老活 その4 やっと「元気になる体操」
「市の歌を手話で歌う」「きよしのズンドコ節(踊り)」「北国の春(組んだ踊り)」の豪華三連前菜が終わり、いよいよメインディッシュの体操である。
これは全員が一定方向を向き、一人の女性がインストラクターとして、手本の体操をみせてくださる。わたしは、前列端っこだったので、インストラクターをほぼ真横から見る絶好のポジションだ。
この体操は、「立ってやる準備運動」「座ってやる筋力アップ体操」「立ってやるストレッチ」の形であった。
正直に告白するが、この会場に来る前には、自分がどれ程運動が苦手でも、高齢者の体操に、高齢者としては一番若い者として参加するのであるから、大したことはないだろうと高を括っていた。
大馬鹿女郎であった。
準備運動とストレッチはまだいい。お手本の方の動きを一生懸命真似して、それらしい形になる。
問題は筋力アップ体操である。
インストラクターはそれぞれの体操がどこの筋肉に効くのか、どこに留意すべきなのかを説明しつつ、8回を基本に繰り返させる。
座りながらだし、それ以上の器具を持つわけではないのだが、自重が重すぎるのだろう、1セットはいいのだが、次のセットになると上がるべきところまで上げられないか、テンポに遅れてくる。
汗が出て、息が切れる。
周囲のわたしよりは10も20もお年上の方々は、涼しいお顔で、次々と筋力トレーニングをこなしていかれる。
ここで止めては、みっともないし、鍛錬にもなるまいと、所々は不本意な動きながら、最後までもがいた。終わって椅子上でつっぷし、はあはあいっているのは、広い会場でわたしだけであったろう。
後ろからだろうが、横目で観察していたらしい、組織の長に当たる方が、終わったら、「一生懸命動いてましたね」と慰めに来た。
終わったら、身体がすっかり楽しい状態だった。隅々まで血が巡って、代謝がいい感じのレベルになっている。そして驚いたことに、気持ちが上がっているのだ。ただ運動しただけなのに、気分良好。
この瞬間、この高齢者活動に、正式参加を決めた。
次週の活動プログラムテーマは「ぬり絵」だそうだ。