沖縄県恩納村旅行記④pizzeria da ENZOのピザと沖縄の台所ぱいかじ デイゴ別邸
pizzeria da ENZO
pizzeria da ENZOは、イタリア料理屋さん。
結婚式の二次会としておとずれる。
ふだんの営業や料理の提供方法とちがうおそれあり。
四種の前菜。
イタリアンでありながら、どこか琉球らしい花もちらされている。
まずは眼で食べられるプレート。
ちらされている花は、こぶりなれども猛烈に苦かった。
左手前にみえる白身魚は、沖縄の海でとれたもの。
臭みはなく、とろりとした舌ざわり。
水っぽくなくトロリとしている。
ジェノベーゼソースとの相性がよき。
右手のお肉をかためた冷製パテ
しっとりとした口あたり。舌にのせると、ほろりと崩れる。
沖縄の太陽にねっせられ、汗をよくかいた人間のために、ぴりッと刺激的な香辛料と塩をきかせている。
きりきりと冷やした白ワインやスパークリングワインによくあう。
pizzeria da ENZOは、店のなかにピザ窯がある。
焼きたて熱々のピザをもってきてくれた。
おしむくらは、これだけしかなかったこと。
ピザの端が焦げた芳烈な香りがただよう。
ひとりで、一枚はペロリと食べられたとおもう。
ピザの土台は、発酵ひかえめ、うすく軽い。
ピザの端は、クリスビーのようにぱりッとしてサクサクとした歯ごたえ。
裏面は、打ち粉の食感を舌でかんじた。
青いソースは、沖縄の海藻アーサがつかわれている。
クセがなく海藻で、あえかに海の塩気をかんじる。
チーズも淡泊なものがつかわれている。
チーズはよくのびる。噛むと、むにゅ~と幅広くピザをおおうほどに広がる。
海の野菜ともいえる海藻と、地上を四本の足であるく乳から作る二つをあわせると新しい天体が口中に出現する。
穀物を焦がした人類が恒久的にこのむ香りがふくらみ、生命の母たる海、それも清潔で青い沖縄の海がはぐくんだ淡麗な海藻の自然な塩分が舌にしみこみ、人間の手でつくられた旨味が凝縮したチーズの旨味が一気に炸裂する。
穀物、海藻、お乳が、わぁと一斉に口中で歓声をあげる。
沖縄牛、だったと思う。もしかしたら琉球牛だったかもしれない。
それのローストビーフ。
まずは、野菜はしっかりと焼かれており甘味をしっかりとひきだしている。
ローストビーフらしかぬ肉の厚み。
表面は炭であぶったように焦げており、かんばしさの極地ともいえる香り。
牛肉は、レアがすきだ。けれども、牛肉の表面は焦げる一歩手前までしっかりと炙ったのが好きだ。
まさに、おれが理想とするところのローストビーフと沖縄で邂逅した。
ローストビーフの表面を噛むと、ざくりと歯が沈みこむ音がし、さくりと前歯で焦げめをはがす音がきこえる。
脂分はすくなく、淡泊ともいえる。
けれども噛んでいるとゆたかな滋味が、剛直ともいえるぶ厚い肉からしみでてくる。
溶ける、なんて牛肉の形容詞にはいらない。
牛肉を喰っているという手ごたえ、充実感が満たされた。
デザートのウェディングケーキ。
沖縄の台所ぱいかじ デイゴ別邸
沖縄の台所ぱいかじ デイゴ別邸
沖縄らしい料理が、ほとんどそろっている居酒屋。炉端焼き。
沖縄のお酒泡盛をつかったオリジナルカクテルもある。
ほんのりと熟成した酸っぱい泡盛の風味が、テキーラのように陽気な味わいになっている。
しっかりと映える写真も撮れる。
つけあわせは三種。グルクンの唐揚げがうまかった。
海ぶどうは、りきりき。
しぼんでおらず、はちきれんばかりに膨らみきっている。
海ぶどうを左手でつまみ、右手には琉球グラスにいれた泡盛をすすっていると沖縄にきたと実感できる。
大阪でも味わえる組みあわせではあるが、なにかちがうのだ。
気候なのか、風土なのだろうか。
もずくの天ぷら。
おれが作ると、衣がぶあつくなり、ねちゃねちゃにたにたした食感になる。
軽快がすぎるほどに、ぱりッと揚げられている。
軽妙な衣のしたには、まだ水分がのこっているもずくのトロみがある。
塩、もしくはレモンをしぼっていただく。
沖縄の紫蘇の香りも鮮烈だった。
夜ホテルにかえってから歯磨きしているときに、紫蘇の香りが胃から駆けあがってきた。
島豆腐の揚げたもの。
しっかりと豆の風味をかんじられた。
沖縄の台所ぱいかじ デイゴ別邸は、宿まで送迎もしてくれる。
とりあえず沖縄の食事をたのしみたいのであれば、ここ一軒でほとんどカバーできる。