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たらこパスタと女子高生と下北沢

たらこパスタとの思い出はひとそれぞれあるような気がする。

そもそも、たらこパスタとは日本人が誇るソウルフードと言ってもいいくらいで、イタリア人もびっくりの日本オリジナルなのだ。

私がまだ女子高生だったころ、学校帰りに友人と下北沢の人気のパスタ屋さんに行き、カルボナーラかたらこパスタを食べるのが最高の時間だった。

中学高校と料理部に所属していた私は、料理が好きでよく友人にもふるまった。

中でもたらこパスタは女子高生ウケナンバーワンの鉄板商品だったので、私は事あるごとにたらこパスタを作っては、彼女たちの黄色い声援を浴びて喜んでいた。

生クリームを入れて、濃厚なクリーム風味のタイプと、バターとあえてシンプルにレモンを添えるタイプがあるが、私は俄然後者が好みだ。

バターのコクと、たらこの塩味とツブツブ触感のコラボは、やみつきになる。

そこに、レモンや大葉の千切りや梅干しなどを添えて途中で味変も可能だ。

不思議なもので、今でもたらこパスタを作ると、女子高生だったあの頃の感覚がよみがえる。

当時世間は、下北沢とティラミスとイタ飯とアンミラと舘ひろしが大好きだった。

純粋に真面目に一生懸命生きていたあの時代、ブームが来ては去っていったが全てにおいて節度があった気がする。

やはり、携帯が普及していなかったから、適度な不自由さが他人との距離を丁度良く保っていたような。

今は全てのことがネットでつながっていて、一斉に誰かをたたいたり、承認されないと落ち着かない世界になってしまった。

たらこパスタの味は、昭和と令和の時代の差を感じさせた。

時代は変わっても、たらこパスタは変わらない。

そんなことに安心感を覚えながら、私は女子高生になった娘とたらこパスタをほおばった。

文字と料理で誰かの今日をほっこりさせます♪