを指すか、見えてくる。
自分の羅針盤をしっかり持って、自分の速さで、人生の後半を航海していく。
そういうふうに暮らしていきたいと思う。
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「みんなのフォトギャラリー」からMULTIPLIER197【クリエイターチーム】さんの「宙船」というイラストを使わせていただきました。
暗く静かな海を進む船は、人生後半のイメージにぴったりでした。