聴いたアルバムレビュー2019、思い出せる限り


全部で22枚、順番は適当。ランキングにしようと思ってたけど順番付ける必要なくね? になってしまった。一応5位までは考えて今年の個人的総合x位と書いた。この記事で言う今年とは、2019年の事です。

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メタルを聴かない人も是非聴いて、主に非メタル2019


Alcest - Spiritual Instinct

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 ポストブラックメタル。まあやっぱりこれが今年の個人的総合ベストアルバムですね。今作はまた『Shelter』のようなメタル要素のないシューゲイザーになる可能性も考えていたけれど、これは嬉しい驚き、アルバム前半ではむしろAlcest史上最もダークでヘヴィメタル的旋律が飛び出し、とは言えいつもの儚く風に折れてしまいそうな幽玄たるパートも、美しい轟音の中へ溺れるパートも、全てが素晴らしい…… 素晴らしいなんて言葉で言い表しきれないから、そう、これが紛うことなき2019ベスト!
 前作『Kodama』は幽玄たる美、Neigeがジブリ映画、もののけ姫から大きく影響を受けたと語る通り、生死転倒の果てに一体となる日本的芸術の傑作だったが、今作『Spiritual Instinct』はどちらかと言えばまた彼のホームグラウンド、1st~3rdアルバムに通底していた、ヨーロッパにおけるペイガニズム、アニミズム的世界観から生まれた彼の内的世界を表現するかのような作品、特にアルバム後半はね。


2814 - Lost Fragments

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 ヴェイパーウェイヴ・アンビエント。サイバネティックノスタルジックヴェイパーウェイヴの最高アーティスト、2814。これは彼らの未公開音源を集めたアルバムで、私は望外の喜び、彼らの新しい音楽が聴けるなんて思っていなかった。内容的には彼らの持ち味である未来都市的アンビエントでメランコリィ&ノスタルジー、未来から過去へ過ぎ去る膨大な情報量に思いを馳せ、雨の降る夜、体はここにあれど精神は世界に遍在していると感じられる。
 この調子で完全新作も…… いや、期待しないで待つのが好かろうな。この音源をリリースしてくれたことに感謝ですよ。


Claude Fontaine - Claude Fontaine

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 レゲエ・ボサノヴァ。まずレゲエというジャンルの音楽をアルバム単位で真面目に聴くのはこれが初めてで、アルバム前半の意図的か分からないLo-fiな音質に最初は面食らったがすぐに慣れた。ヴォーカルが凄いというので聴いたがこれは確かに…… 
 男性の創作に登場する女性は3種類の属性で説明できる、すなわち聖女、娼婦、太母と誰かが言った。Claude Fontaine、彼女は別に創作上の人物ではないけれど、その分類で言うなら聖女と娼婦のデュアル属性持ち、太古の昔から数多の男どもを狂わせてきた、いわゆる魔性の女と言われるタイプの、もちろん実際はどんな人間なのか知ってるわけじゃない、けれど彼女の歌声がそうなんです。自分の趣味は太母極振りみたいなところがあって聖女娼婦デュアルは皆ほど好きではないんだけど、それでも分かる、これはやばい。あなた方もこれを聴いて狂ってしまえ。


Cracked Machine - The Call of the Void

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 ストーナーロック。2019ストーナーロック部門ベスト。ダウナー系だ、超気持ちいい…… 脳味噌とろけるギターの音、曲の展開も地味にドラマティックでポストロック的な快感が爆発して雪崩に飲み込まれるようなパートがあってそこがやばい。耳から摂取する緑黄色野菜2019、脳に直接くる音が欲しくば聴け。


Osi And The Jupiter - Nordlige Rúnaskog

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 ネオフォーク・ペイガニックアンビエント。めちゃくちゃ雑に言うとウィッチャーで馬に乗って、人っ子一人いない野原や森を進む時にかかってるような音楽、つまり素晴らしいBGM。欧州系ブラックメタルだとブラックメタル内のペイガニズム要素に傾倒していって脱メタル→フォークへというアーティストは時々見られるが、彼らは私の知る限りデビュー時からフォークをやっている、けれどメンバーの見た目は完全にメタラーなのでやっぱり通ずるところはあるのかな。森に行きたいけれど家からは出たくない、そんなアンビヴァレンスもこのアルバムで丸く収まるかもね。


