ヒトリハコネとふたりはこね

つい最近、1泊2日で箱根旅行に行ってきた。
恋人との3度目の旅行。

そろそろ海外旅行したいね〜って話しながら
決まった箱根旅行。

箱根に行きたいと言い出したのはわたし。
ポーラ美術館を観に行きたかったし、
もうすぐ失効するベネフィットのポイントを使って、話題のはなをりにお得に泊まりたかった。(貧乏性…)

1日目は10時に新宿で待ち合わせ。
11時のロマンスカーに余裕を持って乗るためだ。

新宿に不慣れなわたしが案の定迷い、駅構内を半泣きでぐるぐるしていたため、会えたのは10時を15分ほどまわったとこ。

それから、新宿ニューマンにあるとらやで
あずきティーと抹茶かき氷を食べた。
まだ新宿なのに、旅が始まっている気がして嬉しかった。

そうこうしているうちに、10時30分。
まだロマンスカーのチケットを発券しておらず、しかも乗車15分前に発券しないと予約取り消しになってしまうので少し焦り気味のわたしたち。

チケットを発券できたのは10時43分。
ギリギリロマンスカーに乗れる権利を得た。

それからあと15分も経たずに発車だというのに、ロマンスカーのお供ビールを探しに。

午前中からビールを飲むなんて、
去年の今頃には考えもつかなかった。

去年の今頃、わたしは5日連続のリフレッシュ休暇をとっていて、その時も箱根旅行に行っていた。初めての一人旅だった。

どこに行くか・何をするかを全部自分で選択し、道に迷ったり人に聴いたりしながら、旅行を楽しんでいた。

すべて自分のタイミングで決められる旅行は自由だったけれど、どこか寂しかった。

旅の中で共感してほしいポイントが多々あったけど、全部自分の中でやり過ごさないといけなかった。

何かおもしろいことがあったら、すぐにSNSで共感してもらおうとしていた。

今思えば、一人旅をするということにただ酔ってただけなのかもなと考えなくもない。

箱根に着いたふたりは、箱根湯本駅近くの干物定食屋さんに入った。

ロマンスカーの座席に置いてあった箱根情報冊子を、乗車中ふたりで何気なく読んでいたら、そのお店の紹介ページが目に留まったからだ。

こんなことも一人だとあり得なかったかなぁと思う。一人だと、というかわたしの場合。
わたしは、旅行に行く前に必ず下調べをしてしまう傾向にある。

「別に旅行の下調べくらい普通じゃん」と思うかもしれないけれど、わたしの場合ガチガチに下調べをして当日の行動を決めてしまう。
もちろん、どこでお昼を食べるかどうかも。

下調べをしているときは楽しいし、お店に向かう途中もわくわくしているし、あまりお店を外したことはない。定休日の有無もガッチリ調べているので、調べ尽くしたお店が閉まっていたなんてこともほぼない。

それはそれで楽しいのだけど、「たまたま目に留まったお店に入ってみたら、とてもおいしかった」の様な偶然性に憧れているのも確か。

偶然は確実じゃないからきっと外すこともあるのだろうけど、そんながっかりを楽しむのも旅行の醍醐味な気がする。

結果的に、干物の定食屋さんはとてもおいしかった。わたしが食べ尽くしたと思っていた干物を、まだ食べるところいっぱいあるよと言って綺麗に食べていた彼氏。魚料理を綺麗に食べられる人は男女問わず素敵。

昼食後はポーラ美術館へ。
建物が素敵で、いてもたってもいられず写真を撮った。

ガラスを基調とした建物は、雨の日でも水滴が綺麗なんだろうなと思った。

ポーラ美術館は自然とアートが融合している
森のような場所を散策できる。大きいブナの木に圧倒されたり、沢の音に耳を澄ませつつ、ちょっとした彫刻を観ることができる。

もし、この場所に一人で来ていたらなにを考えていただろう。薄暗くて静かで少し肌寒い森の中は、ひとりだと心細そうだ。そんな心細さも当時のわたしは楽しめたのかな。もしかしたら、ちょっと泣いていたかもしれない。

ポーラ美術館のあとは、お楽しみの宿へ。
19:30から夕食のビュッフェを予約していたから、あまり急ぐことはなく宿へ向かった。

部屋に着いて2人でベッドにごろん。
昼寝をし始める彼氏にたまにちょっかいを
出しながら、夕食までの時間を過ごした。

そうこうしているうちに夕食へ。
ビュッフェ会場には家族連れが目立っていた。

去年の一人旅でも夕食はビュッフェだった。
多くの人が誰かと食べているのに対して、わたしは一人でビュッフェ会場に座っていた。

当時は、というか今も一人でごはんを食べることにあまり抵抗を感じない。きっとビュッフェに関しては、(何回同じものおかわりしても一人だと気楽でいいな…)とか思っていた気がする。

