ロイズくんとHappy Halloween!

10月に入り、メイちゃんとキラちゃんはハロウィンの準備をしていました。

「今年もこの季節がやってきたわね!頑張らなくっちゃね☆」
「メイちゃんにとって大事な存在だもんね、ロイズお兄ちゃん」
「もちろんそうよ!だけど別に頑張らなくっても、ロイズならアタシがいるだけできっと喜んでくれるわよ^_−☆」

「すごいよね、メイちゃん。その根拠のない自信」
「根拠のない?まさか!ロイズがどれだけアタシのこと好きだったか見たことないでしょ!」

「そうだったね。でも、ロイズお兄ちゃんは私にとってもかけがえのないお兄ちゃんだよ。お母さん同じだし」
「フローラさんよね。すごいよね、キラちゃん、リロくん、ロイズのお母さんだもんね。お父さんは違うけど」
「そうなの。だから、たまに私もロイズお兄ちゃんと似てるって言われるの。会ったことはないから実際どうなのかよくわからないんだけど」

「あー、ロイズねえ……。
確かに似てることあるかもね。何というか雰囲気?もそうだし。ちょっとロイズの面影を感じる時もあるよ。
アタシにロイズのことを語らせたら長くなるわよ。聞きたい?」

「聞いてみたいかな、やっぱり。気になる!」

メイちゃんは作業の手を止め、キラちゃんに語り始めました。

「ロイズはよくアタシのごはんをジャイアンしてたわ。
今ではアタシがキラちゃんのごはんをよくもらうから、アタシのことがジャイアンって言われて、はじめはひどいと思ったけど……。
あ、今は自分でも認めてるから思ってないよ!
それから、ロイズは真面目で頑張り屋さんだったなあ。上手くいかないことも多かったけどね。イカミミジャンプはアタシの方が高かったわね。
ファンサのガラス面コンコンもロイズは丁寧にやってたなあ。アタシはてきとーにやってたけど(笑)
一緒に過ごせて楽しかったな。アタシも何だかんだでロイズのことは好きだし、今でも。」


そう、今でも好きなんだ。

ロイズがいなくなってから、とても淋しかった。
こわかった。
大切な存在が失われるってこんなに辛いことなんだ。
夜もそわそわして落ち着かなかった。


「アタシはキラちゃんにはとても感謝しているのよ」
「急にどうしたの」
「アタシ、キラちゃんがいなかったらずっと淋しくて寂しくて仕方なかったと思うの。
アタシとキラちゃん、いいコンビだと思ってるよ」

「私も、アドベンチャーワールドでナダくんがいなくなってからひとりだったから、一緒になれて良かったんだよ」

「アタシたちってひとりぼっちだったんだね」
「今ではおかげさまで楽しく過ごさせてもらってるよ。色んな意味で、刺激に満ち溢れた……」

ハロウィンの準備は順調に進みました。
途中メイちゃんが手を抜いたりすることがありましたが、そこはまあ多めに見ましょう。
ロイズくんは喜んでくれるはずです。

そして迎えた10月31日。


「やあ、ひさしぶり」

「待ってたよ、ロイズ!トリックオアトリート!」
「それメイちゃんが言う言葉じゃないでしょ」
「あいにく死者に言われても何も持ち合わせていなくてね……と言いたいところだけど、持ってきたものならあるよ」
「さっすがー(^ω^)-☆ ロイズならそうだと思った!」

ロイズくんはポケットから手紙を取り出し、メイちゃんに渡しました。

「恥ずかしいから、帰ってから読んでね」
「え〜嫌だ!ロイズの前で読みたい!」
「もう、しょうがないなあ」


手紙にはこのように書かれていました。



メイちゃんへ。
久しぶりだね。僕がいなくなってからもう6年も経つね。
メイちゃんも20才になっても元気に過ごしてるみたいで安心したよ。スーパーおばあちゃんだね。
メイちゃん、僕がいなくなってからしばらくひとりぼっちだったから心配してたけど、今はキラちゃんが一緒にいるから大丈夫そうだね。
キラちゃんにあまり迷惑かけないであげてね。かわいい妹なんだから。
ずっと健康で長生きしてね。
いつか時が来たら、僕が迎えに行くからね。頼りないかもしれないけど、待っててね。
今はまだその時じゃないよ。
キラちゃんにもよろしくね。

ロイズ

P.S. 僕が生きてる時はあまりちゃんと言えなかったけど、今なら言える。

僕は、メイちゃんを愛してるよ。心から。
今でも、ずっと。今までも、これからも。


「ロイズってば……!!」

メイちゃんは目に涙を浮かべながら読みました。キラちゃんも手紙を一緒に読んでいました。

「ロイズお兄ちゃん、本当にメイちゃんのことが大好きだったんだね。いや、今でも、だったね」
「目の前で読まれるとちょっと恥ずかしいから、後で読んでほしかったんだけどなあ……」

「ロイズ……!アタシも!大好きだよ!今でも!」

メイちゃんはロイズくんをギュッと抱きしめました。

「メイちゃんもおばあちゃんで、その日が近づいてるのかなと思うと、僕は不安にも楽しみにも思ってしまって複雑なんだ。
だけど、メイちゃんは今はまだ長生きしてほしい。本当だよ」
「アタシは生涯現役で生きていくわよ!心配は不要なんだから!」

「メイちゃん、キラちゃん。僕はそろそろ行かなきゃいけないみたい。キラちゃん、メイちゃんをよろしくね」
「もちろんだよ、メイちゃんと仲良くやっていくよ」

「またね」

そうして、ロイズくんは風のように去りました。

「行っちゃったね」

メイちゃんは涙でぐしゃぐしゃになった手紙を両手で握りしめました。

「毎年ハロウィンになると、ロイズを思い出すの。だって10月31日はロイズの命日だもん。
ロイズのことは片時も忘れないよ」
「メイちゃん……」

楽しいハロウィンも束の間。
また来年も楽しくロイズを迎えられるように、一日も長く楽しく生きていこう。
そう思うメイちゃんでした。


(おわり)


あとがき

私はハロウィンが近づくとロイズのことを思い出さずにはいられません。
ロイズが亡くなったのは本当に急で、メイちゃんよりも年下なのにどうしてと、本当に寂しく辛く思いました。
せめて創作の中ではロイズがメイちゃんやキラちゃんと会えるといいなと思って書きました。
もしかしたら、本当に来ているかも……?

創作ストーリーを書くのはあまり得意じゃない上、自分で読んでて恥ずかしくなるからあまり好きじゃないのですが、こんな文でも読んでほっこりする方がいらっしゃれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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Olivine
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