ここからはメタル愛好家、もしくはメタルに興味がある人向け、主にメタル2019


Batushka - Панихида

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 (Twitterから再掲)ブラックメタル。乗っ取り分派された方ではなく創始者率いる本家のБатюшкаが先々週リリースした2nd。前作より円熟した味わいか、爆走成分はほんのり抑えめ、薄闇のような人間臭いいかがわしさが若干薄れ、代わりに真っ暗闇、本物の暗黒感が微増。テノール? のクリーンボーカル比率が減ったのが残念。ボーカルが分派したからか。男声合唱ってお手軽にカルト感出るから、まあそれが減ったので"本物感"は増してるのだろうが…… とはいえ全曲完成度の高さは安定している。(再掲ここまで)
 分派していった方のBatushkaも聴いたけど、まあこっちの創始者のいる方が名実ともに本家だなと思ったね、やっぱり。


Wilderun - Veil of Imagination

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 シンフォニックプログレッシブデスメタル。今年の個人的総合3位。
 これは…… すごいアルバムです。好みを脇に置いて、音楽の完成度みたいな基準だけで判断したら、このアルバムが2019ベストに間違いない。雰囲気だけで言ったらNe Obliviscarisみたいな、壮大交響曲系エクストリームメタル、みんな好きなやつ。シンフォニー+プログレデスは形にしただけである程度のクオリティが約束されている鉄板の足し算な気がするけれど、このアルバムの完成度はその中でも度外れている。ほぼ全ての曲で、聴き終わる時に「終わった…… すごかった……」という気持ちになる。(当然次の曲がすぐ始まる)各所で話題になったのも納得の作品、これは多少なりともエクストリームなメタルを聴く人ならほぼ全員におすすめしたい。


Liturgy - H.A.Q.Q.

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 アヴァンギャルドメタル。イカれ天才大はしゃぎ。今年の変態音楽枠はLiturgyで決定! ちなみに去年のこの枠はNight Versesで、あれは緻密な計算と計画、演奏によって変態的に複雑ながら統制された音楽を組み上げるタイプの正統的天才だが、Liturgyはそれと対照的、余人には訳の分からぬ独自の論理で音をくっつける狂気の天才というのが、まあ1曲目を再生すればすぐに分かられよう。ヒョロロ~と頼りなく鳴らされる笛の音は日本の雅楽の篳篥で、これもうふざけちゃってるだろと思わせるボーカルとバックコーラスがワオワオワーーーーーオ!!! アア↑ア↓~~~ アア↑ア↓~~~ で、当然の如く曲の展開はジェットコースターだ。それでも完全な滅茶苦茶ではない、メロディーの進行のメインはKrallice的、高音トレモロと暴力的ドラムビートで、これだけ奇怪な音楽でありながら聴くのは全く苦痛ではない、むしろ素晴らしい体験であると自信を持って言える。彼の脳内でスパークする壮大なビジョンが視聴できる形に出力されたこのアルバム、理解はできなくても聴いて触れて、その完成度を感じることは出来る。複雑な音楽が好きなら、是非どうぞ。


A Swarm of the Sun - The Woods

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 ポストロック。地味に好きな地味音楽バンド、前作『The Rifts』は名盤です。しかし今回はちょっと地味すぎかもしれない。まあ彼ら独特の静/動の味わいが好きなので、似たような音楽をやる限り嫌いではないさ。個人的には長尺の曲よりも4~6分程度の曲の方が彼らのスタイルに合っているのではないかと思うが……


Soen - Lotus

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 (Twitterから再掲)叙情メタル。Soenがやってくれた! メタル成分を増し、彼らの武器であるドラマティックな歌唱はより強力に、唯一の不満であった構成のアンバランスさも解消されて、彼らの音楽性を圧倒的クオリティで示した前作を更に超えた。そうだ、これは傑作だ。(再掲ここまで)
 今年の個人的総合4位。最近のSoen、名盤連発でかなり注目しているんですよ。次回作も楽しみ。