そんな私だったが、今回あまりにも小鉢のマグロの刺身がおいしくて3回おかわりした。

何回同じものをおかわりしても、気楽に付き合えている人とは気楽なのだった。

満腹を通り越して超腹の私たちは、またベッドに戻り横になった。もう横になるという選択肢しかわたしたちには残っていなかった。

一人のときは、決して時間を無駄にしたくなく、ホテルの敷地内を散歩したりしていたと思う。無駄を愛せるようになったのはつい最近だ。

ようやく大浴場に向かったのは23時近く。
ここで初めて旅行中一人になった。

湯船で考え事をする。

将来のこと。

次の職場のこと。

引っ越しのこと。

親のこと。

人生を取り巻くスピードがこの半年でとてつもなく早く、自分の人生なのに自分が置いてけぼりになる気がして不安だった。

一つ一つ解決していけば何も怖くないのだろうけど、ちょっとまだ不安。

お風呂に入るために衣服を脱いで裸になると、心も裸になるのか、自分の不安定な心を知って少しびっくりした。

2日目の朝は、個室の露天風呂から始まった。
寝起きだけはいいわたしは、早くお風呂に入りたくてすぐ準備をしていた。

まだまだ眠たそうな彼氏に一応声をかけると、
案外すぐ起きて、一緒に入浴することに。

昨日のお風呂の時みたいに一人でしんみりすることはなく、朝のビュッフェで何枚パンケーキを食べるか話し合っていた。(そのときは1人10枚食べるということで合意したけど、結果は惨敗だった)

今更だが、はなをりの宿には足湯がある。
チェックアウトをしたあと、アップルサイダーを飲みながら足湯をした。目の前には芦ノ湖が湖面を揺らしている。

ぼーっとしたり写真を撮ったりしていたら、
チェックアウトしてから1時間も居座っていたことに気がついた。未練たらしい客だと思われたかもしれない。はなをりさんありがとう。

宿を出てから、約3分くらいで行ける海賊船乗り場へ。海賊船では、芦ノ湖をクルージングしながら目的地まで行けるとのことだった。

最近大きい川や海などの水がたくさんあるところ(?)を欲していたわたしにとって、芦ノ湖クルージングは贅沢な時間だった。

海賊船は500円払うと飛行機でいうファーストクラスに乗船できる。そのファーストクラス席が優雅で素敵だった。船を待っているときは、乗客の数にびっくりしていたけど、ファーストクラスの席を購入している人は全体の1割だったように思う。

人混みを気にせず、人の騒音に耳を取られることもなく、風の音に集中できた。
500円ケチらずにして本当によかった。

クルージングで向かった先は、箱根神社。
去年一人で行った際、何も悲しいことなんてなかったのに、なぜか参拝中泣いてしまった場所。

未だになぜ涙が出てきたかは分からない。
でも、箱根神社がパワースポットときいて、
(パワースポットって本当にあるんだ…)と思ったことはよく覚えている。

また、箱根神社といえば良縁を運んできてくれる神社としても知られている。

去年のわたしは独り身だった。その時恋愛について祈願をしたかどうかはあまり定かではないけれど、箱根神社へ行った翌月、今の彼氏とお付き合いすることになった。

良縁を運んできてくださった箱根神社の神様には感謝してもしきれない。
御礼の言葉が神様に伝わっていたらいいな。

一人のときは撮れなかった有名な鳥居の前で写真も撮った。行列に並び、観光客同士で写真を撮り合うあの感じ。
まさに一期一会だけれど、お互いの旅行を少し手伝っている雰囲気がとても好き。

わたしたちの目の前に並んでいた親子が、
ずっと鳥居の前を独占しているグループに対して、毒を吐き続けていてとてもおもしろかった。

きっと彼らは旅行にきてハイテンションだったのかも。これからは、誰か一人でもいいから他人に配慮できるようになれるといいね。
(と、上から目線でなにか申しておりますが、お気になさらず…)

今回の箱根旅行で行った場所は、ポーラ美術館と箱根神社の2つ。

きっと去年のわたしが聞いたら、非効率なまわり方に卒倒するかもしれない。

それでも、こんなに満喫して、帰路が寂しくて、また来ようねと約束して、とても幸せな旅行だった。

一人旅もいいけれど、大好きな人と旅行は格別。そんな箱根旅行だった。

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