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老活 その8 輪投げ

高齢者活動に参加し始めて、見学週を含めて、三週目。
今日のテーマは輪投げである。

開始時刻と同時に、組織長の挨拶。近所で高齢者による車の事故が報道されたので、その件について。
「市の歌を手話で歌う」「準備体操」「きよしのズンドコ節」といつもの前菜のあと、今日はわたしにとって初めてのゴムチューブ体操があった。
男性のインストラクターが椅子に座ったまま、様々なお手本を見せるので、ひたすら真似る。特にチューブを短く持ったま両腕を伸ばしつつ頭の後ろに肩を回しながら、キープする運動では、松坂牛もうらやむ、サシのはいった、脂肪に埋もれた少量の背中の筋肉が悲鳴を上げた。
前菜4種で終わりかと思ったら、更に「健康音頭」という体操と盆踊りのあいの子のような動きを曲に合わせる行動がきた。また、知らない曲に知らない踊りだ。遅れようがおかしかろうが、動作を真似る意思を示し続ける。
輪投げの前に、また高齢者集団の中で独り、汗だくで上着を脱ぎ、眼鏡を外し、汗をぬぐう。隣の人に、聞いてみると、汗はおかきになっていないそうだ。どっかおかしい。

さて、やっとやっとメインディッシュの輪投げである。
幼児期以来輪投げはしたことがない。ここでは、上の無料画像とそっくりの輪投げセットが2種類各2組、合計4組用意され、体育館床上にはテープが貼られて、輪投げセット4組が一直線に並べられ、そこから4mと5m離れたところに2本のテープが床に貼られている。見るからに正式な輪投げ競技っぽく、幼児期とは一線を隔している。

参加者は6人一組に分けられ、キャプテンが決められ、一人9個の輪をボードに向かって投げて、棒に入った輪の点数が合計され、チーム戦と個人戦が両方同時に行われる。
つまり、一人当たり輪9個x一組6人の54投が1セットで、点数が合計される。先程2種類の輪投げセットがあると説明したが、輪を受けるボードも、輪も異なっている。仮にこれをAとBとすると、距離4mでAで1セット、距離4mでBで1セット、また距離4mでAで1セット、距離4mでBで1セット、最後に距離を伸ばして距離5mでAで1セット、距離5mでBで1セットの全部で6セットが競技であった。
ちなみに、4mと5mの難易度の差は歴然で、チーム点数が、全てのチームで5mになると格段に下がる。
チームとして見ると1セット54投が6セット行われるので、324投の合計点数がチーム得点になる。また個人としては9投の6セットなので、54投の合計得点が個人得点となるわけである。
ルールをご理解頂けただろうか。

さて、わたし以外のチームメイトは、輪投げをやったことがある。ということはチームの脚を引っ張るのはわたしだ。最初に生まれて初めて大人の輪投げをするので、大ブレーキになることを、予め、よおく謝った。
先週のぬり絵では、作業に熱中のあまり、あちこちからの親切な新人へのお声がけに、ろくな返事をしなかった深い反省から、今日は競技に貢献できない分、応援に声を出し、盛り上げ係になろうと密かに決心する。
チームメイトの一投一投げに、入れば手を叩き、外れれば「惜しい!」と声を出し、9投で4つも入ると「凄い!」と大喜びをする。
自分の投げる番では、キャプテンに指導を仰ぎ、自分が入ったら、ガッツポーズをして、大声で「よっし!」と場を演出し、勿論外す方が多いので、残念がり、チームメイトに謝りまくる。

普段声を出さないのに、これだけ大騒ぎを演じたので、会場の殆どの人に、うるさい新人の名前を憶えてもらったと思う。自分は、他に集中することが多過ぎ、まだどなたもお名前とお顔が一致していないのであるが…

さて、チームは一人が騒ぐと、流石にチームメートも盛り上がりだし、キャプテンも指導に力が入り、皆ゲームに集中して、なんと4チーム中1位であった。優勝である。万歳。
その後、個人成績トップテンが発表されたのであるが、5番目に苗字が呼ばれ、当然同姓の誰かだろうと、拍手していたら、何人もから「お前だ」と指さされて、トップ5であった。偶然は恐ろしい。

帰宅したら、咽喉が痛い。
騒ぎ過ぎである。


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