Swallow the Sun - When a Shadow is Forced into the Light

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 ゴシックドゥームメタル。アルバムに込められた感情の質量で言ったら、2019年ぶっちぎりで最重、一枚通して聴くのが苦しいほど。パートナーを癌で亡くしたGt.は、森の中で世捨て人同然の生活を2年半、そうして遂にリリースされたこのアルバムは、悲しみを乗り越えるために…… いや、乗り越えてなどいないのかもしれない。喪失は喪失のままで、けれど確かに分かることは、彼らがまた歩き出した、悲哀は癒えることはないけれど、それでも希望はあるのだと、薄明の中で微かな光へ向かう姿は、私には悲痛に叫ばれるよりも悲しく思われる。
 けれどそんな背景は抜きにして、曲をできるだけ純粋に聴いてみても、このアルバムの完成度は素晴らしい。グロウルヴォーカルで重々しく進むドゥームパートとクリーンヴォーカルで歌う叙情パートなゴシックドゥームの王道で、上質なメランコリィとドラマティックな展開、そろそろベテランバンドと言ってもよいだろうSwallow the Sun、流石のクオリティというところだ。


Toxic Holocaust - Primal Future

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 スラッシュメタル。1人で全パートやってる爆走系スラッシュメタルだ、2019年も爆走してくれて感謝……! きったねえ濁声ヴォーカルも相変わらず最高! あんまり言葉で説明することがねえ。


ELUVEITIE - Ategnatos

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 (Twitterから再掲)フォークメタル。再生を始めるとぼそぼそした語り、ケルティックな笛がピーヒョロロと鳴りだし、気持ち悪い笑みを禁じ得ない。曲ごとに毛色の違う展開が繰り出されてすごいし楽しい。所々に挟まれる、フックのある民族ロールパートが好きだ。(再掲ここまで)
 悲しい感じだったEquilibriumの新作で解消できなかったフォークメタル欲はこちらへどうぞな快作。


Devin Townsend - Empath

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 アヴァンギャルドメタル。個人的に遊園地系メタルと呼んでいるジャンル、最近で言うとNative Constructとかみたいな。全体的に明るい雰囲気で、次から次へと違う音楽ジャンルの要素が飛び出してくる狂った…… 楽しい音楽だ。(ほら、ディズニーランドとかもめちゃくちゃ楽しいけど少し狂気の要素を孕んでいるだろう、そういう感じだ)かなり何でもありで繋げてくるので完全にカオスな音楽なのかと言うとそうではない、その遊園地のテーマに沿って何となく大枠は嵌っている感じで、彼のベースはパワーメタル、随所でやってくるBlind Guardianばりの熱い歌唱とシンフォニックメロディが数々のピースを繋ぎ合わせている。
 Liturgyは血走った目で壁一面にびっしり独自の理論を書きこんでいるタイプの天才だが、Devin Townsendは頭にお花を生やしてスキップしてるタイプの天才だ。まず体験としてすごい。楽しい音楽が聴きたければおすすめ。


Leprous - Pitfalls

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 プログレッシヴメタル・トリップホップ。毎度実験的な作風でありながら個人的に何故だか職人感を感じ始めたLeprous先生の新作は、メタルを半ば飛び出しトリップホップの領域へ片足、Vo.の歌唱力がクオリティを安定させてくれる土台で、そこへ先進的音楽を乗せる盤石の構え、このスタイルの安定感に加えてアルバムリリースがハイペースにコンスタントだから職人感が出てるのかもしれない、今回も素晴らしい音楽でした。


