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数日後、優太は、仕事帰りに、花の家を訪れていた。約束通り、お茶を誘われたのだ。インターホンを押すと、すぐに、「はーい!」と花の明るい声が響く。 「どうぞ、お上がりください!」
「それで、その方は、どんな方なんですか?」 優太は、花に尋ねた。花は、少し考えてから、答えた。 「ええと… 名前は、確か… 山田さん… だったかな… 」
「山田さん…? ああ! こんにちは! 田中花です。こちら、同じアパートの佐藤さんです」 花は、パッと明るい笑顔で山田さんに歩み寄り、優太を紹介した。優太も会釈しながら、「佐藤です。よろしくお願いします」と挨拶した。 山田さんは、少し人見知りをするように、ぎこちない笑顔を見せた。
ボランティア活動の後、参加者たちは、公園の一角にシートを広げ、持ち寄ったお茶菓子を囲んで、和やかな時間を過ごした。 花が淹れた温かい紅茶が、冷えた体に心地よい。手作りクッキーをつまみながら、住民たちの穏やかな会話が続く。都会では味わえなかった、ゆったりと流れる時間。 山田さんは、隣に座る老婦人と、楽しそうに花壇に植える花の話をしていた。時折、照れくさそうに笑う横顔が、印象的だ。