終ワル二次創作小説 竜の王
グエン・フエ 後の阮恵となるホ(胡)家の長女。ベトナム統一後は西山朝の2番目の皇帝になる。兄のグエン・ニャクが王国の魔術師ゴー·ヒエンに謀殺され兄の仇を取るために復讐を誓う。千里眼の能力を持つため目隠しをしている。皇帝になってからは一人称が余になる。
グエン·ハオ 死亡したフエの兄ニャクに瓜二つの青年。旧姓はフィン。ニャクの影武者として働く。ベトナム統一後は初代皇帝になる。
ギア·チューア グエンフエとブイ·タムの前に立ち塞がった若き女剣士。
カイー·ホン·ゴックバオ 謎の魔術師の男。
ブイ·タム 王国の若き護衛隊長。グエンフエを見て強くて美しい女性だと言った。
「チャイン殿〜、フエ殿は?」
コムチャインの世話係である中年の男バン·ドゥックは二人が何処にいるのか若き護衛隊長ブイ·タムに聞いた。
「お二人ならお風呂ですよ、バン殿」
バン·ドゥックはチャインの幼い頃から仕えている。
チャイン様、どうかご無事で。
バン·ドゥックは心の中で主である少女の無事を祈った。
グエンフエの血の繋がった兄であるグエンニャクは魔術師の手により謀殺された。ニャクは死ぬ前にフエに自分の夢を託した。
『フエ、お前はあの悪しき魔術師を殺し、王国を滅ぼせ。それが俺の最期の言葉だ‥‥』
『兄さんの死は決して無駄などにしない‥』
フエは市場で死んだ兄に瓜二つの青年であるハオと出会った。ハオは陽気で気さくな青年だった。
ハオ「今日から俺がお前の兄貴だ!」
グエンフエ「あ、兄‥‥?」
最初はハオの事を疑ったがフエは彼の人柄に惹かれた。
ハオ「フエは可愛いな。強いし」
フエ「ハオ兄さんも強くて素敵です」
あの日誓ったのだ。グエンフエはハオを死んだ兄のニャクのようにとして慕うこと。済まない、兄さん。だが私はいつか兄さんの無念を果たすから。
チャインとグエンフエは浴槽に浸かっていた。フエの華奢で折れそうな身体を見てチャインが言う。
チャイン「フエさんって素敵ね。可愛くて強いから」
フエ「チャイン様」
チャイン「フエさん、チャインでいいのよ」
フエ「チャインで‥」
フエはベトナム人にしては珍しくミルクティー色の髪の色である。幼い頃に髪を伸ばしていたが兄の死から復讐を近い髪を短く切った。
あれから一年が経つ。
グエンフエの髪は腰まで伸びた。
フエの長いミルクティー色の髪を見てチャインが遠い目をする。
チャイン「私も幼い頃は今のフエさんくらい髪が長かったの。いつも母さんに結んでもらったわ」
フエはチャインのおかっぱ頭に切り揃えられた短い髪を見つめる。
フエ「チャインも?」
チャインはフエの問いに頷く。
私が皇帝になればチャインはどう思うのだろう?義理の幼い弟であるルーは?ブイ隊長は?皇帝になれば周りの人々はおろか民達も導かなければならない。私ではなくハオ兄さんが皇帝に相応しいだろう。
チャイン「フエさん、よっぽど疲れてるのね。温めた石で施術なんかどうかしら?」
チャインはフエに温めた石で施術するのをすすめた。
グエンフエは素足でタイルの床を歩く。
グエンフエは濡れた床を歩いていたので足を滑らしそうになってチャインに抱きつく。チャインはグエンフエのほどよい大きさの乳房の感触を胸に感じた。
チャイン「大丈夫よ。ゆっくり歩いて」
フエ「ありがとう、チャイン」
フエは施術台の上にうつ伏せの姿勢になる。
チャイン「ゆっくりしてね」
チャインはグエンフエの裸の肩や背中に温めた石を乗せる。
フエの心も身体も自然と温まっていく。
チャイン、いつの日か貴女にも私の王国を見せるから。
グエンフエはそう思いながら寝た。
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