Violet Cold – kOsmik 

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 ポストブラックメタル。今年の個人的総合2位、かつ、もっと評価されろ部門優勝。
 アゼルバイジャンの一人でやってるポストブラック、Violet Coldはずいぶん前に『Desperate Dreams』を聴いただけで、その時はまあ典型的オサレポストブラック、かなり良いな、けどちょっと深みに欠ける感じはある、音質が微妙なのも相まって全体的にのっぺりしたアルバム、そういう感想で、その後このアーティストのことはすっかり忘れてしまっていた。それで今年、新作出してると知って、思い出したんで聴いてみたじゃん。
 いや、良すぎるんですけど……
 6年前、『Sunbather』でDeafheavenが切り拓いた道、かつては数多のフォロワーが我も続く者なりと現れ、そして忘れられ、消えていった。けれどもやはり少数のアーティストは生き残り、単なるフォロワーを超えた存在へと成長を遂げたんだ、そしてきっとこのViolet Coldはその中でも一等素晴らしい!
 かなり轟音表現に振った音楽性で、イントロとアウトロ的最初と最後のトラック以外はほぼずっとシューゲイザー的轟音なんだけど、その中でも緩急があって、激情系ハードコア的な箇所があればオサレ系ポスブラな箇所がありで、けれどやっぱり一番多くを占める醍醐味は多幸感カンスト状態、天上の至福に包まれる轟音の悦びパート、彼の武器であるそれを遠慮なく大量に浴びせてくるのが最高。もはやDeafheavenフォロワーとは呼べない、ユニークな強みで圧倒されました。
 しかしこのアルバムがあまり話題になっていないようなのは本当にもったいない。(セルフリリースらしいし)今までポストブラックメタルで最も過小評価されているアルバムはSúl ad Astralの『Afterglow』だと思っていたけれど、この『kOsmik』はそれと並ぶか、もしかしたらそれ以上に過小評価を受けていると考える。ポストブラックメタルのオタクなら2019年はAlcestだけじゃなくこちらも聴いてくれ。きっと絶頂するから。


Archivist - TRIUMVIRATE

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 ポストロックメタル。今年の個人的総合5位。
 フロントマンであるAlexはシューゲイズ系メタル好き頭でっかちオタクの希望の星だ。IQの低いおバカなメタルも大好きだけど、その逆、IQの高い洗練されたメタルもとても好き。音楽を長ったらしいサブジャンルで分類して何が悪い? 言葉でこねくり回してああだこうだ語るのが好きなんだ。Archivistはポストロック+ポストメタル+ポストブラックメタル、This will destroy youとDeafheavenとAlcestの音楽性が合体した理論上最強バンドです。純白の轟音の濁流に呑まれて天国へ運ばれる至上の音楽、意識高い系メタルが好きなら是非聴いて。


Cult of Luna - A Dawn to Fear

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 ポストメタル。彼らの前作『Mariner』は、実験的な作品でありながら個人的にポストメタル史に残るエピックなアルバムだと思った。それで今作は、メタルの軛から自由になった前作からまたポストメタルの領域へ戻ってきて、ド安定のクオリティという感じ。まあでもどっちがすごいで言ったらやっぱりMarinerだな。あれを超えられたらやばすぎる。


Kaleidobolt - Bitter

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 サイケデリックロック・ストーナーロック。アッパー系。爆走系ロックンロールに目がない私は当然高評価の内容で、いや確かにストーナーロックではあるし、爆走スピードで言ったらそこまででもないんだけれど、その分1曲は5~6分と中程度の長さで、曲の中で展開があってちゃんとロックしてるところが珍しい。ハードコア的A→B→A→B2分半で終わり! はい次の曲! な爆走もめちゃくちゃ好きだけれど、これはこれで良いものだ。


Elder - The Gold & Silver Sessions

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 ストーナーロック。急に大きく音楽性を変えてきたので驚いた、今までは気持ち良すぎるロックンロール的リフと波に揺れるが如きメロディーにヴォーカルが乗るパートで陶酔へ誘うタイプの音楽だったが、何らかのやりすぎで悟りを開いてしまったのか? まず今作はインストゥルメンタルEP、確かに波間に揺蕩うような旋律は随所にあれど、全体的に静謐な神秘を紡ぐが如しで、しかしこれはこれで良い…… いつもの彼らの音楽とはまた別の脳内物質が分泌されるダウナー系ストーナーロックだ。
 で、調べてみると今作は実験的作品とのこと、2020年にリリースするという次回作はいつも通りのノリノリ系ストーナーロックらしい、なるほどね。是非どっちの路線も続けてくれ!


