最悪の失恋の腹いせに、”星野リゾート全制覇”を目指し、今49施設目のOLの話。
33歳の秋、7歳年下の彼氏に振られた。
独身、失恋、崖っぷち。人生白紙、お先真っ暗、オワタ。今からまた振り出しか、積んだ。
さらに追い討ちをかけるように言われた、元彼からの別れの衝撃のセリフ。
「ミカちゃんよりも面白いコンテンツが世の中にはたくさんあると思った。」
めちゃくちゃ腹が立った。なんだよ、私より面白いコンテンツって。悔しい。悔しすぎる。思い出しても腹が立つ。
とはいえ失恋しようがしまいが平日は週5で仕事がある。平気なふりをしながら、怒りを燃料に働いていたが、「30代の失恋は致命傷」は本当だった。苦しい。恥ずかしい。辛い。痛い。動きたくない。どうでもいい。夜になると、虚無感が途端に襲ってきた。
近所の銭湯に行った帰り道、いつも半分こしていたパピコを、1人で2つとも食べた。何にも楽しくなかった。
それでも生活は続いていく。お腹もすく。
パピコ一つでダメージ食らってる場合ではない。
週末、沖縄の星野リゾートに逃亡した。
とにかく遠くへ行きたかった。
石垣島から、フェリーに乗り小浜島へ。
プライベートビーチがある、スイートルームのリゾートヴィラに1人で泊まった。
光るカクテル。
海で食べるフライドポテト。
あったかい黒糖ミルクラテ。
カートでの送迎。
非日常感と極上のおもてなしで、1日だけでもOLであることを忘れさせてくれた。
何をするわけでもなく、ただぼーっとしていた。
海を眺めながら読んだ本から、問いかけられた。
「TRUST YOUR CRAZY IDEAS」が完全に私に火を付けた。
人生一回白紙になったようなもんだ。
私も、面白いコンテンツを作ればいいのか。
私も、元カレと過ごすよりも面白いコンテンツを立ち上げてやる。やってやろうじゃないか。
そうだ、星野リゾート。
星野リゾートに来月も行こう。
いや、全部行こう。
節約したら…行けるん…じゃないか?
決めた。約60施設。
「星野リゾート全制覇」を5年後、38歳までに達成する。30代をもっとクレイジーに生きようではないか。
部屋に戻り、すぐに次の行先を決め、予約を済ませた。次の行先は、「北海道」。あの時クレイジーに生きると決めながら、週5でOLを続けている自分のことも尊敬している。私がクレイジーに生きるためにはお金は必要なのだ。
そこから、私はほんとに月1回、多い時は月3回のペースで、美容院を前髪カットだけ、ネイルサロンに行かず、会社には冷凍ごはんを持っていき、節約しながら”星野リゾート”に行き続けた。
2施設目「星のや東京」
3施設目「界ポロト」
4施設目「リゾナーレ熱海」
5施設目「界鬼怒川」
6施設目「界アンジン」
7施設目「界川治」
8施設目「リゾナーレトマム」
9施設目「OMO3東京赤坂」
10施設目「界別府」
11施設目「界阿蘇」
12施設目「界由布院」
13施設目「界仙石原」
14施設目「星のや竹富島」
15施設目「星のや沖縄」
16施設目「界津軽」
17施設目「界松本」
18施設目「リゾナーレ八ヶ岳」
19施設目「界霧島」
20施設目「星のや京都」
21施設目「界玉造」
22施設目「界出雲」
23施設目「界アルプス」
24施設目「OMO7大阪」
25施設目「界伊東」
26施設目「OMO5京都祇園」
27施設目「OMO5京都三条」
28施設目「星のや京都」
29施設目「OMO3京都東寺」
30施設目「OMO3浅草」
31施設目「星のや軽井沢」
32施設目「OMO関西空港」
33施設目「リゾナーレ大阪」
34施設目「OMO5沖縄那覇」
35施設目「界日光」
36施設目「OMO5東京大塚」
37施設目「OMO5東京五反田」
38施設目「OMO5小樽」
39施設目「OMO3札幌すすきの」
40施設目「BEB5 軽井沢」
41施設目「界秋保」
42施設目「1955TokyoBay」
43施設目「星のやグーグァン」
44施設目「磐梯山温泉ホテル」
45施設目「OMO5熊本」
46施設目「界雲仙」
47施設目「OMO7高知」
48施設目「リゾナーレ那須」
49施設目「界遠州」
人生のどん底から始まったこの旅は、主にひとりで、時に友達を巻き込みながら、3年間で49施設目まできた。36歳になった。
33歳〜36歳は、女性にとっては人生を左右する大事な時期だったと思う。その3年間で私は星野リゾートに行きまくることを選んだ。
この前見ていた恋愛リアリティーショーでは、35歳の女性が、卵子凍結していてもう子供を産むリミットが迫ってると大号泣していた。年下だった。
リアルな同世代の友達も、この3年間で5-6人は子供を産み、母になった。
どうしたって、「私は産む人生?産めない人生?産まない人生?」が頭をよぎり続けていた。
頭をよぎりながらも、私は〝星野リゾート全制覇を目指す〟と友達にも、親にも、会社の人にも、取引先の人にも、宣言しまくり、旅を続けた。
「元彼と過ごすよりも、面白いコンテンツを立ち上げる」と意気込んだので、旅するごとにエッセイも書き溜めた。まさかのそのエッセイをきっかけに、TV番組のオファーがきた。
目黒駅を歩いていたら、家ついて行ってイイですか?にも声をかけられて、元彼と星野リゾート全制覇の話で、OA率6%の難関を突破し、放送された。
朝の番組でも取り上げられた。
webメディアでも取り上げられた。
なぜか、台湾のメディアでも取り上げられ、InstagramのDMには英語で、「I'm from Taiwan and I saw the report in Taiwan. I like your post and thoughts,keep collecting! Thank you for your beautiful sharing😄」とメッセージをもらった。
日本から飛び出て、世界に繋がるとは思ってもみなかった。
奇跡が何度も起きた。でも、「30代をクレイジーに生きる」「面白いコンテンツを立ち上げてやる」と目標を立てなければ、起きなかった奇跡だ。
「私は産む人生?産めない人生?産まない人生?」に対する答えは、もうすぐ37歳になる今、決められていない。
”決断力”と”行動力”があるのが長所だと思って生きてきたが、こればっかりはひとりで決められるものでもない、決めたら必ずということもない。
ただ、産んだとしても、産めないとしても、産まないとしても、どん底に突き落とされても、楽しく生きたいと思う。楽しく生きることを諦めたくないと思う。
この3年間で気づいたのは、”逆境を楽しむ”こともまた私の長所なのかもしれない。
星野リゾート全制覇も残りあと12施設となり、順調に行けば、来年達成する予定。
「私は産む人生?産めない人生?産まない人生?」がやっぱり頭をよぎりながら、星野リゾート全制覇した後、38歳〜40歳から始めようとしている次の新企画のことを考えてはニヤニヤしている。
15歳の時に、20歳の時に、30歳の時に、想像した30代とは違う人生にいるかもしれない。でも「失恋して、星野リゾート全制覇を目指す30代」なんて到底想像できなかった。どの私も驚くと思う。そして、「やばいねw」と笑うと思う。
3年前、33歳の私ですら「え?ほんとに星野リゾート49施設も行ったの?笑」っとびっくりする未来の上に今いる。
さて、残りあと12施設。星野リゾートに行くために、今日も働かなければ。