出雲の新春を彩る伝統行事「吉兆神事」
出雲市大社町に古くから伝わる民間行事、吉兆神事が今年も1月3日に行われました。約300年の歴史を持つこの行事は、地元の人々に「吉兆さん」の愛称で親しまれ、新年の幕開けを告げる華やかな風物詩となっています。
吉兆さんとは
吉兆さんとは、高さ約10メートル、幅1メートルほどの大幟(おおのぼり)のことを指します。金襴で作られたこの幟には、中央に「歳徳神」と大きく縫い取りされ、周囲には金色の龍が描かれています。歳徳神は新年を司る神様で、五穀豊穣と無病息災をもたらすとされています。
神事の流れ
早朝から始まる吉兆神事では、各町内会が吉兆幡を担いで出発します。笛や太鼓の賑やかな囃子に合わせて、町内を練り歩きながら出雲大社や北島、千家両国造家に向かいます。
行列の先頭を務めるのが「番内さん」です。白や赤の大きな鬼のような面をかぶり、神楽衣装を身に着けた42歳の厄男が担当します。番内さんは各家々を回り、玄関先でササラになった青竹を持って地面を叩きふりかざしながら、「悪魔祓い(アクマンバライ)」と大声をあげて厄払いをします。
見どころ
吉兆神事の見どころは、出雲大社の境内です。本殿入り口に向かう八足門前で、各町内会が順番に吉兆幡を立て、「大社神謡(たいしゃしんよう)」と呼ばれる祝い歌を厳かに歌い上げます。色鮮やかな吉兆幡と、参加者たちの真剣な表情が印象的です。
今年は11の町内会が参加し、小雨が降る中でも熱心に神事を執り行いました。多くの参拝客や観光客が足を止めて、この伝統行事を見守っていました。
伝統の継承
近年、人口減少や高齢化により、吉兆神事の継続が難しくなっている町内もあるそうです。しかし、地域の人々は伝統を守るために様々な取り組みを行っています。例えば、小学生を対象とした笛の練習会を開催したり、中学生が「15番目の吉兆さん」を作って参加したりしています。
このような若い世代の参加により、300年続く伝統行事が今後も受け継がれていくことが期待されます。
吉兆神事は、出雲の人々の新年への願いと、地域の絆を象徴する大切な行事です。今年も無事に執り行われたことで、参加者や見物客たちの心に、新たな年への希望が灯されたことでしょう。
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