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第14回 お寺でビブリオバトルオンライン (報告)
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2月22日(火)20時〜22時30分、zoomで。10名参加。
【紹介作品】
①『性別 「モナリザ」の君へ』吉村旋著 ガンガンコミックスONLINE
12才になる頃自分がなりたい性に身体が変化していく世界。性別がないまま18才になった ひなせ にずっと仲のよかった男女の友人がそれぞれ告白。惹かれる人に異性になってほしい、同性になったら?…性をめぐるそれぞれの葛藤が細やかに描かれる。
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②『日日平安』山本周五郎著 新潮文庫
何度も読み返したくなるヒューマニズムあふれる名作全11編。
「憎しみさえ良いものです」『橋の下』より。
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③『薬指の標本』小川洋子著 新潮文庫
楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。
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④『自分の〈ことば〉をつくる』細川英雄著 ディスカヴァー携書
自分の〈ことば〉とは、自分の興味関心や、問題意識、苦悩やもやもやの中から生まれる。大切なことは、完璧でなくても相手に投げかけてみること。
自分の中だけで完結することなく、相手の反応や意見を聞いてまた考えていく。対話の中からオリジナリティが生まれる。相手に伝わってこそ自分の〈ことば〉となる。
それは生涯考え続け、深めていける自分にとって大切なテーマ。自分の〈ことば〉でお互いに語り合えることが、人生における自由なのではないか。
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⑤『翻訳と文学』佐藤=ロスベアグ・ナナ編 みすず書房
「翻訳は再創造である」(池澤夏樹)
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⑥『すきもの』花房観音著 コミックス出版
自分の性欲に正直になればなるほど、社会で生きていくことが難しくなる。本当はみんな持ってるのに、それをあらわにすると変人扱いされる。そんな主人公の亜子と、彼女に対して嫌悪感を抱いてきた人々の物語。ほんとうにしあわせなことは何なのか。
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⑦『総力特集レトロピア岐阜』八画文化会館(第6号)
かつてない岐阜のガイドブック。日本を考える上で今最も重要な場所。
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⑧『共感という病』永井 陽右 かんき出版
自分が普段無意識にしている共感という行為のメリット、デメリットについて考える本。
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⑨『犀の教室 ポストコロナ期を生きるきみたちへ』内田樹編 晶文社
内田樹が編者となり、中高生を中心的読者と想定して、各界の幅広い人物に原稿を寄せてもらうアンソロジー。
70代の鷲田清一は「コロナ禍以前から人々は周囲をないものとするような、見えないマスクを付け始めていた。しかし、ヒトの根源的な喜びは、今、避けなければならないとされている濃厚接触(体をこすりつけ合ったり、人が喜ぶことで自分が喜んだり)にこそあったことを忘れてはいけない」と語る。30代の斎藤幸平は「偉そうに言ってくる大人は無視して構わない。大人だってこれから作るべき新しい社会の答えを知らないのだから。答えがわからないからこそ、一から一緒にみんなで考えようという姿勢が大事になる」と説く。20人の多種多様な人材による、独自に切り口からの、次代を担う子どもたちへの熱いメッセージ集。
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◎⑩「ホームレス歌人のいた冬」三山喬著 東海教育研究所
あの冬、注目を集めたホームレス歌人は、今、どうしているのか?
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◎は今回のチャンプ本
5分で本を紹介し、5分で感想戦。最後に今一番読みたい本を決める。
本を紹介しながら、本からもらった感動を伝えているように感じる。それは相手の心に届いて、反応が返ってくる。
自分の中からは出てこない想いや表現に相手を通して出あうことも、ビブリオバトルの魅力の一つだ。