バニラエッセンス薫

料理とは『ツナガル』こと。 様々な生き物とツナガリ 家族とツナガリ 自分とツナガル。…

バニラエッセンス薫

料理とは『ツナガル』こと。 様々な生き物とツナガリ 家族とツナガリ 自分とツナガル。 その時作る料理で自分が欲しているもの つまりは自分に足りないものがわかる。 安心。ヤル気。決別。甘え。許し。 料理しながら、自分と向き合うエッセイ。 立教大学文学部卒

記事一覧

孤独と牛ごぼうしぐれ煮

「孤独は活力」 大好きな祖母が残した言葉だ。 私はずっと孤独と向き合っている気がしている。 物理的には、家族がいるのだけど、何というかそういう事ではなくて 物心…

たらこパスタと女子高生と下北沢

たらこパスタとの思い出はひとそれぞれあるような気がする。 そもそも、たらこパスタとは日本人が誇るソウルフードと言ってもいいくらいで、イタリア人もびっくりの日本オ…

ポトフと変なおかん

とにかく明るいおかんだった。 そのずば抜けた明るさと奇抜さは、すぐに友人の間でも話題になるほどだった。 「すっずきのかーちゃん!すっずきのかーちゃん!」 忘れも…

昭和ドーナツと罪悪感

罪悪感とは一種の麻薬である。 人間だけが持つこの不思議な感情は、自分を自分で罰する感情。 人が持つ感情の中でも一番強烈に行動を操作する力がある。 人が幸せじゃな…

しらすチーズトーストとギリギリに出かける男

朝7:21分発の電車に間に合うように娘は11分に家を出る。夫は15分、私は7時ちょうどに出る。 勿論みんな同じ家から出発するのだが、時間感覚が家族でもこうも違うのだから…

豚バラと卵の甘辛煮とリキまない人々

二流とはリキんで登りつめた人。 一流とはリキみを抜いても尚、トップにいる人。 私が尊敬するタモリさん、樹木希林さん、栗原はるみさんは皆さんジャンルは違えど、その…

東京ラブストーリーと烏賊と大根の煮込み

少し前に地上波で懐かしのドラマ「東京ラブストーリー」が再放送されていた。我らがアラフォーには涙物のドラマだ。 女子はみんなリカに憧れ 男子はみんな江口に憧れ、ブ…

孤独と牛ごぼうしぐれ煮

「孤独は活力」 大好きな祖母が残した言葉だ。 私はずっと孤独と向き合っている気がしている。 物理的には、家族がいるのだけど、何というかそういう事ではなくて 物心ついた時から、常に孤独を感じていた。 そして、何とかその孤独から解放されたくて、仕事に打ち込んでみたり 友人と食事をしたり、趣味を作ってみたりもするけれども やはりその漠然とした孤独は、ついてまわった。 祖母は晩年、一人暮らしをしていた。 年老いてからの一人暮らしは、さぞかし孤独だろうと周囲は心配して

たらこパスタと女子高生と下北沢

たらこパスタとの思い出はひとそれぞれあるような気がする。 そもそも、たらこパスタとは日本人が誇るソウルフードと言ってもいいくらいで、イタリア人もびっくりの日本オリジナルなのだ。 私がまだ女子高生だったころ、学校帰りに友人と下北沢の人気のパスタ屋さんに行き、カルボナーラかたらこパスタを食べるのが最高の時間だった。 中学高校と料理部に所属していた私は、料理が好きでよく友人にもふるまった。 中でもたらこパスタは女子高生ウケナンバーワンの鉄板商品だったので、私は事あるごとにた

ポトフと変なおかん

とにかく明るいおかんだった。 そのずば抜けた明るさと奇抜さは、すぐに友人の間でも話題になるほどだった。 「すっずきのかーちゃん!すっずきのかーちゃん!」 忘れもしない小学校の授業参観の日、クラスの男子たちが唐突にコールを始めた。嫌な予感がして後ろを振りかえると、教室の後ろのドアの丁度大人の顔の高さに、小窓が付いているのだが、その小窓におかんが男子のコールに合わせてリズミカルに顔を出したり入れたりしているのが見えた。 すな。 余計な事をすな。 思春期の私は、顔から火

昭和ドーナツと罪悪感

罪悪感とは一種の麻薬である。 人間だけが持つこの不思議な感情は、自分を自分で罰する感情。 人が持つ感情の中でも一番強烈に行動を操作する力がある。 人が幸せじゃないと感じるとき、必ずその裏には「罪悪感」が潜んでいるという。裏を返せば、罪悪感を捨ててしまえば、幸せになれるのだ。 なのになぜ、こんなにも人は「罪悪感」から逃れられずに幸せから遠ざかってしまうのだろうか。 有名な心理学者が言っていた。人間が神様から一つだけ感情を選んでいいと言われたなら、人間は皆「罪悪感」を選

しらすチーズトーストとギリギリに出かける男

朝7:21分発の電車に間に合うように娘は11分に家を出る。夫は15分、私は7時ちょうどに出る。 勿論みんな同じ家から出発するのだが、時間感覚が家族でもこうも違うのだから、世間では尚更だろう。 私は夫が15分に出るのを、自分が休みの日はじりじりしながら横目で気にしている。なぜだろう。なぜこの人はこんなにもギリギリに出ることを決め込むのか。。。 何かのゲームなのか? 1分でも長く家に居たいほど私との別れを惜しんでいるのか? 疑問の渦に巻き込まれてく。 私はというと、と

豚バラと卵の甘辛煮とリキまない人々

二流とはリキんで登りつめた人。 一流とはリキみを抜いても尚、トップにいる人。 私が尊敬するタモリさん、樹木希林さん、栗原はるみさんは皆さんジャンルは違えど、その世界の一流の人たちだ。 共通しているのは、リキんでいない、むしろ脱力系自然型ピーポーだ。 人は皆、何かを手に入れようと必死でリキむ。 それはとても自然で健全な現象だ。なぜなら、ヨガでも最後のシャバーサナという屍のポーズに持っていくまでに、沢山のポーズを決めて断続的にリキみを作り出した後に、完全な脱力に導くから

東京ラブストーリーと烏賊と大根の煮込み

少し前に地上波で懐かしのドラマ「東京ラブストーリー」が再放送されていた。我らがアラフォーには涙物のドラマだ。 女子はみんなリカに憧れ 男子はみんな江口に憧れ、ブサイクがやたらとロン毛をしていた。 でも、、、あの頃あんなにものめりこんだドラマは、30年の時を経て見ると直視できないほど恥ずかしいセリフと演技だった。 同級生の夫とは 「おーーー懐かしいな。あれえ?こんなだったっけ?」 「すべてがダサいな!」 「恥ずかしい!」 と盛り上がり、女子高生の娘たちは 「昔