IOCの安倍元首相追悼〜五輪旗と憲法第九条〜
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IOCの安倍元首相追悼
〜五輪旗と憲法第九条〜
2022年7月8日、日本の元首相安倍晋三が暗殺された。彼に対するこれまでの批判もすべて賞賛に変わるほどの事件だった。新聞もテレビラジオのニュースも「卑劣な蛮行」を批判し、悲劇の安倍元首相の死を悼んだ。
あれほど批判をしてきた共産党をはじめとする野党たちも同様であった。イザヤ・ベンダサンが発見し、山本七平が叙述した日本教(仏教徒でもクリスト教徒とでもイスラム教徒でも日本人であれば無自覚に受け入れ思考し行動する規範、私訳)がまざまざと展開された。「死した人間への批判は許されない」。なぜか?死によって人は浄化されホトケは功罪の彼方に行くのである。「色々あったが、同じ人間じゃないか」と慰め合うのが平和だと思う社会、波風を立てるものは「空気を読めない人間」として排除する社会。一億総懺悔ができる社会がまざまざと展開している。
私は昨年3月、サンデージャポンというTBSの番組で、東京五輪組織委の森会長が女性蔑視発言によって辞任、誰が会長になるのか?というテーマに、「安倍元首相」と主張し、物議を醸した。2016年リオ五輪の旗渡し式にマリオとなって登場し、日本が国を挙げて東京五輪開催に全力を尽くすことを世界にアピールし、2020年3月、コロナ禍での開催が危ぶまれた東京2020をオリンピック史上初めての「延期」にしてでも開催すると表明した安倍以外に、世界が納得し、かつ各省庁の権威主義を東京五輪開催に統一できるのはいないからであった。それを現実化するには多くのハードルを越えなければならないが、コロナが勢いを緩めない状況で、本気で医療体制、ワクチン獲得、コロナ隔離体制、リモートワークへのシフトなど働き改革等々を本気でやるべきは彼である。それが最後の使命だと伝えたかった。
「それはスポーツを政治化することだ!」という批判が聞こえてくるが、東京2020は私の知らぬところで、招致段階から政治であった。であれば、逆手に取ってスポーツが政治を利用する社会にすることで、社会改善を図る方向を目指すべきだ。それは「政治のスポーツ化」という段階を得る方便と捉えるしかなかった。もしこの提言が実現していれば、東京2020も安倍晋三の生涯も全く違うものになっていたであろう。
私の見方が国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長と同じであったことが明確になったのは、安倍死去の同日、発表されたバッハ会長の弔意だ。「前例なきオリンピック競技大会の延期をIOCに決心させたのは安倍であり、彼がいなければ東京2020は実現できず、世界中のアスリートの夢は崩壊していた」五輪延期は安倍への信頼がなければあり得ないことであり、それは安倍の強い要請から生まれと記されたことになる。
オリンピックオーダー 2022-07-15 17
しかし、問題はこれで終わりではない。東京2020の本当の成功は、スポーツによる世界平和構築の灯火を点けることが隠された使命を果たした時にあった。それはバッハ会長自らが心の奥底に閉まっていたことである。世界唯一の被爆国であり、戦争による紛争解決を永遠に拒否する国であり、理念上の軍隊を持たない国である日本で、その平和の希望に点火したい。コロナ禍での五輪でその火はとても小さな灯火になった。続く北京冬季五輪の聖火があそこまで小さな火になったのは、それを象徴するかのようだ。バッハが有していた広島行への情熱もその火の一つであったはずだ。
武器を置いてオリンピアに集まろう!というオリンピックの休戦思想を国として実現しようとすれば、日本国憲法第九条になる。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。東京2020成功の暁に、その成功の土台にあるべきオリンピズムと憲法九条が理念として一致することをバッハが安倍に伝えることができ、それが世界への宣言となれば、北京冬季五輪に繋がり、それが日中友好への灯火となり、各国首脳の五輪での平和会談となり、ロシアのウクライナ侵攻も制御しただろう。
IOCは、北京冬季オリンピック・パラリンピックで五輪休戦を破ったロシアに制裁を課している。バッハ会長が安倍元首相への弔意とともに、「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」日本国憲法を保持していることを称賛すれば、それは世界に向かって強烈なメッセージとなっただろう。ロシアもそうあるべきだと提議できる。柔道では相手を痛めつけるのではなく、相手の力のバランスを教えてあげるのだ。プーチンは柔道を尊敬し愛していたはずだ。
バッハは「オリンピックムーブメントを代表して私は彼に敬意と感謝を捧げる。安倍晋三を永遠に讃える」と結んだが、それに平和憲法を付すれば、本当の名誉が与えられただろう。
IOCはローザンヌの本部で五輪旗による半旗掲揚を三日間行った。五輪旗は五大陸が共に手を取り合っている姿だ。
2022年7月15日
明日香 羊
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編集好奇
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非武装中立とはかつて社会党が唱えたお題目でしたが、武装解除の実現にはどうしたら良いか?
政治的には難しい問題です。
私はそこにスポーツの利用を思念し実践してきたつもりです。
春日良一
『NOTE』でスポーツ思考
https://note.com/olympism
【ダイヤモンドオンライン】
北京五輪の「オリンピック休戦」をむげにしたロシア、
IOCバッハ会長の葛藤
https://diamond.jp/articles/-/298005
【ゲンダイデジタル】
IOCへの諫言 五輪憲章から矛盾を糺す
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4322/495
日本と世界の重要論点2022↓
【Daiamond Online】
東京2020が日本人の記憶に残らない理由、北京に引き継がれた不信感と意義
https://diamond.jp/articles/-/291658
【Forbes Japan】
「命と引き換えにするほどの価値があるのか議論すべき時」
https://forbesjapan.com/articles/detail/39575
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考?ご期待
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次号はvol.465です