『続 窓ぎわのトットちゃん』に見る、女性の強さ
最近刊行された、『続 窓ぎわのトットちゃん』。一気に読みました。
私は小学生のころ、母が買って家に置いていた、『窓ぎわのトットちゃん』が大好きでした。はちゃめちゃなことを繰り返すようでいて、素直な心と周りを想う気持ちを持ち合わせていたトットちゃん。そんなトットちゃんは、「いつでも大人の言うことを聞く、いい子でいなければいけない」と思い込んでいた私には、とても魅力的でした。トットちゃんのことを理解しなかった大人も多かったけど、トモエ学園の校長先生をはじめ、多くの大人がトットちゃんを理解し、おおらかに育ててくれたから、今の徹子さんがあるのでしょう。
さて、そのオリジナルのトットちゃんのお話で、割と衝撃的だった逸話があります。
トットちゃんが鉄条網の下をくぐり抜ける遊びをして、服の背中をビリビリに破いてしまったときに必死に考えた言い訳が
「歩いてたら、私の背中に向かってナイフを投げつけられた」だったのですね。
それを聞いたお母さんの反応が
「あら、そう。大変だったわね」
それだけ。
服を破いたことも、嘘をついたことも、どちらも叱らずに、受け止める。そんな大人、そうそういますかね?
『続』は、私にとって、そのお母さんの強さがとても印象的でした。
戦争中、東京を離れ、さまざまな土地を転々とする。
遠路はるばる着いた土地でも、ここは空襲が来ると判断したら、躊躇なく離れる。そしてその勘が当たる。
ときには縁もゆかりもない人のところに行き、頼み込んで住まわせてもらう。
米を炊くだけというボランティアをするうち、定食屋を始めて稼ぎだす。
東北の食材を東京に持ち込んで売り、東京では東北で頼まれたものを買い込んでくるという商売も始める。
そもそも機転のきく方だったのでしょう。加えて、父親が戦争から帰るかどうかわからない中、3人の子どもを育てるためには何だってできた、っていうことなのでしょう。
ともかく、トットちゃんのお母さんはすごいと、改めて舌を巻いたのでした。
その母と共に生きたトットちゃんは大人になっても自分の生きたい道をひた走り、他人のことを思い、そしてここまで来られました。
徹子さんも、強い方です。
徹子さんがアナウンサーを志望した動機は、「子どもに絵本を読んでやりたい」でした。母になられることはなくても、多くの子どもたちを助ける活動を続けておられますよね。
そういえば、子どもの時、徹子さんと直接しゃべったという友人がいました。
「いいのよ、あなたはいい子よ。私なんて何度も退学になったんだから」と、親に叱られた直後に言われたと、そういや言っていましたね。急に思い出しました。
私『続 窓ぎわのトットちゃん』についてそんな読み方をしましたが、みなさんならどうでしょうか。芸能界の話や、トットちゃんのその後についても楽しく読めますのでオススメです。