第2章「重力、それとも無重力?」|スカラムッツァの足跡をたどって第2巻
こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。
アルゲリッチが幼少期にアルゼンチンで習っていた、名ピアノ教師 スカラムッツァの教えを、孫弟子にあたるマリー=クリスティーヌ・カルヴェ氏が書いた著作「スカラムッツァの足跡をたどって」。ご本人の許可を得て岡田真季が日本語訳でお届けしています。
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第2巻 第2章 「重力、それとも無重力?」
…の前に、第1章「ちょっと解剖学」のまとめ
・それは何?ピアニストの身体器官の生理的メカニズムを知ること。
・なぜ?動きを指揮し、コントロールできるようになるため。
・どうやって?それぞれの筋肉の働きを分けて考えられるように練習して。
・知ってるよ!動きに相当する筋肉を使えるよ!
重力、それとも無重力? それは何?
例えばきみが楽器の前にピアニストの基本ポジションで座った時、2つの明白な事実に気づくはずだ。
座っているポジション、そして前腕の回転
つまり前腕を内側に回転させて手が鍵盤に触れられる、ということに。(もしきみがこっちの方がイイって言うなら、両手が2枚のクレープのようにひっくり返る動き、でも良いんだけどね)
ピアノを弾くためのすべての動きは、この2つの基本的な姿勢の原則から生まれてくるんだ。これはいかなる人にも無視のできないことだ、例えきみでもね!
この心地の良い座った姿勢ですら(他の楽器奏者…例えばヴァイオリニストやフルーティストは立ったまま練習して弾くんだものね!)ピアニストは良くない姿勢に慣れてしまうリスクがあるんだよ。この始まりの姿勢が僕たちに与えてくれている利点を、少しずつ失いながらね。
生理学や物理学の対象にもなるこの動きの分析は、僕たちにある基本的な法則を思い出させてくれるよ。ニュートンによって明らかにされた「引力の法則」だね。
重力・引力は、地球による引力のことだ。重力・引力は下方向へ向かい、すべての物体を地面に密着させる。誰もそれから逃れられないんだ!
重力は原理原則。絶対に避けて通ることのできないルールだ。重み(まさしく重力=重みなので、この言葉を使うよ)は僕たちの身体においても、楽器のメカニズムにおいても作用しているんだからね。
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