つまらない人間が天気の子を観てしまったら

急に現れたと思ったら、サッと逃げるように去っていった。そうかと思えば、またひょっこりこちらを覗いて様子を伺っている。

そんな夏の日に映画『天気の子』を観てきた。
ずっとずっと観たかった。

なぜなら新海誠監督の前作品『君の名は』にいたく感動したからだ。
またあの感動を味わいたい、その想いで若干肩に力が入るのを感じながら、映画館へと向かった。

映画はおもしろかった。
天気という題材でここまでファンタジーな話ができるんだと思った。あと、前作のキャラクターがところどころ出ているのも嬉しかった。

でも、なぜだか、「あれ?」って思う自分がいた。

その「あれ?」はどこからくるんだろう。
映画を観て純粋に「あーおもしろかった」とならなかったのはなぜだろう。

2週間くらい心のどこかで引っかかっていたけど、最近結論が出た気がする。

人生の主役は自分だ!!!と信じて疑わない主人公と私が重ならなかったからだ。

人生の主役は自分。
ファンタジーの世界なんだから、主人公には主役として生きてもらわなければ困る。
というかそうしないと、ストーリーが成り立たない。それは分かっている。

ただ、どうしても「主役だから何してもいい」という一貫した性格がどうにもこうにも、自分と重なることはなかった。

きっと、高校生くらいなら。いや、大学生でも。まだ、何かになれる根拠のない自信とつまらない社会の仕組みを知らずにいた頃なら。

「世界を敵に回しても君を守るよ」みたいな主人公の生き様を心の底から応援できたのだと思う。

ここまで書いておいて今更だけど、私は天気の子を否定する気は一切ない。これは、観る側の私がつまらない人間だと浮き彫りになっただけの話。

もっと自分の人生を堂々とセンターで歩かなくてはだめだ。いや、だめだというか、そうでないとストーリーが成り立たない。私の私だけのストーリーが。

この先、脇目も振らず、誰に何を言われ何を思われようが知ったこっちゃないと強く思うことに出会えるだろうか。

つまらない人間を脱したい。
人生の主役にならないと。

#天気の子
#感想

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