終ワル二次創作 邪神と聖女
ヴリトラ インドのとある村の近くの森に棲む蛇神の少女。普段は神々に見つからないように幼い少女の姿に変身している。たまに美女に変身する。自身の魔力が強すぎることから人間に姿を変えている。人間に興味はないが青年カムウディーとの出会いから考えを改める。
ヴァーユ 蛇神族の長老。ヴリトラが尊敬する蛇神の1人。
ニルヴァーナ マハラジャの娘で聖女。
ヴィムクティ ニルヴァーナの付き従う若い侍女。
バクティ 魔女。ヴリトラの魔力を恐れている。
カムウディー達と別れて2ヶ月が過ぎた。
邪神の里も平和だった。
「生きのいい紅茶はいかがかね?アッサムにダージリンもあるよ!」
市場現在で言うバザーで紅茶を売る年老いた男が陽気な声で言った。
若き魔女バクティは蛇の嫌うものは何かを日々考えていた。
邪神ヴリトラの大嫌いなものは泡とどくだみ茶だった。
邪神ヴリトラは他の邪神に比べて魔力が強大なので普段は人間の幼い美しい少女の姿に変身している。
未来人とか名乗るアンビシャスとかいう男から聞いた情報によれば『リグ・ヴェーダ』や『マハーバーラタ』といった文献にもヴリトラの名が登場する。
アンビシャス「あの可愛らしい少女は間違いなく魔神ヴリトラです。干魃などを引き起こす力を持つとされる。最後にはインドラに倒されます」
バクティ「お前の言ってることは分からん。しかしヴリトラの魔力はこの国インドはおろか世界を滅ぼす力があると聞いたんじゃが」
アンビシャス「ヴリトラは自身の魔法を縮小化しています。ヴリトラはアスーレンドラ(アスラの王)とも呼ばれてます。インドラの矢は1つの都市を消滅させるほどの脅威があります」
バクティ「マハラジャの娘であるニルヴァーナ様ならヴリトラの邪悪な魔力を抑えられるやもしれん。わしは知らんが」
未来人アンビシャスはインドの歴史や地理を把握していた。時空の歪みを修正するために自分は古代インドに派遣された。
ヴリトラ「邪神も大変よね〜」
パドマ「ヴリトラ様、私はいずれ未来から心悪しき人間どもが攻めてくるのではないか、と心配してます‥」
パドマは紫色のボブカットを揺らしながらヴリトラに告げた。
パドマ「我々邪神族の長老であられるヴァーユ様、アモーリ様、リヤ様、カーリヤ様も未来人の襲来を危惧してます。ヴリトラ様も気をつけられたほうがいいです」
ヴリトラには予知能力がない。ヴリトラの魔力が強大な理由は誰にも分からない。
カーリヤ「そうよ。村の人間は優しい人達だったけど未来から来る人間は邪悪よ」
ヴリトラは首を傾げる。
ヴリトラ「パドマ、嘘よ。だってアムリタはあたしの友達よ」
カーリヤ「パドマ、ヴリトラになんか説明して」
カーリヤは疲れたかのように寝室へと戻った。寝るときや戦う時は大蛇の姿になるがそれ以外は人間の姿に変身する。
ヴリトラの華奢な身体が震える。あの未来人の男はヴリトラに囁いた。
夢の中で。
アンビシャス『こんにちは。可愛い人間のお嬢さん。貴女は邪神ですね??』
止めて!それ以上言わないで。
アンビシャス『貴女は本来は邪悪な大蛇ですよね。他の邪神の皆さんも?』
ヴリトラは凍りついたまま黙っていた。
パドマ「ヴリトラ様、悪い夢でも見たのですか‥‥?」
パドマは心配そうに彼女の顔を見つめる。
ヴリトラ「なんでもないわ、パドマ」
ヴリトラもパドマもヴァーユも未来人の襲来は危惧していたらしい。
邪神達はひとまず寝ることにした。
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