校庭の女の子の話【軽く怖い話①】
時を越えて
高校生の時、体育の授業で校庭グラウンドを走る女子を校舎の三階から眺めてたら1人倒れてしまった。救急車騒ぎになって、その子は亡くなってしまったと次の日に聞いた。心臓に持病があったが無理をしてしまったらしいと人伝に知らされた。倒れた場所には椅子が一脚置かれ、その座面や周囲に献花が手向けられていた。
卒業して数年が経ち念願の車も手に入れて、同じ高校出身の同級生と、出身校も地元も違う女のコ達を連れて俺らの母校に肝試しに行こうと夜中のドライブに繰り出した。
『アタシけっこう見えちゃうんだよね〜』と軽めに言い放ったのは霊感が強いA香。地元が全く違うので、この学校を訪れるのは昼夜通じて初めてとの事だった。この学校は古戦場が近くにあったりして、ただでさえよく『出る』と噂されていた。A香は空気が変に冷たいとかここヤバいかもとか早速ブツブツ言い始めていた。
車を停めて徒歩で学校敷地内に入り、校庭が見える所にさしかかった時、
『あれ!あそこ!!なんで!?体操服の女の子!!』
と暗闇を指差してA香が叫んだ。
それを聞いたと同時に男のクセに悲鳴を上げて一目散に逃げる俺と、更に俺の悲鳴に驚いて逃げ出す肝試し御一行。
俺が男のクセに情けない悲鳴を上げたのは、A香が指差した暗闇の先が数年前体育の授業で走っていた女子が倒れて亡くなり献花が手向けられていた正にその場所だったから。
『赤い短パンの体操服の子が椅子に座ってる』
数年前の事実を知る筈もないA香が、俺が数年前に実際に見たのと全く同じ女の子の姿のみならず、屋外のそこに本来ある筈の無い献花の為だけに置かれた椅子までも暗闇の向こうに見えると言ってしまったからだ。
おわり