ちょっと残念アルバム2019


Equilibrium - Renegades

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 フォークメタル・メロディックデスメタル。
 ある一線を超えた完成度の創作物というものは、イデア的な概念と繋がっていることを感じさせるもので、私にとってEquilibriumのかつての歴史的傑作フォークメタルアルバム、『Sagas』はその領域にあるものだった。あれは私が今までに聴いたあらゆるメタルのアルバムの内でもトップ10に入る、それは本当にすごいことなんです。
 ああ、然れども今作は…… 最近の彼らは、あの至高の高みとの接続は断たれてしまったようだ。とはいえ駄作ではないよ、巷じゃだいぶ酷評されているようだけれど、あの頃のEquilibriumとは関係のないメロデスだと思って聴けば、全然悪くはない、まあ、取り立てて良くもないんだけど。いわゆるニューメタル的な音楽になったことで、完全に違うバンドになってしまったという意見が散見されたけれど、私に言わせれば元々『Sagas』や『Rekreatur』の黄金期からそういう精神性は若干あって、それも含めて奇跡的なバランスであれら傑作が生まれたと思うので、そのバランスが崩れ去ってこうなった感じがする。まあ何にしてもあの頃とは比べ物にならないのは確かだ、悪い意味で。


Fallujah - Undying Light

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 テクニカルデスメタル。彼らの持ち味であった広空間アトモスがほとんど無くなってしまい、ふんわりアトモス味付けのテクデスになってしまっている。静/動の緩急も無くて高速テクデス一辺倒、いや、これも全然悪くはないんだけれど、前作と前々作は明らかに彼らにしかできない音楽だったので、あなたがこんな普通のテクデスをやるのは勿体ないではないか。やっぱりヴォーカルが変わってしまったのが良くないのかな。


聴きたいけど聴けてない2019


Blood Incantation - Hidden History Of The Human Race
Bill Laurance - Cables
Venom Prison - Samsara
Devil Master - Satan Spits On Children Of Light
Astronoid - Astronoid
CARNAL FORGE - Gun To Mouth Salvation
Disillusion - The Liberation
COUNTERPARTS - Nothing Left To Love
INSOMNIUM - Heart Like A Grave
RUSSIAN CIRCLES - BLOOD YEAR
CATTLE DECAPITATION - DEATH ATLAS
OBSEQUIAE - THE PALMS OF SORROWED KINGS
MONO - NOWEHRE NOW HERE
XOTH - INTERDIMENSIONAL INVOCATIONS

 いや、多すぎるんだが?

総評2019

 今年は中盤から趣味がクラブミュージックに流れてDJを始めるなど個人的に音楽活動が広がった1年でした。とはいえそちら系の音楽は最新リリースを追えるほどまだシーンに追いつけていないので、ここでは1枚も紹介できなかった。
 で、我がホームグラウンドたるメタル2019、個人的に大豊作、いや私は毎年豊作だとか言うタイプじゃないんで、ボジョレーヌーヴォーではないよ、本当に今年は良いアルバムがたくさんリリースされたと思う。まずエクスペリメンタル・アヴァンギャルド系のメタルでLiturgy、Devin Townsend、Leprousとすごいのが多かったね。
 それからポスト系、Alcestだけでその年は満足できるレベルなのにArchivist、CoL、それからレビューは書かなかったけれどPelicanも、まだ聴けてないRussian Circlesも新作リリースでフルコース状態のところにダークホースViolet Coldが堂々たる登場で完全にぶっ壊れた。あとWilderunはすげえ。
 全くチェックできてないけどデスメタル系もすごかったらしいね。せめてBlood Incantationだけでも聴くつもり。あとDevil Masterもなんだかよく分からん凄さらしいから聴く。

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