スキレットを新しい方法でシーズニングし、オムレツを作ってみた
鉄のフライパンは、シーズニングという作業をしてから使う必要がある。
スキレットを温め、油をぬり、温め、油をぬり、油の層でコーティングするのが、シーズニングだと思っていた。
ところがどっこい、そんなメンドくさいことをしなくてもよいという情報をキャッチした。
油を塗るのは、一回ポッキリでよく、その後は洗剤で洗ってもOKらしい。10年以上スキレットを使ってきたが初耳だった。おもわず「マジで」と声が飛びでた。
10年以上のこってりと色々な歴史がこびりついたスキレット。沈没した船のようでもある外側。なんと刻印されているのかすら見えない状態。
スキレットを轟轟と火であぶり、バリバリとスキレットの錆びを削り、ゴリゴリとこそげ、たんねんに磨き落としていく。
10年以上の歳月、スキレットにこびりついていた黒い何か。黒い層を化石発掘のように削ったことで、一回りスキレットが小さくなったように感じられた。
削り、磨きあげたスキレット。文字を確認できるようになった。とってもタイヤー&ベリー疲れた。10年以上錆びていても、削り、熱することがで蘇えりしスキレット。あらためて鉄製のフライパンは一生ものなのだと。
洗剤をスポンジに染みこませ、スキレットを念入りに洗う。なんとなく買ったばかりの姿を想いおこさせる黒光りしているスキレット。
轟轟と烈火な炎でスキレットを熱していく。朦朦と白煙があがり、黒一色だった鉄が、黒と白い部分が混ざりあいだす、さらに執拗にスキレットを熱することとで、ロウソクの炎のように青くなりだしてきたら酸化作業は終わりとのこと。鉄を熱し、酸化させると、それ以上錆びないようになるらしい、理論はしらん。そういうことらしいデ。
さいきんの家庭コンロは、温度調整機能がついており、スキレットを熱する方法を考える必要がある。動画などを見ると、カセットコンロでスキレットや中華鍋を熱しているが、あれ?大丈夫なの?ガスコンロ爆発しないの?と心配になり、8時間しか寝ることができない。
いちど熱したスキレット、常温になるのを待つ。ふたたび火にかけ、白い煙がでてきたら、コーティングする油をいれ、スキレット全体に塗るわけだが、コーティングする油は、オリーブオイルはNGとのこと。「マジで、オリーブオイルでコーティングしてたよ」と変な声がでたよ。
ふちや裏、取っ手、スキレット全体に油を塗りこんでいく。
10年以上使われベトベトになっていたスキレット。年輪のような錆びを落とし、いまスキレットは新品のように蘇った。てらてらと光るスキレットは、天井をうつしだし、黒々とニヒルな輝きを発している。使いこみてぇと言いたくなるスキレット。
さっそくスキレットでオムレツを作ってみよう。スキレットを熱し、牛乳の濃厚な部分を集め収縮し濃縮させた白き塊をいれる。じゅわんにと甘いような香ばしいような芳醇な香りがスキレットからたち昇る。
卵液をスキレットにそそぎいれる。
スキレットに卵がくっつくことはなく、つるりと剥がすことができた。まじかよ、何層にもコーティングするとは、なんだったのか。常識を疑え、大事なことだなと。
オムレツはどこいったんだ?はいはい、オムレツね、オムレツですよね。
最初だからね、ファーストコンタクトだからね、こんなもんでしょ。なにかしらの使徒に見えてくるような。
ワンモアセイ!
巻けた、巻けたから、オムレツじゃないコレ?
玉子焼きというか、残飯じゃねぇか。ペチャと地面に落としたのかよ。
ワンモアチャレンジ。
なんか惜しくない、これ。なかはトロトロだよこれ。
ひっくり返すの失敗してるじゃねぇか。
はいはい、うっせぇな、チッ。
形になってきたんじゃなぁい。納豆をいれてないのに、納豆をいれたような色になってるけど。
なか、パッサパッサじゃねぇか。パッサパッサのモーパッサンだよ。
パッサパッサのオムレツでもいいじゃない。個性だよ、個性を伸ばす時代だよ。アンダスターン?
パッサパッサのオムレツを作っても、ほらくっついてなぁ~い。
なんだよ、このネジレハチマキみたいなオムレツは。おまえの根性、ねじ曲がってるのかよ。
それは否定しない。
形が整ったスクランブルエッグだよ。スクランブルダッシュだよ。
表面を固めきれずに、陸に打ち上げられたクラゲみたいに変な液体でてるじゃん。
卵液のうえに、オムレツが浮いてる斬新で尖った、ウケ狙いの最新鋭の料理ですか?
がんばった、左腕の痛みにたえ、よくやった。もうマジ、これが限界。トントンして、卵のつなぎ眼を上に向けるとかジャッキーチェンでもしない修行だよ。スキレットでオムレツなんて作るもんじゃねぇですよ。
卵を焼いても、こびりつくことがなくなったスキレットだけども、作る料理は選びましょうねという教訓。弘法大使も筆を選びまくったように、料理に適したフライパンを使いましょうね。
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